コラム
農業には欠かせない噴霧器|おすすめはどのタイプ?
公開日2020.08.24
更新日2022.05.19

農業には欠かせない噴霧器|おすすめはどのタイプ?

農家さんが作物を育てる際に、マストといわれる農作業に噴霧という作業があります。農作物をメンテナンスする際には欠かすことができない作業です。薬剤散布、除草剤散布などを行う際に液体を霧状にすることで効率良く散布することができます。その際に使用する器械が噴霧器です。電気式やバッテリー式など動力を使う強力なものは動力噴霧器(動噴)といわれています。

噴霧器とは

噴霧器は、液体の農薬や肥料を散布するために使う器械のことで、液体を加圧することにより霧状にしてノズルから気体中に分散させることができます。一般的には液体を入れるタンクと噴霧するノズル部分から構成されています。ご家庭でも使われる手動のハンドスプレー(霧吹き)も噴霧器の一つです。

噴霧器は、液体を加圧する部分と液体を収納するタンク及びノズルから構成されるのが一般的なデザインです。時間当たりどのくらいの水溶液を噴霧することが出来るかの能力は、加圧するための動力(人力・電動モータ・動力エンジンなど)とタンク形状(容量・槽の数など)といったハード的な要素で決まります。

噴霧器の目的と使い方

殺虫剤・殺菌剤・除草剤・葉面散布剤などの水溶液を圃場内に散布するために使用します。散布する対象物は、生育中の作物や土壌、圃場や施設内の雑草と多岐にわたります。作物も、葉物野菜のように低いものもあれば、庭木のように人の背丈より高いものがあります。圃場の広さによっても使い方が変わってきます。

「家庭菜園のような比較的狭い圃場で使用したいのか、大規模な圃場で使用するのか」
「背の低い葉物野菜に噴霧するのか、背の高い果樹に噴霧するのか」
「雑草を対象とした除草剤は広範囲を均一に手早く散布したいのか」
「細かい霧で葉裏も丁寧に散布したいのか」
などにより、ノズルの選択や噴霧器を配置する位置、噴出の仕方などが変わってきますので水溶液を散布(噴霧)する目的が何かを明確にすることが大事です。

種類の多い噴霧器|その特徴と選び方

噴霧器の特徴は加圧動力とタンクの組み合わせで決まります。圃場や作物の特性により最適な噴霧器が異なりますので、噴霧器の特徴を理解し最適なものを選ぶと良いでしょう。

●ハンドスプレー(多くは手動式)

家庭菜園やガーデニングなどで使われる最も一般的な噴霧器はハンドスプレーです。小型で狭い範囲でも手軽に使うことができます。安価で手に入りやすいため、使ったご経験のある方も多いと思います。お手入れが簡単でランニングコストもほぼかかりませんし、壊れても費用負担が少なく新しいものを買い替えすることができます。

●蓄圧式噴霧器(手動式)

手動でハンドルを上下させることでタンク内を加圧して液体を噴霧します。ハンドスプレーよりタンクの容量も大きく、肩掛け式がオーソドックスです。構造が簡単なため故障しても修理しやすいというメリットがあります。音も静かで時間や場所を選ばずに使うことができます。散布が終わったら圧力を抜く作業を忘れないようにしましょう。圧力がかかったまま放置すると劣化を早めることになります。手動での加圧が面倒な方には電池式タイプがおすすめです。2~6リットル程度の容量のものが一般的です。

●電動式噴霧器(バッテリータイプ・電灯線タイプ)

バッテリー(充電式)タイプで持ち運びができるものと、電源(AC100V)を繋いで使い置き型タイプのものがあります。このあたりのサイズになってくるとタンク容量も10~20リットルと大きくなります。液体を入れるとかなり重たくなるため背負い式タイプは女性の方には使いづらいかもしれません。バッテリーがついていない機械の場合、コンセントから電力を取る必要がありますので、電気配線設備のない圃場では使うことができません。

バッテリータイプにはリチウムイオン式とニッカド式があります。ニッカド式のほうが馬力は強く安価ですが、経年劣化が早く使えば使うほど駆動時間が短くなるというデメリットがあります。リチウムイオン式は繰り返し使用しても駆動時間があまり変わらずに長持ちするという特長があります。エンジン式に比べると音は静かですが作動中にモーター音は発生します。

●エンジン式噴霧器(ガソリンエンジン方式)

