コラム
いちご農家経営を失敗しないポイント
2020.08.04

いちご農家経営を失敗しないポイント

いちご栽培は他の作物に比べ観光農園が多く、実際にハウスに入りイチゴの花や実が大きくなっている様子を見たことがある方は多いのではないでしょうか。農業未経験の方も摘み取り体験などで農作業の様子がイメージしやすいかと思います。新規就農を目指し別の職種から農業経営にチャレンジする場合「予算管理」や「プロジェクト管理」などの経験があれば、その経験が具体的な就農プラン作成の武器となります。「予算管理」は固定費(農地賃借料・ハウス・農機具・作業場・固定資産税など)と変動費(労務費・水道光熱費・肥料・農薬・燃料など)の支出部分と、単位面積(1アール)当たりの平均収量と平均販売額を基軸にして行うと良いでしょう。

儲かるイチゴ農家を目指して、相談期・準備期

30代のご夫婦がコロナ禍での在宅勤務を経験され、テレワークの推進により会社へ毎日出社する必要がなくなり、この際、家賃が安く部屋の広い校外へ引越しをしようかと考え始めました。働き方改革推進の後押しもあり、会社も副業を認めてくれるということで実家の近くで農業にチャレンジすることとしました。経営がうまくいけば独立し専業農家も考えています。このご夫婦が新規就農することを想定し、どのような準備をしていったらいいか考えてみましょう。

●いちご栽培の新規就農を決心したら

農業に新規就農する場合「相談期」「準備期」「就農期」の3つのステージに分け、スケジュールをつかみます。この流れは農業に限らず新規事業を立ち上げるときにも役に立つと思います。

ステージ 必要なこと
相談期 (1)経営イメージの具体化 (2)資金が準備できるか確認
準備期 (3)栽培技術の調査・実践 (4)農地の確保 (5)住居の確保
就農期 (1)~(5)の準備が整ったら就農

※「相談期」と「準備期」の二つは期間は重なっても大丈夫です。

●経営イメージの具体化

経営イメージとは、就農候補地がどこで、将来のいちご経営のヴィジョンを自分自身で具体的にすることです。今回の想定例では、実家の近くで農地を確保しようとしています。実家がもともと農家であれば、親と相談し引き継ぐこともできるでしょう。そうでない場合、農地の購入や賃借などで確保する必要があります。

・農地の所有方法
実家は農家でなかったため、農地を確保する準備が必要になりました。農地を購入するためには農家であることが必要となります(農地移転は各地の農業委員会の承認が必要です)。JAの正規組合員の資格を得るか、青年等就農計画制度により申請を行い、認定新規就農者になる必要があります。就農候補地を探すのに地域の生産部会や農業支援センターに相談しましょう。費用を抑えたい場合“借りる”という方法もあります。認定新規就農者に認定されると、使える融資枠や補助金・助成金の枠が広がります。計画書を作成し認定を目指しましょう。

参考:個人が農業を行う目的で農地を取得する場合許可条件
農地を購入する場合、購入後の利用目的によって、農地法第3条許可(購入後も、農地として利用する目的で購入する場合)が適用され個人が購入する場合次の4点を満たすこととされています。

要件 内容
①すべて効率利用要件 今回の申請地を含め、所有している農地または借りている農地のすべてを効率的に耕作すること。
②農作業常時従事要件 申請者又は世帯員等が農作業に常時(おおむね年間150日以上)従事すること。
③下限面積要件 今回の申請地を含め、耕作する農地の合計面積が50アール以上であること。
④地域調和要件 今回の申請農地の周辺の農地利用に影響を与えないこと。

・経営イメージ
「栽培規模」「栽培方法」(土耕・高設栽培など)が決まると、単位面積当たりの生産量が予測できます。先輩生産者やJA・支援センターでその地域の平均的な生産量の情報を入手しましょう。例えばいちご生産は、11月中旬ごろ作付し、翌年5月頃まで収穫した場合について、1アール当たりの収穫量1Kgあたりの平均販売価格は押さえておきましょう。

・販売方法(JA系統販売・直接販売)
販売方式により販売単価が変わる場合があります。一般的にはJA系統販売より直接販売の単価のほうが高くなります。代わりに販売コストや販路開拓については直接販売の方が時間やコストがかかります。直接販売の代表例が、観光農園でしょうか。観光農園を経営していくためには、直売所やのぼり旗の設置、旅行業者への案内などのPR経費が発生したり、場合によっては運営費や人件費などが発生したりします。

・具体的な所得目標
所得目標は、少なくとも生活に必要な金額の確保が絶対条件となります。今回夫婦二人の想定で1年間の生活費を予測し(年間300万位)、就農何年目でこれをクリアするか予定を決めます。

売上金額-(固定費+変動費+人件費)=所得目標

就農直後は生産技術も未熟で、平均生産量に届かないことがあります。歩留まりをきつめに想定し、3年目に平均に到達するような計画とします(例:1年目1割、2年目8割、3年目以降10割)。

●資金の準備

就農するための農地や、施設・設備・親苗などを導入する初期投資の資金と、生産物を収穫販売するまでの間の生活費が必要となります。

・初期投資の準備
栃木県農業試験場の試算データによると、初期投資のお金として約1,400万円かかります(規模・設備によって異なる)。パイプハウスや農機具、農業資材を出来るだけ具体的に、項目別に整理すると、資金計画が立てやすくなります。

