農作業中は熱中症になりやすい!?その理由とは
太陽の下で汗を流しながら働く農業は、日本の食料生産を支える大切な仕事ですが、実は農作業中に熱中症になってしまうケースは後を絶ちません。農作業死亡事故調査(農林水産省)に死亡者数の報告があり、過去10年の死亡者数の推移を表に示しました。もっとも死亡事故が多いのは乗用型トラクターや歩行型トラクターなど機械事故の割合で全体の6割~7割ほどです。死亡者数の総数は減少傾向にありますが、熱中症による死亡の割合はやや増加傾向にあるようです。
農作業中の死亡事故発生状況(農林水産省)より数字を抜粋した一覧表
和暦 | 西暦 | 熱中症(人) | 割合 | 全体(人) |
---|---|---|---|---|
平成25年 | 2013年 | 24 | 6.9% | 350 |
平成26年 | 2014年 | 19 | 5.4% | 350 |
平成27年 | 2015年 | 27 | 8.0% | 338 |
平成28年 | 2016年 | 19 | 6.1% | 312 |
平成29年 | 2017年 | 22 | 7.2% | 304 |
平成30年 | 2018年 | 43 | 15.7% | 274 |
平成31年/令和1年 | 2019年 | 29 | 10.3% | 281 |
令和2年 | 2020年 | 32 | 11.9% | 270 |
令和3年 | 2021年 | 23 | 9.5% | 242 |
令和4年 | 2022年 | 29 | 12.2% | 238 |
農作業に熱中症が発生しやすい要因は?
農作業は、他の仕事と比べて、熱中症のリスクを高める要因が多くあります。具体的な要因を見ていきましょう。
高温多湿な環境
農作業の多くは太陽光を遮るものが少なく、気温が上がりやすい屋外で行われます。近年は夏場に35度を超える日も珍しくありませんが、直射日光の下ではさらに体感温度は高くなります。地面からの熱も相まって、非常に過酷な環境下での作業となるでしょう。さらに、畑やハウス等は湿度も高く、汗をかいても上手く身体を冷やしにくい状態になっています。特に、風通しが悪いハウスは、熱中症の危険性が高い環境と言えます。
長時間の屋外作業
農作業は作物の生育状況に合わせて行う必要があるため、季節によっては、早朝~夕方まで長時間労働となることも少なくありません。長時間、高温多湿な環境下で作業を続けることで、体に大きな負担がかかり、熱中症のリスクが高まります。また、疲労が蓄積することで、熱中症になりやすくなることも指摘されています。
肉体労働で汗をかく
農作業は、機械化が進んでいるとはいえ、まだまだ肉体労働が中心です。重い荷物を運んだり、中腰の姿勢を長時間続けたりすることで、大量の汗をかきます。大量の汗をかくと、体内の水分や塩分が失われてしまい、熱中症の主要原因の1つである「脱水症状」を引き起こしやすくなってしまいます。
集中するため水分補給を忘れやすい
農作業は、集中力を要する作業も多く、水分補給を忘れてしまいがちです。特に、単独作業の場合、周囲から休憩や水分補給を促されることも少なく、自分の感覚だけに頼りがちです。しかし、喉の渇きを感じた時には、すでに体は脱水症状を起こしている可能性があります。こまめな水分補給を心がけることが重要です。
単独作業が多く発見が遅れて死亡してしまうケースも
農作業は、一人で黙々と実施することが多く、周囲に人がいない環境で作業を行うことも少なくありません。そのため、万が一、熱中症で体調を崩しても、周囲に気づいてもらえず、適切な処置が遅れてしまう可能性があります。特に、高齢者の場合、単独作業中に熱中症で倒れて発見が遅れてしまい、次のように死亡してしまうというケースが複数報告されています。
ビニールハウス内で作業中、熱中症で死亡(80代男性)
4月某日夜、ビニールハウス内で農作業をしていた80代男性が倒れている状態で発見され、その後死亡が確認されました。当日の最高気温は26.6℃でしたが、ハウス内は高温になっていた可能性があり、現場の状況等から熱中症によるものと推察されます。
畑で作業中、熱中症で死亡(70代男性)