ガソリン燃料を使いもっともパワフルで高い圧力をかけ、強力に噴霧することができます。広い範囲に強く噴霧したいときに向いています。音が大きく住宅街の農地で使う場合は、ある程度周辺への配慮が必要になる場合があります。タンクは40リットルと大型のものもあり、台車などに載せて移動させます。4サイクル式エンジンと2サイクルエンジン式が一般的で、4サイクル式エンジンのほうが排気はクリーンですが、構造が複雑なため重量が重くなりがちです。2サイクルエンジン式は軽量でコストが安いというメリットがあります。

●ドローン式噴霧器(大型はエンジン方式)

広範囲な圃場で薬液を噴霧する場合に便利です。猛暑の中で長時間噴霧する作業は人間には大きな負担になりますので、ドローンを使うことで農作業を省力化できるメリットがあります。ドローン操作を習熟したスタッフが必要になります。一遍に散布ができますが、農薬をまく場合は、風で農薬が近隣の圃場までかからないように、天候に気を付ける必要があります。散布前には近隣農家さんに相談し承諾をもらっておくと後々のトラブルを回避できます。

噴霧器の用途|使う場所によって選ぶ

噴霧器は使う場所によって要求される能力が変わってきます。概ね以下のような用途が多いかと思われます。

①趣味の家庭菜園(鍬で耕す程度の広さ)で使用する
②あぜ道や休耕地といった圃場周辺の除草剤散布で使用する
③水稲栽培で使用する
④野菜栽培で使用する
⑤果樹栽培で使用する

①趣味の家庭菜園(鍬で耕す程度の広さ)で使用する

家庭菜園で使用する噴霧器は、タンク容量がポイントになります。庭の片隅で使用する場合は5~8リットル程度の容量があれば十分でしょう。人力で取り回しやしやすいコンパクトなサイズが良いでしょう。電気やエンジンの動力タイプは音が大きいため、住宅街やその近くでは使用することが難しい場合があります。

②あぜ道や休耕地といった圃場周辺の除草剤散布で使用する

除草剤散布は、地面に向け散布することが多いので水圧はあまり気にする必要はありません、雑草が生えている場所を散布しますので背負式が使いやすいのではないでしょうか。農薬散布用の噴霧器と一緒にすると気になるという方は除草剤専用で噴霧器を確保してください。

③水稲栽培で使用する

水稲の防除で一般的に使用される「畦畔噴口(けいはんふんこう)」などの水稲向けノズルは広範囲に散布できるよう、吐出量が大きいノズルが使用されます。動噴も給水量が多いタイプを選びましょう。

④野菜栽培で使用する

野菜への散布は、柔らかく繊細な霧が出せるかどうかがポイントになります。噴霧圧力が高いほど細かい霧が出せ、「すずらん噴口」などの多頭口のノズルが使用できます。ホースの長さも長く伸ばせますので、広い圃場の場合は性能が高いものを選ぶと作業効率が上がります。最近、施設園芸では施設内にさらに細かい霧を作り、この霧を利用して養分を葉から吸収させる葉面散布剤が注目を集めるようになってきました。

⑤果樹栽培で使用する

地面に置く大型のものはホースの配置によって樹木を無駄に傷つけてしまう可能性がありますのでおすすめできません。特に果樹は細やかな散布が必要になりますので、背負いタイプで丁寧に噴霧する方法が良いと思います。

おすすめの噴霧器「モーターフォグ

そこで皆様におすすめしたいのが小型電動噴霧器モーターフォグです。使用できる環境はハウス内に限られ、農薬使用は推奨していませんが、細かい霧を作り出して作物の葉面に均一に散布をすることができます。粒子がとても細かく霧がビニールハウス内の隅々までいきわたりやすいため、葉の表面にまんべんなく付着します。コンパクトで軽量なため肩掛けをして噴霧することができますし、置き型噴霧方式を採用すればスイッチを入れたらあとはお任せで時間が来たら止めるだけです。空いた時間を他の農作業に充てることができ農作業時間を有効に使うことができます。100Vタイプとより強力な200Vタイプを用意しています。

詳しい使い方はこちら:モーターフォグの使い方とコツとは? 上手く葉面散布するポイントと注意点

最適な噴霧器を選び省力化

噴霧器といっても大きなものから小さなものまで様々な種類があります。ご自身が育てている作物や圃場環境にあわせて最適な噴霧器を選び、よりスムーズに農作業に従事できるよう今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。

農業には欠かせない噴霧器|おすすめはどのタイプ?

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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