コラム
とう立ちとは? おいしい野菜を作るために押さえておきたいポイント
公開日2019.04.16
更新日2022.04.28

とう立ちとは? おいしい野菜を作るために押さえておきたいポイント

とう立ちとは花芽のついている茎がにょきにょきと伸びてきた状態のことを言います。皆さんが良くご存知の「ふきのとう」の「とう」は花軸や花茎のことを指していて、この部分が伸びることからとう立ちと言います。家庭菜園や園芸のご経験のある方や、農業に従事されている方にとっては聞きなれた言葉ですね。とう立ちは光合成をしながら成長する植物にとってあたりまえの状態ですが、食用として考えた際にはまた違った意味を持ちます。今回はおいしい野菜を収穫するという観点からとう立ちについてご説明したいと思います。

とう立ちの基礎知識

植物の成長には「栄養成長」と「生殖成長」の二つの生育段階があります。栄養成長は茎や葉を作る植物自身が大きくなるための現象、生殖成長は花や果実や種を作るといった子孫を残すための現象です。
とう立ちはこの生殖生長の始まったサインで、花芽が作られた後、花茎が伸びだすことをとう立ち(抽苔)といいます。この後に花芽分化し蕾を形成・開花・結実という成長サイクルになります。花芽分化が栄養成長から生殖成長への転換点となると言われています。

種類 現象 目的
栄養成長 種 → 芽が出る → 茎や葉が成長する 植物自身が大きくなるため
生殖成長 花芽ができる → 花が咲く → 実を結んで種を作る 子孫を残すため

 

●とう立ちによる野菜への影響

トマト・ナス・きゅうり・いちごのような果菜類は栄養成長生殖成長の両方が同時に進行します。花が咲いた後に結実する果菜類は、収穫のためにはとう立ちを経て花を咲かせる必要があります。一方、ほうれんそう・小松菜・キャベツのような葉菜類と大根・ニンジン・ゴボウのような根菜類はとう立ち生殖成長)すると花芽に養分が行ってしまう影響で、葉が硬くなり根の栄養が少なくなってしまいます。そうなると可食部の食味が落ちたり、結球野菜はうまく丸くならないことがあり、食用・販売用に向かなくなってしまいます。品質を下げないためには生殖成長が始まる前の適期に収穫する必要があるというわけです。
※例外的にブロッコリー・カリフラワーのような葉菜類はとう立ちを経て収穫したほうが良いと言われています。

種類 成長過程
主に果菜類 栄養成長生殖成長が同時に進行
主に葉菜類 根菜類 栄養成長が終わってから生殖成長へ移行

葉菜類や根菜類のとう立ちが始まる主な原因

とう立ちが始まる主な原因はいくつかあります。また作物によって異なり同一作物でも品種によってとう立ちが始まる要因は異なっているようです。

低温が一定期間続いた影響で生長点に花芽ができ(春化=バーナリゼーション)開花が促進されることがあります。作物が長時間の低温を体感すると、冬の経過と認識するためと言われています。品目によって期間や温度は異なります。種まき後に低温状態にさららせると、とう立ちしやすくなる野菜は種子春化型と言われ白菜・水菜・青梗菜・大根などです。種が水分を吸収し動き出したときに低温に感応して花芽分化が始まります。ある一定の大きさになってから低温を感じると、とう立ちしやすくなる野菜は緑体春化型と言われキャベツ・玉ネギ・人参・ブロッコリーなどがあります。

とう立ちしやすくなる環境 品目
種子春化型 播種後、低温にさらされる 白菜・水菜・青梗菜・大根など
緑体春化型 一定の大きさになった後、低温にさらされる キャベツ・玉ネギ・人参・ブロッコリーなど

●日照時間が長い

植物には光センサーと体内時計の働きによって花芽が形成されると考えられています。春菊・ホウレンソウ・レタスなどの品目は日照時間が長く、高温の状態が続くととう立ちしやすいと言われています。夜間に照明が当たる場所で栽培すると作物が長日と勘違いをするためです。一方、短日だととう立ちしやすくなる植物にはシソ・サツマイモなどのがあります。

●栄養の供給バランス

窒素や炭素の量が増えることで植物の成長速度をはやまると、とう立ちする時期がはやくなることがあります。一方、植物体内の窒素が減少し肥切れ状態になると花芽分化しやすくなることもありますので、供給バランスに注意が必要です。

葉菜類や根菜類のとう立ちを防ぐ方法

葉菜類・根菜類といった野菜の種類によって、とう立ちの原因が異なりますので、品目に合わせて適切に栽培することが大切です。

●種まきのタイミングを調節する

種まき後の低温がとう立ちの原因になる種子春化型の野菜の場合は、気温の高い日が続くタイミングで種まきを行うと良いでしょう。週間天気予報を見て低温が続きそうな場合は日を改めましょう。 緑植物体春化型の野菜は、花芽分化が起きない小さな株の状態で越冬させられるように、適切な時期に種まきや定植をすることが大切です。プランターを使って温度の高い環境で育苗した後に畑に定植する方法もあります。

●保温する

種まき時から低温環境にさらさないようにポリマルチを敷き、保温効果の高いビニールトンネルで覆って保温できる環境を整えると良いでしょう。夜間の低温の緩和と昼間の温度上昇が期待できます。低温にさらされた後でも一定期間高温にさらされると、花芽ができにくくなる(脱春化)ことがありますの有効活用しましょう。

●街灯が当たる場所を避ける

夜間に街灯が当たる場所での栽培は避けた方が良いでしょう。長日条件では植物が冬を越したと感じてとう立ちの原因になることがあります。

●とう立ちしにくい品種を育てる

種子春化型では水分を吸収して芽を出す準備の遅い品種を選び、緑植物春化型では低温や日長による肥大の影響を受けにくい品種を選ぶと良いでしょう。これらとう立ちしにくい品種は晩抽性品種と言われています。

●肥料切れを避ける

肥料切れといったストレスを感じると花芽分化をしやすくなります。追肥といった適切な肥培管理をすることで作物の土壌環境を良好に保つことが大切です。

関連するコラムはこちら:野菜の栽培に欠かせない追肥とは? 生長に合わせて適切な肥料の選択を

肥料切れに有効なおすすめの資材

BioSもろみ(バイオスもろみ)

沖縄生まれのBioSもろみは高温環境下における植物の生育サポートで実績を積んでいます。もろみに含まれるクエン酸は植物の肥料吸収を効率化する性能(キレート作用)があり、夏期の高温によって体力を落としている植物に対して葉や根から栄養補給を助けます。アミノ酸と微量要素は果実品質や樹勢維持などに効能があり、クエン酸により更に植物に吸収されやすくなって好影響を与えます。
BioSもろみは野菜類、葉菜類、果樹に使用することができます。製品タイプによって含有成分が異なるため植物の生育ステージに適したタイミングに施用することで、より高い効果を発揮することができます。

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とう立ちに着目しおいしい野菜をつくりましょう

おいしい野菜をつくるためには、とう立ちの状態をきちんと見分けることが必要ですね。今回ご紹介した内容を食味の良い野菜作りに生かしていただければ幸いです。

とう立ちとは? おいしい野菜を作るために押さえておきたいポイント

コラム著者

セイコーステラ 代表取締役  武藤 俊平

株式会社セイコーステラ 代表取締役。農家さんのお困りごとに関するコラムを定期的に配信しています。取り上げて欲しいテーマやトピックがありましたら、お知らせください。

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