7月某日、 畑で作業をしていた70代男性が作業服や機具等を身に着けたまま倒れているところを知人が発見し、その後死亡が確認されました。暑い中、一人で農作業を行ったことによる熱中症が原因でした。
厚生労働省が集計している人口動態統計「年齢(5歳階級)別にみた熱中症による死亡数の年次推移(平成7年~令和4年)」によれば、死亡者の割合は65歳以上で7~8割を占めており、上記の事例にあるように高齢の方のリスクが高いと考えることができます。
農作業中に熱中症になった時の対策方法
農作業中に発生しやすい熱中症ですが、初期症状を見逃すと重症化する危険性があります。いつでも自分の状態を確認でき適切な処置ができるよう、ここで熱中症のチェックリストと緊急時の対応方法についてご紹介します。
こんな症状は熱中症かも!?チェックリスト
以下の症状に一つでも当てはまる場合は、熱中症を疑い、すぐに対応しましょう。
程度 | Ⅰ度 (熱けいれん) |
Ⅱ度 (熱疲労) |
Ⅲ度 (熱射病) |
---|---|---|---|
症状 |
●めまい |
Ⅰ度の症状に 加え下記の症状 ●吐き気 |
Ⅰ度・Ⅱ度の症状に 加え下記の症状 ●意識障害 |
熱中症が疑われる時の対応
熱中症の症状が出た場合は、以下の手順で応急処置を行ってください。
1. 作業を中断し、涼しい場所へ移動する
直射日光を避け、風通しの良い日陰や、エアコンの効いた室内など涼しい場所へ移動しましょう。
2. 衣服を緩め、体を冷やす
体に密着した衣服を緩め、風通しを良くします。 首、脇の下、足の付け根などを冷水で冷やす、または濡れタオルで拭くことで、効率的に体を冷やすことができます。 氷や保冷剤があれば、タオルなどに包んで使用すると効果的です。
3. 水分・塩分を補給する
意識があり、自分で水分を摂取できる場合は、経口補水液やスポーツドリンク、塩分を含んだ飲み物を摂取しましょう。 水やお茶を飲む場合は、塩飴や梅干しなどを一緒に摂取するようにしてください。
4. 症状が改善しない場合は医療機関へ
応急処置後も症状が改善しない場合や、意識障害がある場合は、すぐに救急車を要請し、医療機関を受診しましょう。 その際、熱中症になった可能性があることを伝えることが重要です。
農作業中の熱中症を予防するには
熱中症は、命や健康を守るためにも、農作業効率を維持するためにも、予防が何よりも重要です。熱中症になりやすい農作業も、日ごろから予防対策や熱中症になりにくい環境を作ることでリスクを下げることが可能です。具体的な予防方法を見ていきましょう。
日常的な予防対策
体調がよくない時は熱中症になりやすくなってしまいます。農作業中の熱中症を防ぐには、日頃からの体調管理や対策が大切です。毎日の生活の中で気をつけたい4つのポイントをチェックしてみましょう。
十分な睡眠
睡眠不足は、体温調節機能の低下や疲労蓄積につながり、熱中症リスクを高めます。農作業を行う前は、十分な睡眠を心がけてください。健康づくりのための睡眠ガイド2023(案)(厚生労働省)によると、成人の充分な睡眠時間は個人差があるものの6時間以上が推奨されています。質の良い睡眠も重要なので、睡眠リズムが規則正しいかや良質な睡眠環境かを確認してみましょう。夜間の最低気温が25℃以上の時や蒸し暑い時は、我慢せずクーラーで環境を整えることで日中も元気に働くことができます。
バランスの取れた食事
熱中症予防には効果的な栄養素を摂取することが重要です。医師が解説する、食生活でできる熱中症対策(大正製薬)によると、食事での熱中症対策には、長期的な対策と短期的な対策があり、それぞれ組み合わせることで熱中症のリスクが軽減できるとされています。それぞれの期間で重要な栄養素と働き、食材をまとめたのが次の表です。
栄養素 | 働き | おすすめ食材 | |
---|---|---|---|
長期的対策 (通年) |
たんぱく質 |
●筋肉量の増加と維持 |
肉類、魚介類、乳製品、大豆製品、とうもろこし、卵など |
タウリン |
●筋肉疲労回復効果 |
魚介類(特に貝類)、栄養ドリンク | |
ビタミンC |
●抗酸化作用、暑熱順化のサポート |
野菜(ブロッコリー、ピーマン、ジャガイモなど)、果物(オレンジ、キウイ、いちごなど) | |
短期的対策 (暑い時期) |
ナトリウム |
●電解質バランスの維持 |
