コラム
いちごの光合成に影響を与える三要素を詳しく解説
公開日2022.08.11
更新日2022.08.12

いちごの光合成に影響を与える三要素を詳しく解説

いちご栽培に限ったことではありませんが、作物を健全に育て収穫量を増やすためには、効率的に光合成を行わせる必要があります。植物の光合成には光エネルギー・二酸化炭素・水といった三つの要素が深くかかわっており、これらの要素を理解しておくことが光合成量を増やす施策を行う上で必要になってくるのではないでしょうか。

光合成とは?

光合成とは、植物が光エネルギー(一般的には太陽光エネルギー)を活かして、二酸化炭素(CO₂)と水(H₂O)からデンプンなどの炭水化物(Cm(H₂O)n)を作り出しつつ酸素を放出する活動のことです。このような反応は炭素固定反応と呼ばれ、植物の葉緑体(クロロプラストとよばれる細胞器官)で行われています。葉緑体は、約30~25億年前に地球上ではじめて光合成活動を行ったシアノバクテリアが、植物の細胞内に共生してできたと考えられています。

光合成により作り出される炭水化物には、植物細胞の細胞壁や植物繊維の主成分であるセルロース(C₆H₁₀O₅)nなども含まれます。植物が体を構成するためにも利用されているという訳です。自然界では植物だけが二酸化炭素と水から炭水化物合成を行うことができますが、人間を含めた動物は光合成による炭水化物合成を行うことができません。そこで植物から炭水化物を摂取して生命活動を維持しています。ちなみに動物の体の重要な部分(筋肉・骨・脂肪・DNA・RNAなど)も炭素を骨組みとして構成されており、炭素は生命にとって欠かすことのできない物質であるといえます。

いちごの光合成に必要な三要素

光合成に必要な要素は光エネルギー・二酸化炭素・水の3つです。

光合成に必要な要素1「光エネルギー」

光エネルギーにおいて、植物の生長を左右するのは波長(波)と光子(粒)です。光の色を表す波長はnm(ナノミクロン)という単位を用い、光子はµmol/㎡・s(マイクロモル)という単位を用います。

波長

植物の生長に影響を与える波長の多くは400~700nmの波長とされています。葉緑素(クロロフィル)は吸収帯を2つもっていて400~500nm付近の青色光と600~700nm付近の赤色光を吸収し光合成に利用していると考えられています。「ゆめのか」「章姫」「とちおとめ」を用いて葉柄の長さを比較したLEDの電照比較においては620~660nmの波長が適していることが確認されています。

また、700~800nmの遠赤色光は単体では植物の光合成を促進しませんが、400~700nm可視光領域の光に遠赤色光を加えると光合成の速度が速くなることや、発芽制御に影響があることが確認されており、今後研究が進めば、可視光領域以外の光が様々な作用を及ぼしていることが将来的にわかってくるかもしれません。

光量子

光量子といわれる光のもつ粒子(光子)の密度を示したものが光量子束密度です。光の中には植物が光合成に活用できない波長があり、葉緑素が吸収し光合成が有効に行える400nm~700nmの光子の密度を示したものが光合成光量子束密度(PPFD)で、1秒あたり、1平方メートルあたりの密度を表しています。

植物学用語ではありませんが、身近な表現としては、光源によって照らされた面が受ける光の明るさをあらわしたlx(ルクス)に言い換えるのがわかりやすいかもしれません。いちごの光飽和点は20,000~30,000lx(ルクス)程度で、これは曇天時の午前10時頃の太陽光です。これ以上強い光を与えても光合成量は増えない上にいちごには強すぎて有害です。

光合成に必要な要素2「二酸化炭素」

通常、大気中には380~400ppm程度の二酸化炭素が存在しています。二酸化炭素が不足すると光合成のスピードは落ちて、いちごの収量や品質に悪い影響を与えます。特に施設栽培においては、外界と遮断されているために二酸化炭素が不足しがちです。目に見えないものなので実感がわきにくいかもしれませんが、二酸化炭素の量が植物の生長に与える影響を示した例がありますので以下に記載します。

