コラム
緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説
公開日2022.08.04
更新日2022.08.04

緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説

農業では古くから有機物堆肥を活用した土づくりが行われてきましたが、有機物堆肥の代表格である家畜の排せつ物堆肥は、製作する場所が圃場から離れていることが多く輸送費用が負担になったり、散布するための労力がかかったりするため敬遠されはじめ、近年は手軽に施肥することができる化学肥料や化成肥料に移行してきました。ところが、化学的な肥料の施用に偏り過ぎた圃場は、本来持っている土壌のバランスが崩れ、地力を低下させたり、作物に悪さをする微生物や害虫が増えてしまったり、とさまざまな問題を引き起こしています。最近では、肥料の価格高騰が起こり農業経営を圧迫させている中、有機物を施肥する方法の中でも労力やコストでも負担の少ない緑肥を活用する栽培方法に注目が集まっています。

緑肥とは?

緑肥とは緑の肥料と書く通り、新鮮な緑色の植物そのものを土壌にすき込み使用する肥料のことを指します。緑肥として栽培した作物は収穫せずに土壌にすき込み、次に栽培する主作物の肥料成分として活用します。肥料として使われる植物は緑肥作物と呼ばれて、一般的にイネ科やマメ科を利用することが多いようです。肥料的な効果に加えて、表土が流出し土壌が浸食されることを防止する緑肥はカバークロップ(被覆作物)ともいわれています。

緑肥は、土壌の養分を植物を通して投入する方法として昔から活用されてきました。ヨーロッパでは小麦の圃場でクローバーアメリカではトウモロコシの圃場で大豆が緑肥として利用されていました。日本では刈敷(かりしき)と呼ばれ、山野から刈り取ってきた草や葉っぱを田植え前にすき込んでいたという記録があります。村落には草葉を刈り取るための共有草刈場があり、入会権の習慣の起源になったと考えられています。

緑肥の種類

一般的に緑肥に利用される植物はイネ科・マメ科が多く、次に多いのはアブラナ科・キク科などです。

イネ科

土壌中の栄養分を吸収し、すき込むと有機物生産の効果が期待できます。それは、イネ科の緑肥が吸収した硝酸態窒素がタンパク質に変化し有機物を土壌へ補給することができると考えられているからです。根量が多く長いため、土壌深くまで流れてしまい作物が吸収しにくくなっている硝酸態窒素やカリなどを吸い上げる効果が期待できます。また、土はフカフカになりやすいという傾向があります。土壌中の過剰な栄養分を吸収するためクリーニングクロップ(掃除をする作物)とも言われています。

イタリアンライグラス

根の発育は活発で、根量も多く養分を良く吸収します。冷涼な気候に適しており、土壌が凍結する直前まで生長を続けることができるとされています。土壌環境に関わらず良く生長しますが、耐湿性が高く砂質土壌よりも粘土質の土壌で繁茂するため水田の緑肥にも使われています。

エンバク

根の量は多く、地中深くまで根を伸ばします。根は土壌の耕盤層*を貫通することもあり、土壌の表土だけでなく耕盤層も柔らかくなります。作物の根が地中深くまで伸びることで透水性が向上するため、栽培する作物が水分や栄養分を広範囲で吸収することができるような土壌環境に整えます。根っこから分泌されるアベナシンは根こぶ病を抑制するとされています。再生する力が強く、踏みつけても回復しやすいという特長があります。

*耕盤層:トラクターなど重量のある耕作機械を圃場で使用することが影響し、硬く締まってしまった層のこと。

エンバク野生種

連作障害が発生している場合に根菜類に発生しやすいキタネグサレセンチュウの密度を低下させます。また大根・白菜・カブ・小松菜・チンゲンサイといったアブラナ科の作物に寄生するキスジノミハムシの発生を抑制します。

オオムギ(大麦)

根っこが強く土を砕くため、団粒構造を促進し排水性(水はけ)や通気性が向上するとされています。キタネグサレセンチュウの密度を低下させる効果が期待できますが、理由は未だ解明されていないようです。生長スピードが早く地表を被覆し地温上昇を抑制したり、土壌の水分を保持し乾燥を防いだりするなど土壌環境を向上させるメリットもあります。また、泥はね抑制による病害虫の発生や雑草の繁茂を抑制するなどマルチング資材としても活用できます。枯れあがりが早く、自然に枯死するためマルチ利用の場合は後片付けなどの手間がかかりません。