野菜(ホウレンソウ、枝豆、ジャガイモなど)、果物(バナナ、スイカなど)、藻類( |
マグネシウム |
●電解質バランスの維持 |
菜(ホウレンソウ、枝豆、ジャガイモなど)、果物(バナナ、スイカなど)、藻類(こんぶなど) | |
ビタミンB1 |
●熱中症症状の緩和 |
豚肉、大豆製品、ニンニク、玉ねぎ、玄米、ごま |
日ごろから栄養バランスの取れた食事を心がけつつ、これらの栄養素を意識して摂取することで体力も維持でき熱中症を予防することができます。そのほか、食事からも積極的に水分を摂ることも重要です。健康のため水を飲もう講座(厚生労働省後援の資料)によると、成人は通年で1日2.5Lの水分の摂取が推奨されています。
こまめな水分補給
熱中症予防には適切な水分補給が不可欠です。農作業中はもちろん、作業開始前からこまめな水分補給を心がけましょう。正しく知って夏を乗り切る水分補給のコツ(全薬工業)では、1時間半~2時間おきに200ml程の水分を摂取することが望ましく、さらに暑い時期にはもっと多くの頻度での水分補給が必要になるとしています。一度に大量の水分を摂取すると体内での吸収が追いつかず、効果的な水分補給にならない可能性があるため、一度に飲む量よりも飲む頻度を増やすことが重要です。水分補給は、水やお茶、スポーツドリンクなどがベストです。カフェインを多く含むものやアルコールは脱水に繋がる可能性があるため、農作業中は避けるようにしてください。
天気をチェックする
熱中症は、主に5月から9月の暑い季節になりやすく、特に7月から8月の真夏が最も危険だと言われています。特に次のような天気の日は熱中症になりやすくなります。
- 最高気温が30℃以上の真夏日
- 湿度が高い蒸し暑い日
- 日差しが強く、風が弱い日
また、急に暑くなった日も身体が暑さに対応できずに、熱中症になる可能性があります。こういった「熱中症になりやすい日」は、特に念入りに熱中症対策をするようにしましょう。
農作業中の作業環境見直しで熱中症リスクを軽減
農作業中の熱中症リスクを軽減するには、作業環境の見直しも重要です。以下のポイントを参考に、より安全な作業環境を整えましょう。
こまめな休憩をとる
厚生労働省では、農作業の合間に1時間おきに10~15分の休憩を取ることを推奨しています。休憩中は、木陰や涼しい場所で手足を露出して体温を下げつつ水分補給もあわせて行いましょう。「まだ大丈夫」「もう少しだけ…」は厳禁です。
熱中症になりにくい服装で作業する
農作業中の熱中症予防には服装も重要です。綿や麻などの天然素材やメッシュ素材の通気性の良い素材でゆったりとしたデザインのものを選べば、服の中も空気が循環して蒸れず、汗も蒸発しやすくなります。服の色を白や淡い色にすると、日光の吸収を抑えることが可能です。
また、直射日光を遮る紫外線対策は、肌への熱負荷を抑えることができて熱中症対策にも効果的です。UVカット機能付きの長袖や長ズボンのほか、つばの広い帽子や首筋を覆うフラップ付き帽子で頭部と首筋を保護するようにしてください。冷却タオルや冷却ベストなどの熱中症対策グッズも体温の上昇を抑えるのに有用です。ぜひ活用しましょう。
熱中症になりにくい農作業の計画をたてる
熱中症にかかりやすい時間帯を避けた作業計画をたてることで、熱中症にかかるリスクを軽減できます。次の表を参考に作業計画を見直してみてください。
時間帯 | 作業 | おすすめの作業 | |
---|---|---|---|
暑い 時間帯 |
10~16時頃 | 可能な限り作業は避けて休息する。作業する場合は、比較的軽い作業を行う | 草取り、種まき、軽い農作物の収穫、水やり、剪定、軽量の肥料散布など |
涼しい 時間帯 |
早朝 |
作業を集中させる。 体力を要する重労働など |
耕耘、植え付け、重い農作物の収穫、刈払機を使った草刈、灌漑作業、手動または機械で行う大量の肥料や農薬の散布など |
計画を立てる際は、1時間ごとの休憩をとることを忘れずに盛り込むようにしてください。天候や天気を確認し、特に暑くなる日は作業量を減らすといった調整を行うことも重要です。
暑熱順化
