コラム
ハサミの作業が1日に2万回!?みかんの収穫って大変です
公開日2022.06.23
更新日2022.06.23

ハサミの作業が1日に2万回!?みかんの収穫って大変です

果実ひとつひとつをハサミで切って収穫するみかんの収穫作業。みかんの種類や木のサイズにもよりますが、1本の木で600~700個ほどの実が収穫されますから、手間と時間のかかる大変な作業ですね。みかんの収穫時期には「切り子さん」と言われるお手伝いの方を集め出荷時期を逃さないよう集中して作業を行うことになります。今回のコラムではみかんの収穫と、収穫作業には欠かせないハサミにスポットをあててお伝えしたいと思います。

「みかん」と言えば「温州みかん」

みかんとは皮をむきやすい小型柑橘類の総称です。日本では、一般的に「温州みかん」を指すことが多く、原産地はインド・タイ・ミャンマーといった南アジア~東南アジアとされ、400年ほど前に外国からやってきた種が、偶然にも鹿児島で根付いたと考えられています。

農林水産省が作成している産特産果樹出荷統計(令和元年)によれば、普通温州・早生温州(ハウスみかん・極早生みかん)の全国出荷量668,400tに対し、オレンジ・グレープフルーツ・ハッサク・ユズ・レモンなどの他の柑橘類の全国出荷量255,679tと、およそ3倍の出荷量があり日本人にとってなじみの深い柑橘類だと考えることができます。

関連コラム:温州みかんの特徴と栽培方法

みかんの収穫時期

みかんの種類によって収穫時期は異なります。大まかに分類すると普通温州みかんと早生温州みかんの2つに大別されます。極早生みかんとハウスみかんは早生温州みかんの仲間です。一般的に収穫時期は以下の通りです。

種類 収穫時期
普通温州みかん 11~12月
早生温州みかん 9~11月
極早生みかん 9~11月
ハウスみかん 4~11月

収穫時期が早いみかんほど、果肉が入っている袋「じょうのう」がやわらかく、収穫時期が遅いみかんほど糖度が高くなるといった傾向があるようです。みかん農家さんにおかれましては、収穫時期に幅を持たせるようにバランス良く品種を選ぶと長く収穫できるというメリットが出ます。

みかんの収穫方法は二度切りが基本

みかんを収穫する際の基本は「二度切り」という方法です。果実を腐敗や傷から身を守るために重要な作業工程になります。実がなっている場所によってですが、作業に慣れたベテランの農家さんは一度切りで綺麗に仕上げる方もいらっしゃいます。

二度切り

最初に軸を1~2cmほど長く残してカットし、その後に残ったヘタを短く切り落とします。残ったヘタをカットする場合は、果実に対して刃を平行の状態にして刃先で実を傷つけないように注意します。このように作業をすることで、コンテナなどで運ぶ際に軸が他のみかんにぶつかり傷をつけることを防止します。果実に傷がつくと見た目が悪くなることに加え、わずかな傷からカビが侵入し腐り、商品価値が著しく低下するだけでなく、腐敗している果実が混入していると消費者からの信頼を失うことになりかねません。爪による小さな傷でもカビ菌が入り込む原因になりますので、手袋をして作業をすると良いとされています。

一度切り

ヘタが良く見え収穫しやすい高さに生っている実に対しては、一度目で短く切り落とすという手法もあるようです。作業は繰り返しになりますので、このように場面によっては、一度切りを行うことで、収穫効率を高めることができます。

みかんの収穫に最適なハサミとは?

刃長(刃渡り)は2~3cmと短く、刃先は丸く整えられている必要があります。刃が短いと小回りが利くため刃先が実にあたりにくく、傷をつけるリスクを低減することができます。刃がまっすぐな直刃タイプと、刃がカーブを描いている曲刃タイプがあり作業者の好みにもよりますが、曲がり刃になっていると実に対してヘタを平行にしやすく便利です。硬い枝をカットすると、衝撃が手指に伝わり疲労がたまりやすくなります。繰り返しの作業になると、ばね指(腱鞘炎)の発症リスクも高くなりますので「持ち手の内側にスプリングがついている」「グリップが柔らかくなっている」など、カットしたときの衝撃を和らげる機能がついているものが良いでしょう。重量とバッテリー容量の課題は残りますが、カット時への手指の負担を和らげるという意味では電動式のハサミは優秀です。

みかん農家の職業病「ばね指」

1本で600~700個の実がなるため、1本を収穫するだけでもハサミで枝をカットする作業は最低でも1,200~1,400回ほど、1日平均では約20,000回も繰り返されます。みかんの枝は固いため、カットするときの筋肉の緊張と衝撃が農作業者の手指の負担となり、腱鞘炎を誘発してしまいます。ハサミを使った作業時間は、収穫作業の20-30%にも及ぶという考察もあり、ばね指*(指の腱鞘炎)は、みかん農家の商業病といわれているほどです。

*ばね指:指の筋肉と骨を結びつけている腱に炎症が起こり、指が伸びて曲がりにくく、曲げた後に伸ばそうとするとスムーズに伸びません。そのため指の動きがカクカクとし、ばねで弾いたような動きになります。

手指への負担を軽減する剪定バサミ

 

みかんの収穫作業時におすすめの製品が、医学博士が人間工学に基づき開発したDr.Cut(ドクターカット)です。市場で販売されている剪定バサミは切れ味を重視するあまり、作業者の負担という点については考慮されていない製品が多く存在します。Dr.Cut(ドクターカット)のハサミの持ち手は、弾力性の高いシリコン樹脂(厚さ平均3mm)でおおわれているため、1日に20,000回ほど繰り返すといわれるみかんの収穫時の剪定作業による、作業者の手指への負担を軽減します。また、葉の先端がカーブしており、カットする際に刃と実を平行に保ちやすく、ヘタを綺麗に切断し、みかんを傷つけにくいという特長があります。

みかんの収穫に適したハサミを選び作業負担を軽減しましょう

みかんの収穫時期は、日中に収穫・運搬・出荷などの作業を行い、夜の時間を使って製品の良し悪しを見分ける選定作業を行うなど、大変に忙しい時期です。昔に比べて機械化が進んでいるとはいえ、収穫作業は今も変わらず手作業です。良い剪定バサミを選び、少しでも農作業従事者様の負担を軽減することが大切ですね。

関連コラム:みかんの上手な剪定方法|切り口のケアも忘れずに

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コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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