ギニアグラス

土に残っている肥料を吸収する作用や有機物の生産性が高く、塩類濃度の高い土壌や有機物が不足している土壌に適しており連作障害防止の効果が期待できます。またネコブセンチュウやネグサレセンチュウを抑制するとされています。高温環境を好み夏場に良く生長します。牛の飼料にも使われているものです。

トウモロコシ(緑肥用)

肥料の吸収力が強く、すき込み後の肥料としての高い効果が期待できます。また土壌の侵食を防いだり、養分の流出を防いだりする効果があるとされています。家庭菜園では食用トウモロコシの収穫後の残渣をすき込む方法もあるようです。

ソルゴー(ソルガム)

他の緑肥と比べて多くの有機物を生産したり、土の中に残っている栄養分を吸収したりするという特長があります。根こぶ病やネグサレセンチュウを抑制する効果が期待できます。また根っこの量が多く、土壌を柔らかくし団粒構造化を促進します。幹が太く倒れにくく、葉茎は柔らかいためすき込み作業がしやすい上、土壌での分解が早いという特長があります。5つのタイプがあるソルガム属のうち、スーダン型ソルガムまたはスーダングラスが緑肥に適しています。草丈が1.2~1.5m程度のため取扱いしやすいです。高温を好む作物のため春や夏の使用に適しています。

ライ麦

根っこの繊維が細かく密集して生えるため、土壌の団粒構造化の促進が期待できます。糸状菌により引き起こされる根こぶ病の発生抑制や、キタネグサレセンチュウやキタネコブセンチュウの抑制効果があるとされています。耐寒性や耐酸性に優れていて寒冷地でも生長しますが積雪地域では雪腐病が発生するリスクがあります。短期間で生長します。

マメ科

マメ科の緑肥は、土壌中にいる根粒菌と共生しやすく、根に着生した根粒菌は空気中の窒素をアンモニアに変換(窒素固定)するため、葉っぱや根っこに窒素成分が多く蓄積され、窒素肥料としての効果が期待できます。また地力窒素の増強というメリットもあります。窒素以外ではカリも多く含まれています。

エビスグサ

キタネグサレセンチュウ・ナミイシュクセンチュウの抑制の効果が期待できます。葉っぱや茎はやわらかくすき込み作業を行いやすいという特長があります。多湿環境を好み気温が高い地域で生長します。

クリムソンクローバー

マメ科の植物の根に寄生し被害をもたらすダイズシストセンチュウを抑制します。草丈は0.5~1mほどに生長し、春に鮮やかな赤い花を咲かせるため景観を楽しむこともできます。

クロタラリア

ネコブセンチュウやサツマイモセンチュウの密度を低下させます。酸性土壌や痩せた土地でも生育しますが、排水性が悪い土壌には向いていません。草丈は1.5~2mほどで、真夏にきれいな黄色い花を咲かせる景観緑肥です。

セスバニア

根が直根系1m以上伸びるため、土壌の浸水性および通気性向上の効果が期待できます。草丈は3~4mで防風効果もあるようです。大麦・小麦・ネギなどの圃場にも向いており、C/N比(炭素率)が低いため窒素飢餓のリスクがないとされています。

ヘアリーベッチ

つる性植物のため、つるを絡ませて絨毯のように広がります。根は40cmほど地中深くまで伸長し、排水性や保水性といった土壌環境を改善する効果が期待できます。菌根菌だけでなく、アーバスキュラー菌根菌とも共生するため、ヘアリーベッチ栽培区では菌根菌の感染率が高くなることが知られています。ヘアリーベッチが分泌するシアナミドは雑草の生長を抑制します。一般的に長ネギ・大豆・枝豆用の緑肥として利用されています。過湿環境に弱いため排水性能が低い圃場では暗渠工事を行うなど排水対策を行っておく必要があります。

レッドクローバー

耐寒性と耐暑性を兼ね備えた多年草の緑肥です。強靭な繁殖力があるとされています。アカツメクサともいわれ昔から緑肥として使われています。強酸性の土壌には適しません。

レンゲソウ

開花頃の茎や葉は窒素の含有量が最も多く、完全に枯れる前にすき込むと良い効果が期待できます。乾燥している肥沃な土地を好むため、排水性の悪い土壌で施用する場合は高畝を作ると良いでしょう。リン酸は少な目です。

