コラム
キウイフルーツの適切な収穫方法とは?
公開日2023.03.15
更新日2023.03.15

キウイフルーツの適切な収穫方法とは?

キウイフルーツは、ビタミンCや食物繊維が豊富で美味しいことから日本でも人気の高いフルーツです。果肉は美しいグリーンをしていて食欲をそそります。育て方やお手入れ方法はそれほど難しくありませんし、そのまま食べてもジャムやゼリーにしても美味しく、平均単価も高いという万能な果実です。今回のコラムではキウイフルーツの収穫時期と注意点についてご紹介していきたいと思います。

キウイフルーツとは?

キウイフルーツはマタタビ属の一つで、ビタミンC・ビタミンE・カリウム・マグネシウム・鉄などの栄養素が豊富なフルーツとして知られています。原産地は、チベットと中国の2つの国にまたがる揚子江の流域です。20世紀初頭にニュージーランドの学者が持ち帰り改良を加えたものが現在、市場に流通しているキウイフルーツです。形状がニュージーランドに生息する鳥キーウィに似ていたことからキウイフルーツと名づけられました。日本では1970年代に生産過剰になった温州ミカンや夏ミカンに代わる品目として注目を集めました。そのため、現在でも愛媛県や和歌山県などのミカン産地では収穫量の割合が多いという傾向があります。雌雄異株で雄花と雌花が別々の木で咲くため、実を成らせるためには、雄株と雌株の両方を植え受粉させる栽培方法で育てる必要があります。

キウイフルーツの収穫時期

一般的なキウイフルーツの収穫時期は10月~11月頃です。木に成った状態で完熟するとしおれてしまいますので、その前に収穫します。隔年結果という性質もありますので、樹に実らせたまま完熟させると翌年の結実量が減少する要因にもなります。完熟後に収穫したキウイフルーツに比べて、収穫後に追熟したもののほうが糖度は増すという傾向があります。一方で収穫時期を早めてしまうと追熟しても甘くならないことがあり、適切な収穫時期の見極めが難しいです。また、霜は実が腐敗するリスクとなります。最低気温が5度を下回ると霜が降りやすいため、その前の時期に収穫を終わらせる必要があります。収穫のタイミングは、落葉が始まり大きくなった果実の皮の色が茶色に変化したときと言われていますが、品種や環境により果実の状態が異なりますので、落葉と果実の色の変化を目安に収穫時期を判断するのは難しいという意見もあります。

キウイフルーツの収穫方法

茎の部分を剪定バサミでカットして収穫します。農家さんによってはハサミを使用せずに手だけで収穫している方もいらっしゃるようです。収穫作業は難しい手順ではありませんが、やはり繰り返しの収穫作業は剪定する手指や上向き状態が継続する首など、体への負担は大きくなります。また、前述の通り収穫時期の見極めが難しいという側面があります。追熟後の糖度は14度以上が良い食味であるとされていますので、逆算して収穫時の糖度は何度ぐらいが良いか把握しておくことが大切です。収穫時の糖度と追熟後の糖度は、環境や品種によって異なりますが、一般的には糖度が6~8度程度で収穫するのが良いとされています。

収穫前に糖度を数値として計測するには、屈折糖度計や非破壊糖度計などを利用すると良いでしょう。目標の追熟糖度になっているか確認することができ、記録をつけておけば翌年以降のデータとして役立てることができます。

キウイフルーツの収穫後の処理

収穫後のキウイフルーツは硬く酸味が強い状態ですから、市場へ流通させるものは追熟を行います。追熟が進むとデンプンが分解され柔らかくなり甘味が増します。場合によっては追熟促進用のエチレン発生資材(追熟処理剤)を使用して追熟を促します。品種や室温などにより追熟速度に違いがありますので、条件により収穫時の糖度の管理や追熟方法を変える必要があります。例えばアップルキウイやゴールドキウイは追熟が早く、ヘイワードは追熟に時間がかかります。追熟に適した温度は15~20℃程度とされています。

すぐに出荷しない場合は、プレハブ冷蔵庫などで低温保管を行い出荷のタイミングにあわせて出荷分だけ追熟させる方法がありますが、保管温度やエチレンガスの管理を間違えると追熟が進んでしまいますので注意が必要です。

関連コラム:冷蔵中の結露に注意!プレハブ冷蔵庫で作物を良い状態で保管するには?

おすすめの農業資材

キウイフルーツの収穫に最適な資材|Dr.Cut(ドクターカット)

収穫時の剪定作業におすすめなのがDr.Cut(ドクターカット)です。繰り返し行う茎の切断作業は手指への負担が大きく腱鞘炎などのトラブルを招く原因となります。Dr.Cut(ドクターカット)はグリップ部分が弾力性のあるシリコン樹脂で出来ており、一般的な作業ハサミに比べると茎をカットした場合の衝撃が軽減されます。そのため、剪定作業において作業者の手や指への負担が少なくなり、肩や腕の凝りも起こりにくいという効果が期待できます。

キウイフルーツの貯蔵に適した資材|グリーンキーパー

キウイフルーツ自身はエチレンガスの発生量は少ないのですが、エチレンガスの感受性は高く、例えばリンゴやバナナなどのエチレンガス発生量の多い果物と一緒に保管をすると追熟が進んでしまうことがあります。グリーンキーパーは冷蔵庫や貯蔵庫などで、植物が出すエチレンガスを分解し追熟を防止する加湿器です。鮮度を保つための最適な湿度を維持しながら、野菜や果物の追熟を抑える効果が期待できます。大がかりな設置工事は不要で電源があれば、手軽に手持ちの冷蔵庫でエチレン除去と加湿の機能を手にいれることが可能です。

糖度を管理して品質の良いキウイを収穫しましょう

キウイフルーツは収穫時のノウハウだけでなく、保管や追熟の方法についても知見が必要な果樹です。品種や環境に適した収穫・保管・追熟の3つのポイントから、栽培管理を行う必要がありそうですね。キウイの生産者様に今回のコラムをお役立ていただければ幸いです。

キウイフルーツの適切な収穫方法とは?

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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