葉面散布のメリット1|適切なタイミングで施用ができ収量・品質の向上につながる
通常は作物に栄養を与えるために土に施用しますが、固形肥料の場合、根が栄養を吸収し株全体に栄養がいきわたるまでに時間がかかります。事前に作物が栄養を必要とするタイミングがわかれば良いのですが、日照や温湿度など自然環境は予想しにくく、また土壌の環境により固形肥料の効果の出方が違いますので、全ての施肥のほど良い時期を把握することは難しいといえます。
与えたいタイミングで肥料の施用ができないと、栄養の効果を十分に生かすことが難しく成長を阻害してしまうことがあります。その点で、液体肥料は速効性が高く固形肥料のデメリットをカバーすることができます。液体肥料の施用方法の一つが葉っぱに施肥をする葉面散布です。栄養の吸収のスピードが速く、必要な栄養素を葉面から根まで運ぶことができるというメリットがあるようです。そのため最も適当なタイミングで施用することができ、収量を維持しつつ品質の優れた作物を栽培することができます。
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葉面散布のメリット2|均等に施用でき圃場全体の耐病性・耐候性が強くなる
土壌環境に影響を受けることが少なく、栽培する作物にあわせて窒素・リン酸・カリといった栄養の3要素や微量要素をまんべんなく施用することができます。葉面散布であれば噴霧器や動噴などを活用して圃場全体の株の葉っぱに均一に散布することが可能です。これにより作物が健全に育てば耐病性が向上し、暑さや寒さといった環境の変化に強くなり、生理障害などが起こりにくくなります。圃場全体の株の状態が均一になり病害虫や生理障害が減少することで管理が楽になります。
葉面散布のメリット3|気象により被害を受けた作物の樹勢を回復させる
日照不足や台風・大雨などの天候不良などで作物が弱ってきた際の回復方法として活用することができます。雨が多く降ると土壌に水がたまり、根っこ周辺の土の排水性が低下し、土の隙間が少ない状態になります。根が呼吸をしづらく、土壌に液体肥料を施用しても栄養を吸収しにくい環境です。場合によっては水分量が増えすぎて根腐れにつながる可能性もあります。このような状況において樹勢を回復させる手段が速効性のある葉面散布です。散布後6時間程度で50%も吸収されるという研究もあり、樹勢を回復させるために必要な養分を素早く吸収させることができます。
葉面散布のデメリット
速効性がある一方、肥料成分の効果が長続きしませんので、施用する回数は増える傾向にあります。気温が高いときは水分だけが先に蒸発してしまい、残った液肥が原因で葉焼けを起こす可能性があります。気温が高い時間をさけて施用してください。また速効性があるため希釈する際の濃度には注意しましょう。最初は散布液の希釈倍率を高めにして様子を見ながら徐々に濃度を上げるようにしてください。デメリットというほどの内容ではありませんが、窒素・リン酸・カリなどの多量要素は、葉面散布だけでは補うことは難しいので、施肥の基本は土壌施用という観点を忘れずに葉面散布と複合的に組み合わせて行うと良いでしょう。
また農薬や殺虫剤との混用については、組み合わせにより弊害が発生する可能性があります。使用上の注意を良く確認しておくことと、わからないに場合には製造メーカーへ確認するようにしましょう。
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葉面散布のメリットを上手に活用し健全な農業経営を
作物に栄養素が不足すると圃場の環境の変化を受けやすく、病害に罹患したり生育不良になったりします。収量の減少や品質の低下など農業経営に深刻なダメージを与えることとなりますので、そのようにならないためにも固形肥料の土壌施用に加えて、液体肥料を灌水や葉面散布で施肥するなど上手に活用しましょう。作物の種類や生育環境によって効果がみられる場合と、効果がみられない場合がありますのでご留意ください。
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コラム著者
キンコンバッキーくん
菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。
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