アブラナ科

チャガラシ

辛味成分グルコシノレートは土壌で分解されるとイソチオシアネートというガスに変化し、土壌燻蒸作用が期待できます。ホウレンソウ萎凋病・テンサイ根腐病・サツマイモネコブセンチュウ・キタネグサレセンチュウの抑制作用があるとされています。

キク科

ヒマワリ

初期の生長が旺盛のため雑草の生育を抑えます。ヒマワリはアーバスキュラー菌根菌の宿主になりやすいため、菌根菌の作用により植物はリン酸の吸収効率が向上します。また根から排出される根酸は、土壌中の難溶性リン酸を植物が吸収しやすい可溶性に変化させます。根が深くまで伸びるため排水性や通気性が向上します。

マリーゴールド

a―ターチニエールという成分を根から分泌し、サツマイモネグサレセンチュウ・キタネグサレセンチュウの密度を低下させます。土壌深くのセンチュウにも効果が期待できるとされています。8月頃に黄色やオレンジ色の美しい花をつける景観緑肥として知られていますが、花が咲かないタイプの品種もあります。栽培は比較的容易です。

緑肥のメリット

緑肥を活用することは、土壌中の菌や微生物が多様化することになります。この土壌環境が及ぼす影響によりさまざまなメリットが生まれます。

センチュウ抑制の効果が期待できる

慣行農業では、有害なセンチュウを抑制するために、主に殺センチュウ剤を使用しています。緑肥のセンチュウ抑制効果は殺虫剤よりは低いとされていますが、緑肥の施用により土壌中の有益な微生物が増加することで、センチュウの密度が低くなり被害が軽減されると考えられています。緑肥の種類により効果の期待できるセンチュウの種類も異なりますので、センチュウの種類や密度を調べたい場合は、自治体の農業改良普及センターかJAなどに相談すると良いでしょう。

団粒構造を促進するなど土壌環境を改善する

根が深くまで伸びる緑肥は、排水性や通気性など土壌の物理性を改善します。作土だけでなく下層土まで根を伸ばす種類の緑肥もあり、圃場を耕耘機で耕したり堆肥を施用したりするだけでは改善することが難しい土壌の深層部の環境改善にも効果が期待できます。また緑肥をすき込むことで、たくさんの有機物を土壌へ供給することができ、土壌生物の多様化や活性化が進むことで団粒構造化が促進されます。

関連コラム:団粒構造とは? 植物が良く育つ土壌に必要な要素と土の作り方

土壌病害の発生抑制

化学肥料に頼りすぎる圃場では、土壌中の菌や微生物のバランスが偏りすぎて、作物に悪影響を及ぼす菌や微生物の密度が高くなり病害の発生リスクが高くなると考えられています。緑肥の施用は、土壌中の菌や微生物の多様化により、一定の生物の密度が高くなりすぎることを防ぎ、土壌病害の発生を抑制するとされています。

土壌にあるリン酸肥料を有効利用できる

アーバスキュラー菌根菌と共生する緑肥を施用することで、後作する主作物も菌根菌に感染しやすくなり、感染した菌根菌は植物のリン酸吸収を助けるため、土壌に残存している肥料を有効に活用することができます。生育の初期から菌根菌と共生していると、その後の生長が良くなるとされています。

関連コラム:菌根菌とは?菌根菌の利用方法や増やし方について解説

溶脱してしまった硝酸態窒素やカリを有効活用できる

降雨などにより土壌の下層深くまで流れてしまった硝酸態窒素やカリは、作物が利用しにくい状態になっていますが、根の長いイネ科の緑肥は溶脱した肥料を吸い上げてくれます。その緑肥を活用することで、施肥したが作物が吸収できなかった肥料を再利用することができるという訳です。

土壌の保肥力を向上させる

すき込まれた緑肥は微生物の作用により腐植物質となりやすく、粘土と腐植物質で作られるとされる土壌中の土壌コロイドが増加します。土壌コロイドはマイナス電荷を帯びていて、プラス電荷をもつカルシウム・マグネシウム・カリ・ナトリウムなどを吸着することから、陽イオン交換量が増え保肥力が向上すると考えられています。