参考:経費の仕訳

項目 確定申告分類 品名例 仕訳先
設備投資費用1(高額な資産で法定償却年数が定められている物) 減価償却対象物 パイプハウス
電気設備
軽トラック
動力噴霧器
耕運機など
減価償却(償却期間10年)
減価償却(償却期間7年)
減価償却(償却期間4年)
減価償却(償却期間7年)
減価償却(償却期間7年)
設備投資費用2(低額資産) 必要経費 収穫用コンテナ収穫台車 農機具費
農機具費
資材等の経費(毎年発生) 必要経費 親苗
肥料代
農薬代
ミツバチレンタル外張りビニール他
稲苗費
肥料費
農薬費
諸材料費
諸材料費

経費の仕訳票を作ることで、初年度必要な費用が予測できます。この仕訳票は、就農計画作成にも利用できますので、頑張って作ってください。融資を予定される方は、保証人の確保もしておいた方がスムーズに事務作業が出来ます。また、農地を購入する場合は、別途購入費用が発生します(賃借契約で抑えることもできます)。

・生活費の確保
「準備期」「就農期」は、農業経営からの収入はまず無いとお考えいただき、約2年間の生活費確保を忘れないようにしてください。今回は夫婦で就農し専業農家を想定していますので、1年間で300万円(2年で600万円)の生活費を確保しないと立ち行かなくなります。「所得目標」で予定した、平均生産量の歩留まりが下回ると、生活が厳しくなります。ここはきつめに見ておきましょう。

●準備期から就農期

・栽培技術を身につけましょう
ご夫婦は、農業を経験したことがなかったため実地で学ばせてくれる先輩農家を紹介してもらうことにしました、JA系統販売を予定していたので地域生産部会に入り協力をお願いすることとなりました。研究生として、基礎知識と栽培実践研修を約1年経験します。

・基礎知識
ハウスの管理の仕方、肥料や農薬の管理方法・使い方など、農業技術分野の基礎を身に付けます。

・栽培実践研修
先輩農家のハウスで、実地で作業を指導してもらい、苗の植え付けから収穫までの流れを経験することが出来ました。このような場所での人と人とのつながりは、就農後に先輩からアドバイスをもらうためには大切です。あたりまえのことですが、良い人間関係を築くようにしましょう。

・農地の確保と住居の確保
農地の確保に関しても、研修先農家の協力が得られ、JAや農業委員会などの理解と信頼関係を築くことが出来、実家に近い場所の農地を紹介してもらうことが出来ました。予定していたパイプハウスをここに立てることとしました。住居は、当面親と同居をする予定です。

いちご栽培、就農期

ご夫婦は先輩農家で栽培実践研修を受け、手に入れた農地にパイプハウスも完成し、いよいよ就農することになりました。新規参入すると決心した時の(1)経営イメージの具体化(2)資金が準備できるか確認を具体的に記述しましょう。

(1)経営イメージの具体化

・夫婦2人でイチゴ栽培面積20aを始める
・初期投資を抑えるため栽培方法は、パイプハウスで土耕栽培
・栽培面積・栽培方法を決めたので、ハウスの設備費約1,200万の見積もりとなる
・栽培に必要な少額の農機具類は約100万
・初年度、栽培に必要な資材経費は約100万
・農協の生産部会に入り、共同出荷する
・この付近の平均収量は430kg/1アール、 平均販売単価は900円/kg
・就農から5年目ぐらいをめどに収支計算予測、実経費と比較する
・就農前に作成した経営イメージを具体的にして初年度から5年目まで収支予測を行う

このような計画数値と、実際の数値を比較していくことにより、経営状態の診断ができます。経営状態の良し悪しに一番影響を与えやすいのは、販売合計額(売上)ではないでしょうか。栽培技術が安定しないうちは、平均収量に届かなかったり等級が低かったりして、目標としていた平均販売単価に届かないことが考えられます。想定していた歩留まり予測が大きくずれると経営が苦しくなります。そうならないためには先輩農家の助言をもらうことが大変に重要です。収支計算「予測」で2年目から黒字となり、3年目で生活費の確保が出来るよう計画を組めば、あとは栽培技術を高め、計画を達成するだけです。

(2)資金が準備できるか確認

・手持ち資金額600万
・初期投資額1,400万円を「新規就農者向け助成金・補助金」を活用し全額借入
・就農計画を作り認定を受け助成金・補助金を活用

●経営が安定してきたら事業の拡大の時期

・家族経営の拡大
夫婦で始めた経営ですが、経営が安定してきたら事業拡大も視野に入ってきます。農地をさらに確保し、ハウスの増設による栽培面積の拡大や設備の高機能化を図れば栽培期間の延長も考えられます。

・法人化へのチャレンジ
さらに、人を雇用して事業拡大し農業法人化にチャレンジしてみてはいかがでしょうか。味や品質を追求しいちごという商品をブランド化していくことで収益を上げる方法もあります。

いちごのハウス栽培におすすめの設備いちご用LED電球

そこで皆様にご紹介したい製品が、いちごの育成に必要な波長を調べ最適なLEDチップを選択したいちご育成用のいちご用LED電球です。曇天や雨天といった日照の少ない時期に電照時間をコントロールし作物の光合成を促進します。低消費電力でありながら照度が高く、明け方や夕暮れ時にもハウス内を適度な明るさの確保し農作業の効率維持を支援します。白熱電球や蛍光電球と比べて、ほとんど紫外線も出さず害虫の行動が抑制される効果も期待できます。

失敗のリスクを減らし新規就農への挑戦しましょう

農業という仕事は自然の恵みがあってのものです。自然相手で大変な部分もありますが、農作物を育てる喜びは他の仕事では味わえないものです。サラリーマン生活から転身し農家に挑戦することで自分自身も成長するかもしれませんね。いろいろな可能性を探る参考に今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。

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