農作業のスケジュールを組む際に、徐々に暑さに慣れていく「暑熱順化」を考えることも大切です。最初の数日は、短い時間や軽い作業から始め、徐々に作業時間や強度を上げていくことで、身体を暑さに適応させることができます。暑熱順化には個人差がありますが、一般的に下記に気をつけることで熱中症になりにくくなるとされています。
- 1日目:通常の半分程度の作業時間で、軽めの作業
- 2~3日目:通常の3/4程度の作業時間で、やや軽めの作業
- 4日目以降:通常通りの作業内容
急に暑くなった時は、身体が暑さに適応しづらいので特に気をつけてください。
作業場所の環境改善
熱中症になりやすい農作業の環境を改善することも、重要な熱中症対策です。休憩場所には、日よけを設置するほか、クーラーボックスに冷たい飲み物や氷などを用意しておくと、より効果的に体温を下げることができます。また、後でお伝えするように、作業場所も日陰やミスト、扇風機などの熱中症対策グッズを設置することで熱中症リスクを下げることが可能です。
複数人での作業
単独での作業になりやすい農作業ですが、熱中症のリスクが高い時期の単独作業は避けて、複数人で作業を行うことが推奨されています。つい集中しがちな農作業も、複数人いれば適切な休憩やこまめな水分補給をとりやすく、些細な体調の変化にも気づきやすくなるので熱中症も早期に対応することができます。また、複数人いれば作業や休憩のローテーションを組むこともでき、作業効率も落とさずにすみます。可能な限り、家族や近隣の方等と協力体制を組むようにしたいですね。
どうしても1人で作業しなければならない時は、アラーム機能付きの熱中症指数計や後でご紹介するウェアラブル端末を利用すれば、熱中症対策に気をつけつつ安全に作業することができるでしょう。
熱中症対策資材①ビニールハウスの暑さ対策に!空動扇&空動扇SOLAR
特に熱中症のリスクが高いハウスでは、換気扇の設置が効果的です。空動扇&空動扇SOLARは、電気がいらない換気扇で、ビニールハウスの天長部に溜まった熱く湿度が高い空気を外へ排出します。サイド巻き上げ換気の併用で側面から空気を取り組み循環させることが可能です。頭上の熱だまりを排気することで、農作業者への熱によるダメージを減らし熱中症発生のリスクを低下させる効果が期待できます。換気弁の開閉温度はおよそ0~40℃の間で設定ができます。農作物は、一般的に30度以上の気温が続くと生育に悪影響が現れますが、空動扇を設置することで作物の適温も保ちやすくなります。電動の換気扇よりも導入コストが抑えられて維持費もかからず、人気の熱中症対策となっています。また、暑さ対策ではありませんが、台風などの強風時には内部が負圧になりビニールのばたつきを抑えることで、ハウスの破損の予防効果も期待できます。
熱中症対策資材②バケツの水を使うコードレスミストファン
身体が暑さになれていないうちは、汗がかきづらく熱中症のリスクが高まってしまいます。そんな時の畑仕事の作業時や休憩時におすすめなのが、ETG Japan株式会社のコードレスミストファンは、電源コードや水道ホースが不要で、水を入れたバケツの上に置いてスイッチを押すだけで簡単に使用できるミストファン。風量とミスト量はそれぞれ2段階で調節可能で、最大設定でも5.5時間以上の連続使用が可能です。小型で軽量(わずか2.7kg)な設計に加え、ハンドルが付いているため、持ち運びやすいのもポイントです。
農作業中におすすめな熱中症対策グッズ5選
農作業中の熱中症対策には、暑さを避けるだけでなく、身体を冷やす工夫も大切です。ここでは、効果的な対策グッズを5つ厳選してご紹介します。
ネッククーラー
首元を冷やすことで効率的に体温上昇を抑え、涼しく過ごせるアイテムです。ネッククーラーの選び方ネッククーラーには、水に濡らしたり凍らせたりして使用する水冷式のものと、小型ファンで風を送るファン式のものがあります。それぞれ使い分けることでより効果的な熱中症対策を行うことができるでしょう。
特徴 | 適した環境・農作業 | |
---|---|---|
水冷式 |
●充電不要で即座に冷却効果が得られる |
●乾燥した暑い日には水冷式が効果的 |
ファン式 |
●湿度の高い環境で効果的 |
●湿度の高い蒸し暑い日にはファン式の方が汗の蒸発を促進するため効果的 |