作物の肥料吸収力と圃場の地力が向上する

緑肥の中に含まれている窒素やリンは有機態であることが多いとされ、緑肥の施肥により有機態をエサとする微生物が活性化します。有機態のままでは植物が栄養として吸収することができませんが、土壌微生物はこれらの有機物を分解するために、酵素を放出し植物が吸収しやすい無機態に変化させることができます。また土壌微生物のうち難溶性リン酸を溶解させる有機酸を放出する種も確認され、植物がリン酸を吸収しやすくなります。加えて土壌微生物も無機化された栄養を菌体の維持や増殖に使われることがわかっており、体内に窒素やリン酸を蓄えています。このようなバイオマス窒素やバイオマスリンは土壌の養分貯金となるため、地力向上の要因となっていると考えられています。

主作物の施肥量を減らす(減肥する)ことができる

慣行栽培で使用していた施肥量から、緑肥により供給される栄養分を差引いた形で施肥を行うことで化学肥料の使用量を抑制することが可能だとされています。

土壌の塩類を除去する

腐植物質は土壌中の塩分をキレート作用で除去する作用がありますが、土壌の腐植物質が不足している状態で、家畜肥料などの塩類を大量に含んでいる肥料を使用し続けると、塩類集積といわれる状態に陥ります。塩類集積は施設栽培で発生しやすく、塩分がたまった土壌では水を与えても塩が先に水を吸収してしまい作物の根が水分を吸収できず健康に育ちません。このような状態の土壌において、土から養分を吸収するソルゴー(ソルガム)などを栽培し、余分な塩類を吸収させ、生長した緑肥を圃場から持ち出すことで塩類を除去することができます。

施肥しやすい(コストや労力を低減する)

牛糞堆肥や馬糞堆肥など家畜の排せつ物を利用した堆肥は、輸送コストや散布労力の負担が大きくなりますが、緑肥はメインの作物を育てる圃場へ直接播種し一定期間生長させた後、トラクターなどを使いすき込む作業のため、施肥作業の負担が軽減されます。

景観を美化することができる

緑肥の中には美しい花を咲かせる種類がありますので、このような緑肥を活用し圃場の景観を美化することが可能です。場合によっては観光客を集めることができ、沖縄では栽培している緑肥を活かし「ひまわり祭り」を開催する地域もあるようです。

手軽に土づくりに取り組める

一般的な堆肥施肥には散布作業が必要ですが、緑肥は生長したものをロータリーなどですき込むだけで良く、作業負担は大きくはありません。

緑肥のデメリット

生育量が天候や土壌環境に左右される

化学肥料であれば施肥量を比較的簡単にコントロールできますが、緑肥はその年の天候により生長度合いが変わってきますので、生産量が安定しなかったり、生育ムラが出たりすることがあります。そのため毎年の状態を記録しておき、施肥量が足りなくなる場合には化成肥料を準備するなどの対応が必要です。場合によっては排水性・保水性・pHなど緑肥に適した環境を整える必要があります。

一作物分を育てる手間や時間が増える

後作する主作物を育てる手間や時間に加えて、緑肥作物を育てる工程が発生します。単純に考えると作物を育てる労力が一作物分増える形となります。緑肥をすき込みする際には、細かく粉砕する必要があれば、ハンマーナイフモアやフレールモアといった粉砕機を使用することもあり、機械がなければ新に購入する費用が余計にかかります。

緑肥の栽培中は他の作物を栽培することができない

当然ではありますが、緑肥を栽培している間の圃場では、経済的な価値のある主作物を栽培することができません。作物を繰り返し栽培する輪作ができなくなり、販売できる作物を栽培する場合に比べて減収となる可能性があります。

緑肥を利用する場合の注意点

利用目的に応じて適切な緑肥を選択する

緑肥の種類によって期待できる効果は多種多様のため、利用目的に沿った緑肥を選ぶ必要があります。例えば、圃場の地力を上げたい場合にはマメ科の緑肥、土壌の物理性を向上させたい場合には根量が多いイネ科の緑肥、リン酸の吸収を高めたい場合にはアーバスキュラー菌根菌と共生する緑肥というように選ぶと良いでしょう。夏作緑肥に適したもの、冬作緑肥に適したものとそれぞれありますので、主作物の栽培時期によって選択するようにしてください。