温室効果ガス世界資料センター(WDCGG)が世界各地の二酸化炭素濃度のデータを収集し地球全体のCO₂濃度を計測した資料によれば、1985年に345ppm程度であった二酸化炭素濃度は2020年には415ppm程度と増加しています。そして、これは別のデータになりますが2016年4月にNASAが人工衛星を利用して、地球の表面にある植生を調べた結果、35年前(1981年)と比べて植物に覆われている面積の増加があり、この面積はアメリカ合衆国に匹敵するとの記事を発表しました。その一番の原因は二酸化炭素の増加による影響とのことです。それだけ二酸化炭素が植物の光合成活動に与える影響力が大きいと理解することができるのではないでしょうか。

光合成に必要な要素3「水」

二酸化炭素(CO₂)から取り出した炭素を使いデンプンや糖などの栄養素を作り出すには、水素(H)が必要なため、それを水(H₂O)から取り出す必要があります。極端な言い方をすると光合成において水が必要というよりは水素を必要としています。例えば光合成細菌は、水を使わずに硫化水素(H₂S)から水素を取り出し光合成を行います。

円滑にいちごを光合成させるための設備

LED電球

いちごは秋になると、低温や短日条件により休眠に入り、休眠期(11~2月)に入ったいちごは、栄養生長期に比べると光合成能力は20%ほど減少するとされています。栄養生長期は葉っぱに栄養が分配されるのに対し、休眠期は主に根っこに分配されるためです。この期間はLED電球を使いハウス内に長日環境を整えることで、いちごを休眠させずに生殖生長を助け花芽を連続して出す効果が期待できます。休眠期(11~2月)の日が沈んでいる間、3~5時間程度点灯しておくのが良いとされています。

関連コラム:いちご栽培にLED電球を導入するメリットとは? 生産効率の向上を実現

CO₂施用装置

二酸化炭素が不足しがちな季節(特にビニールハウスを締め切る冬のシーズン)や時間帯にCO₂を供給するための装置です。生ガスによる供給方法と燃焼による供給方法があります。密閉時には700ppm程度、施設換気時には外気と同じ400ppm程度で管理することが望ましいと考えられています。メーカーによっては炭酸ガス発生装置・光合成促進装置などと呼ばれています。

遮光資材

真夏や晴天時に太陽から影響を受ける照度は100,000lx(ルクス)以上とされ、いちごの光飽和点が20,000~30,000lx(ルクス)ですから、このままでは光が強すぎて悪い影響が出てしまします。施設栽培においては遮光するために被覆資材が必要です。遮光率の目安は60~70%程度の被覆資材を選ぶと良いでしょう。ただし1日中遮光してしまうと光エネルギーが足りず光合成量が不足する可能性があり注意が必要です。一般に遮光する時間帯は正午から午後3時ぐらいまでが良いとされています。

いちごの光合成促進におすすめのLED電球

いちごの光合成促進におすすめの資材がセイコーエコロジアで取扱いをしているいちご用LED電球です。いちごの生長に適した波長の630nmの赤色を発するチップと、光合成の速度を速める効果があるとされる735nmの遠赤色の光を発するチップが組み込まれており、いちご栽培において最適な補光を行うことが期待できます。照度計実験では、1.8m直下で100lx(ルクス)の照度があり厳寒期のいちごの生育を補助することが可能です。9Wと消費電力は小さく寿命も長いためランニングコストを抑えることができます。

▶いちご用LED電球の解説動画はこちら

光合成の作用を理解して、いちご栽培に生かしましょう

植物の光合成作用には、複合的な要素が関わっていますね。この要素を理解して光合成活動を円滑に行うための施策を行えば、いちごの着果数の増加や果実の品質向上につながっていくはずです。今回のコラムを参考に光合成量を増やし、品質の良いいちごの収量を増やすためにお役立ていただければ幸いです。

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