ネッククーラーを選ぶ際には、長時間の使用に耐えられる耐久性や効果時間(バッテリー駆動時間)に注目し、軽くてフィットする装着感のよいものや防水・耐汗性能のあるものを選ぶようにしましょう。
冷却スプレー
肌に直接吹きかけることで、手軽に冷感を得られるアイテムです。
冷却スプレーの選び方
冷却スプレーにはガスタイプとミストタイプの2種類があり、ガスタイプは冷却効果が高く、ミストタイプは比較的肌や服に優しいという特徴があります。メントール入りのものもありますが、メントールは清涼感が持続するだけで体温を下げる効果は実はありません。メントールの刺激が苦手な方は無理に使わず、無香料・無着色タイプを選びましょう。
使用方法も、肌に直接吹きかけるタイプと、衣類に使うタイプがあります。肌に直接噴射するタイプは、即効性が高く、ピンポイントで冷却したい部位に使用できますが、敏感肌の方には強い刺激となってしまうこともあります。衣服に噴射するタイプは、肌への刺激が少なく、清涼感も長時間にわたって感じられることが多いですが、即効性は劣り冷却感が弱く感じられるという意見もあります。どちらが良いか、好みで選ぶようにしてください。
電動ファン付きベスト
ベストに内蔵されたファンによって風を送り込み、衣服内に空気の流れを作り出すことで涼しさを感じられるアイテムです。空調服とも呼ばれています。
電動ファン付きベストの選び方
DCプラグ出力のバッテリーを使用したものは風量が多く、冷却効果が高い傾向があります。USB出力のものより、DCプラグ出力の方が涼しさを感じやすいでしょう。農作業に使用する場合、動きやすいベストタイプのものがおすすめです。軽量で通気性の良い素材を使用したピッタリのサイズのものを選ぶようにしましょう。バッテリーやファンが取り外し可能なものだと洗濯しやすく衛生的に使用できます。そのほか、バッテリー駆動時間や風量調整機能にも注目したいところです。また、保冷剤ポケット付き、撥水加工や遮熱機能、UVカット機能など多機能の電動ファンもありますので、お値段と相談しながら選ぶようにしてください。
つば広帽子
直射日光から頭部や顔を守ることで、熱中症予防に効果的なアイテムです。
つば広帽子の選び方
つばの長さは7cm以上のものがおすすめです。顔だけでなく、首回りまでしっかり覆えるか確認しましょう。通気性の良い綿や麻素材、吸汗速乾素材を選ぶのがポイントです。紫外線対策もできるUVカット加工が施されたものにすれば、さらに熱中症対策の効果が期待できるでしょう。
ウェアラブル端末
熱中症予防のためのウェアラブル端末は、リアルタイムで身体の状態を測定できる優れものです。熱中症のリスクが高まったらアラームが鳴るため早期に対策することができます。
ウェアラブル端末の選び方
ウェアラブル端末選びでは、複数の生体情報と周囲の環境を測定できる機能と、リアルタイムモニタリング、アラート機能があることが重要です。農作業に適した端末は、装着感が良く軽量で、長時間の使用に耐えられるものが理想的です。防水・防塵性能があり、バッテリー持続時間は1日の作業を余裕でカバーできるものを選ぶようにしましょう。
適切な対策を行い農作業中の熱中症に気を付けましょう
野外での作業が多くなる農家の皆さんは熱中症になるリスクが高いです。命を守るためには、早期の発見と適切な対応、そして熱中症にならないための予防対策がとても重要になります。日ごろから睡眠や食事、水分補給などに気をつけつつ、計画的に作業を行うことでリスクを下げる効果が期待できます。また、作業環境の見直しも、作業効率を落とさないためには重要です。特に、熱中症になりやすいハウスは、日よけや換気扇の利用が効果的で、作物の出来に影響する高温障害も防ぎやすくなります。
熱中症対策の基本は、まず体を冷やすこと、そして適切な休憩とこまめな水分補給とです。熱中症対策グッズを活用しているからといって過信しすぎず、自身の体調と相談しながら作業するようにしましょう。
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コラム著者
セイコーエコロジア編集部
農家さんのお困りごとに関するコラムを定期的に配信しています。取り上げて欲しいテーマやトピックがありましたら、お知らせください。