目的 使用する緑肥 種類
地力を上げたい マメ科の緑肥 クロタラリア・クローバー・セスバニア・ダイズなど
土壌の物理性を向上させたい イネ科の緑肥 ソルゴー(ソルガム)・エンバク・デコトーンなど
リン酸の吸収を高めたい AM菌と共生する緑肥 ソルゴー(ソルガム)・エンバク・ハゼリソウ・ヒマワリ・ヘアリーベッチ・ライ麦など

緑肥作物が土壌中で十分に分解されてから播種すること

すき込み直後は未熟な有機物を分解するためにピシウム菌が増え、根腐病や腐敗病の原因となります。また緑肥の分解過程で出てきたフェノール物質は、作物の生育を阻害します。緑肥が十分に分解されていない時期に主作物を播種したり植付けたりすると発芽阻害や生育阻害が起こるので避けてください。

適当な生長段階ですき込むこと

刈り取るタイミングが遅れると、茎や葉が固くなり刈り取りにくくなったり、土壌中での分解速度が遅くなり緑肥の効果が低下したりする恐れがあります。種類によっては、すき込みが遅れると緑肥の種ができてしまい雑草化します。特にエンバク・セスバニア・ソルゴー(ソルガム)・ヒマワリ・ヘアリーベッチなどは雑草化しやすいので注意しましょう。

窒素飢餓を避けるため緑肥の生長を進め過ぎない

緑肥は大きく育てれば、たくさんの有機物をすき込むことができますが、生長が進むほどC/N値が高くなります。緑肥作物の分解速度は炭素(C)と窒素(N)の割合を表すC/N値が関係しており、C/N値が低いほど速く、C/N値が高いほど遅くなります。C/N値は緑肥の草丈の高さに影響を受けるとされ、草丈が高いほどC/N値は大きくなります。C/N値が高すぎると緑肥作物の分解に窒素が利用され、窒素飢餓状態に陥るので注意が必要です。

緑肥に頼り過ぎない

土壌の雑草の種子やセンチュウ(線虫)の密度が高いと、緑肥の効果が得られない場合があります。化学的な防除方法と併用しながら緑肥を利用すると良いでしょう。土壌環境に適した緑肥の利用が求められます。

主作物と同じ科の緑肥は使用しない

科が同じ作物は、養分吸収の特徴や病害虫耐性が似ていることから、主作物と同じ科の作物を緑肥として用いると主作物に悪影響がでる可能性があります。緑肥同士でも連作障害が発生するリスクがありますので、必要に応じて緑肥の種類を変えるようにしてください。

緑肥をすき込みする方法

1.緑肥を粉砕しすき込む

地上の緑肥植物をハンマーナイフモアとフレールモアなどで粉砕し、ロータリーで3回以上行うことが望ましいとされています。ストローチョッパーで裁断してからロータリーですき込むと土壌に対して均一に施肥でき分解も早くなります。適切なタイミングを逃すと緑肥が固くなり、ロータリーが絡まりやすく作業性が低下しますので注意してください。

緑肥の種類によってはプラウを使っての反転すき込みも可能です。草丈の高い緑肥は、フレールモアで細断した後にすき込みを行うとスムーズに作業を行うことができます。すき込む量を減らす目的で、細断した緑肥で土壌を被覆して乾燥させてからすき込む方法もあるようです。その場合は雑草抑制の効果も期待できます。

2.施肥する(必要がない場合もある)

一般的に前作物が残した養分が土壌に残っている場合は、無施肥で栽培は可能だとされています。特にマメ科の緑肥は養分が少なくても生長しやすいため施肥は不要です。マメ科以外の緑肥で土壌養分が不足している場合には施肥をする必要があります。

3.緑肥の腐熟期間を設ける

すき込んだ緑肥の種類にもよりますが、一般的に腐熟期間の目安は主作物の作付けまでは20~30日程度とされています。腐熟期間中は10~15日に1回程度ロータリーなどで耕耘を行うと腐熟が促進されます。

