コラム
ビニールハウスの自動開閉装置とは?
公開日2024.04.17
更新日2024.04.17

ビニールハウスの自動開閉装置とは?

農作業従事者の高齢化や後継者の減少により、作物によっては栽培面積が縮小しており、生産基盤がぜい弱化していると指摘されています。生産性を向上させるべく、さまざまな自動化が試みられていますが、ビニールハウスの自動開閉装置もその一つです。施設栽培で換気や遮光をするための作業は時間との闘いである上に、手動での開閉は労力がかかりますので、自動装置にご興味をお持ちの方も多いかと思います。今回のコラムでは自動開閉装置の基本的な役割とメリットやデメリットについてお伝えしていきます。

ビニールハウスの自動開閉装置とは?

ビニールハウスの中で栽培しているイチゴ

ビニールハウスやガラスハウスを利用した施設栽培においては、環境を作物に適した状態にするために換気や遮光をする必要があります。換気設備としてはサイド巻上換気・谷換気などがあり、日射量を調節するための設備としては内張りカーテンなどがあります。開閉設備には手動で開閉させるものと、モーターを搭載した機械を利用して電気の力で自動的に開閉させる装置があります。さらに一歩進んだ設備としては、ハウスの内部や外側に設置されたセンサーやタイマーを使って開閉を行い、農作業の負担を軽減するシステムがあります。一般にセンサーには、温度センサー・湿度センサー・日射センサー・雨センサーなどがあります。設置するセンサーと制御器の設定により、温度・湿度・雨・日射量・二酸化炭素濃度などをモニタリングし、設定に応じて自動でビニールハウスの換気設備や遮光設備が開閉される仕組みです。制御器には複数のビニールハウスを同時にコントロールできるものもあります。

関連コラム:ビニールハウスの換気方法|作物に最適な環境を目指して

ビニールハウスの自動開閉装置のメリット

開閉作業の手間や負担が少なくなる

開閉作業を機械に任せることができると、他の仕事に集中できるようになります。圃場の場所がいろいろな場所に点在している場合は移動時間も削減できます。センサーやタイマーを利用し完全に自動化してしまえば、作物に適した温度や湿度、二酸化炭素濃度などを設定するだけで、変わりやすい天候に振り回されることが無くなり、開閉作業から解放されます。製品によってはスマホやタブレット端末からの遠隔操作で開閉を指示することが可能です。

収量や品質が向上する

手動での開閉作業が間に合わないと、施設内の温度が急激に上昇し高温障害が発するリスクとなりますが、自動開閉システムを活用すれば各ハウスを最適な環境へ迅速に近づけさせることができます。換気には二酸化炭素を供給するという側面もありますので、生育促進され品質が向上したり、収穫時期が前進し収量が増えたりするなどの効果が期待できます。

経営規模を拡大することができる

作物の栽培は人を待ってはくれませんので、農家さんは作業時間との闘いです。人力作業に頼った農業で、経営規模を拡大しようとすると、人を雇用しなければなりません。自動化を推進すれば、人を増やさずとも作業時間を省力化することができますから、経営規模を拡大するチャンスが広がります。

知見をデータ化できる

手動による開閉は、農家さんが積み重ねた知識による部分が大きく、継承しにくいという点が課題です。センサー連動型の自動開閉装置を導入すれば、データが蓄積でき、どのような環境で開閉を実施すれば良いか、見える化を実現できます。俗人化を軽減して、仕事を分散化させることで農作業の効率化を図るという効果が期待できます。

ビニールハウスの自動開閉装置のデメリット

導入コストが高い

設置も自分でやるとなると、もっとも簡易なサイド巻上装置で5~10万円程度でしょうか。制御盤もピンキリですが、10~20万程度が多いようです。センサーを利用して開閉させる場合にはスマホやタブレット端末、そしてアプリも必要となります。圃場に電源が無い場合は電気工事が必要で電気工事専門の業者へ依頼することとなり、費用が増えます。国や行政が容易している補助金を活用できる場合もありますので、農林水産省の逆引き辞典を活用して調べてみても良いでしょう。

機械やシステムに慣れておく必要がある

装置の設置や不具合が発生したときの対応を、業者に頼ってしまうと緊急時に即時応対ができなくなるため、機械の操作やアプリの設定などに慣れておく必要があります。仕組みが複雑すぎるといざというときに応急的な処置もできず、作物をダメにしてしまうこととなります。また、自動開閉装置が起動しない場合も想定されることから、スマホやタブレット型端末などで開閉状況を確認できる環境を整えておく必要があります。

ビニールハウスの自動開閉におすすめの資材

空動扇/空動扇SOLAR|ビニールハウス向け温度調節換気扇

自動開閉装置を導入する際におすすめしたいのが、ビニールハウス向け温度調節換気扇の空動扇です。空動扇はビニールハウスの天頂部へ取付けます。風や太陽の力を利用してベンチレーターが回転し、天井にたまりがちな熱だまりを排出します。形状記憶スプリングにより温度変化に応じて換気弁が開閉します。厳密ではありませんが、つまみを回転させることで、およそ0~40℃の間で開閉温度をセットすることができます。消費電力がないためランニングコストがかからないという点と、簡単操作で温度設定が可能という点が大きなメリットです。風の力だけを利用するノーマルタイプと、風力に加えて太陽光の力を利用するソーラータイプをご用意しています。

▶空動扇の説明動画はこちら

ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
左:空動扇|右:空動扇SOLAR
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
空動扇は自然風でベンチレーターを回転させてハウス内の熱気を排出します。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
空動扇SOLARは自然風に加えて太陽光発電も頼ってベンチレーターを回転させるので、無風の日でも換気機能が失われません。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
空動扇SOLARはを設置する場合は、ソーラーユニット単体を回さないようにご注意のほどお願い申し上げます。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
専用のビスで本体を連結、固定します。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
クロス金具を使って補助パイプを固定します。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
補助パイプを固定したらコンパスカッターで穴を開けます。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
穴に本体を突っ込み、補助パイプと母屋パイプで本体を挟んで固定します。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
パイプ取付部分の直径は約25mmと約40mm。25mm側を補助パイプへ、40mm側を母屋パイプに固定します。
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)
ビニールハウスの自動開閉装置とは?(イメージ)

自動開閉装置を上手に活用して健全に作物を育てましょう

ビニールハウスの手動開閉はコストが抑えられるというメリットがありますが、突然変わる天候に左右され計画していた作業が後回しになってしまうことは、品質や収量を低下させるリスクとなります。自動開閉装置を活用して圃場に拘束される時間をいかに少なくするかが、健全な農業経営のためのポイントになると思います。今回のコラムをお役立ていただけましたら幸いです。

参考資料:
果樹栽培における省力化技術の普及と経営改善(大阪府)
逆引き辞典(農林水産省)

ビニールハウスの自動開閉装置とは?

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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