4.播種

ブロードキャスターを取り付けたトラクターや播種機・散粒機などで播種します。発芽や初期の生長を促すために覆土します。覆土の厚さは種のサイズの3~5倍が適当だとされています(覆土が厚くなりすぎると発芽率が低下しますので注意してください)。覆土は鳥害防止にもつながります。さらにケンブリッジローラーなどで鎮圧すると発芽しやすくなります。

牧草への納入実績あり!|キンコンバッキー

キンコンバッキーはグロムス属のアーバスキュラー菌根菌を含む土壌微生物資材です。アーバスキュラー菌根菌は植物の根に共生でき、共生させるとリン酸吸収能を改善します。牧草では生育良好によるバイオマス量の増加を期待することができます。牧草種子にはキンコンバッキーを粉衣させて利用します。使用目安は反あたりの種子に足してキンコンバッキー15gで、しっかり満遍なく粉衣させます。
キンコンバッキーはイネ科植物への共生効果が高いとされれており、乾田直播の稲栽培では広く使用されるようになってきました。

緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説(イメージ)
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粘土鉱物粉末に菌根菌が付着しています
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水で希釈します
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希釈水をポット苗やマットに灌水します。ドブ漬けもできます。
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キンコンバッキー共生の様子(マリーゴールド)
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緑肥のように地力向上や土壌環境を改善するおすすめの資材

地力の素|高純度フルボ酸含有100%有機質土壌改良材

地力の素は、フミン酸やフルボ酸といった腐食物質を高濃度で含んだ土壌改良資材です。作物の生育過程で腐植物質が土壌から奪われ不足すると、土壌微生物の減少や多様性の低下により病害や連作障害が発生するリスクが高くなったり、団粒構造が失われたりします。地力の素にはペレットタイプもあり機械散布することが可能で、牛糞堆肥や馬糞堆肥といった家畜糞堆肥を施肥する作業に比べて労力が軽減されます。
フミン酸やフルボ酸は、微量でも発根を促進し根量を増やす作用があるとされ、根の活性能力が高まり栄養補給能力を向上させる効果が期待できます。またキレート作用もあり、土壌の中にある難溶性リン酸や微量要素を植物が吸収しやすい状態に変化させます。

地力の素の解説動画はこちら

緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説(イメージ)
【 細粒 】20kg
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【 粗粒 】20kg
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【 ペレット 】15kg
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【 リキッド12 】1L
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【 リキッド12 】5L,20L
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土壌改善に役立つバイオ炭

スミちゃん|籾殻連続炭化装置

籾殻連続炭化装置のスミちゃんは籾殻を自動で炭化する装置です。籾殻炭を土壌にすき込むと多孔質構造により保水性や通気性が向上したり、微生物の住みかになることで、団粒構造化を促進するなど土壌環境を改善する効果が期待できます。費用をかけて処分していた籾殻を利用し土壌改良に役立てることができれば一石二鳥です。
また油分であるタール分が多いと主作物に悪影響を与える可能性がありますが、スミちゃんは700℃程度の高温で燃焼させ炭化させるためタール分がほとんどない良質な籾殻炭を作ることができるので安心して土壌へ投入できます。

▶【動画】スミちゃん設置編
▶【動画】スミちゃん稼働編

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緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説(イメージ)
A型(左:本体、右:立ち上がりスクリュー)
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B型(本体) 
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籾殻の残量が確認できます。
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籾殻点火口。籾殻に灯油をかけてライターなどで点火します。
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スクリューのスイッチON/OFFに使用する操作盤
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温度計。炉内が設定値より高温になると緊急停止します。
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温度計センサー。炉側面に取り付けます。
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定期的に油をさします。
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緑肥を活用した農業経営モデルの確立を

世界的に人口が増加していく中、化学肥料の需要は高い状態が続き、価格は高止まりすることが予想されています。肥料の使用を抑えながら高品質・高収量・高収益を維持していくためには、緑肥を利用した地力向上や土壌環境の改善を行っていく必要があるのではないでしょうか。緑肥は主作物とは違い、それ自体に経済的な価値はありませんが、継続的に圃場の土壌環境を維持していくためには大切なツールです。化学肥料を全てやめる必要はないかと思いますが、偏りすぎた施肥方法を見直し、緑肥を活用した経営モデルを構築してみても良いかもしれません。

緑肥とは?緑肥の種類と使い方を詳しく解説

コラム著者

キンコンバッキーくん

菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。

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