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畑の鳥害対策について|鳥害の実態や鳥害対策方法を解説
公開日2021.11.04
更新日2021.11.04

畑の鳥害対策について|鳥害の実態や鳥害対策方法を解説

農業や家庭菜園やガーデニングをしていると、鳥が侵入することで大切な農作物が食べられてしまう・・・。そのような被害を経験された方は多いのではないでしょうか。野生鳥害による被害額は令和元年度においては31億円前後で推移しており、獣害の被害額における127億円には及びませんが、放置できない問題となっています。鳥は眼が良くて学習能力も発達しているため、一度食べ物があるとわかると頻繁に訪れて被害を出すケースも多く、農業者の営農意欲の減退につながることもあります。今回のコラムでは畑の鳥害対策に関して詳しく解説していきたいと思います。本コラムがお役に立てれば幸いです。

畑の鳥害の実態とは?

農林水産省による報道発表資料によると全国の令和元年度の鳥害の被害額は31億円と報告されています。害鳥の内訳としてはカラスが13.3億円(42%)、ヒヨドリが6億円(19%)、カモが4.5億円(14%)、スズメが2.4億円(8%)、ムクドリが1.8億円(6%)、ハトが9千万円(3%)、その他鳥類が2.5億円(8%)となっています。なお昨年との違いはヒヨドリの被害が前年度に比べて3億円増加しています。

参考:全国の野生鳥獣による農作物被害状況について(令和元年度)

畑(はたけ)は野菜・穀物などを作る耕地を指し、家庭菜園においてはベランダ栽培、農業においては露地栽培や施設栽培が当てはまります。被害作物としては、イネ・大豆・とうもろこし・ムギ類・葉菜類(ブロッコリー・こまつな・キャベツ・はくさい等)・果菜類(トマト・すいか・いちご等)・かんきつ類・その他の果実が当てはまります。イネの場合、芽と根を残して種モミ部分をカルガモやカラスが食害。葉菜類の場合、ヒヨドリが葉を食べる食害。といった鳥害が報告されています。

最初に行うべき鳥害対策

被害を引き起こす要因(何に寄ってきているか・害鳥の種類など)は何なのかを調査しましょう。また鳥はかしこく、しつこいということを事前に認識しましょう。つまりすでに被害に遭っているのであれば、例えば捕獲したとしても周辺から再び集まってくるため被害減少にはならない可能性が高いです。鳥類を圃場へ寄せ付けない対策がとても重要です。

鳥害を及ぼす鳥の特徴と被害

カラス:被害額第1位(13.3億円)

日本で農作物に被害を与えるのはハシボソガラスとハシブトガラスの2種類です。前者は九州よりも北の地域で、後者は日本全国に生息をしています。雑食性なので穀物・昆虫・生ごみ・動物の死体などさまざまなものを口にします。人家でのゴミ置き場における被害が最も身近ですが、農作物では果樹・野菜・穀物・飼料作物などの被害があり、野菜ではトマトやスイカといった果菜類、穀物ではトウモロコシの種子への被害が報告されています。また農作物以外もビニールハウスを破くといった被害も問題となっています。

ヒヨドリ:被害額第2位(6億円)

日本全国で1年中みかける鳥です。昆虫類・果実・花や蜜・葉野菜を口にします。野生の木の実がなくなる真冬~初春の期間でかんきつ類やキャベツなどの冬野菜に被害が発生しやすいです。食害されるとかんきつ類では細いくちばしを差し込んで食べた形状の食痕が残り、キャベツの場合は結球部分がちぎり取られた痕のような食痕が残ります。

カモ:被害額第3位(4.5億円)

農作物に被害を与えるのはカルガモ・ヒドリガモ・マガモが挙げられます。カルガモは北海道を除く1年中日本で見られ、その他のカモはシベリア等で繁殖し、秋に日本へ移動することで冬越しし、春に再度繁殖地へ移動を繰り返す渡り鳥です。主に草の葉や茎や種子、また小型の無脊椎動物を口にします。ヒドリガモは海藻類も好んで口にします。農作物ではカルガモは主にイネを、ヒドリガモは野菜・ムギ・ノリの養殖の被害が報告されています。またレンコンもカモ類による被害が報告されています。

スズメ:被害額第4位(2.4億円)

日本全国で1年中みかける鳥です。主に種子を口にします。特にイネ科、タデ科、キク科の乾燥した種子を好みます。その他、チョウやガの幼虫や成虫、甲虫、バッタ等の小型昆虫やクモなども口にします。繁殖期は3~9月で年に1~3回繁殖します。被害作物はイネやムギといった穀類ですが、その他の種子や出芽した芽も被害を受けます。

ムクドリ:被害額第5位(1.8億円)

九州よりも北に広く分布し、1年中見られます。昆虫・ミミズ・木や草の果実を口にします。繁殖期は3月下旬~7月で年に1~2回繁殖します。被害作物は主に果樹で、特にサクランボの被害が大きいです。その他は梨、ぶどう、柿などが被害に遭います。

関連コラム:ムクドリの鳥害対策と駆除方法を徹底解説

ハト:被害額第6位(9千万円)

日本で被害を出す種類はキジバトとドバトの2種類です。両種ともに全国に広く分布しています。種子や低木の小果実などを口にします。主に植物食ですが、昆虫やミミズ等も口にすることがあります。繫殖期は北日本では4~10月、西日本や都市部では1年中繁殖します。被害作物は主な被害は大豆といった豆類で、その他にムギ類、イネ、飼料作物、野菜などがあります。

鳥害対策のポイント:鳥の畑への侵入を抑える

防鳥網を張る

農作物を覆うことで侵入を防止し、被害をなくすことができます。隙間なくしっかりと施工することができれば、防鳥効果は高いです。デメリットは大規模な面積の場合、それなりにコストがかかることです。対象となる鳥の種類に合わせて網目の大きさを選び、たるまないようにしっかりと施工することが大切です。ポイントは鳥の種類によって網目の大きさを用いることと、軽くて丈夫な防鳥網を選定することです。また防鳥網と地面の間に隙間があると、そこから侵入してしまうことがあるので施工の際は注意します。

テグスを張る

テグス・水糸・ワイヤーなどを用いることでカラスなどの比較的大型な鳥の侵入を防止する効果が期待できます。張る間隔は少なくとも1m以内(カラスが翼を広げると1m)にします。防鳥網よりも安価に対策できることがメリットです。

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鳥害対策のポイント:鳥の追い払い製品を使用する

音や視覚による製品

鳥類は真新しいものを警戒する生態を持ち合わせているため、カカシ・爆音器といった様々なグッズが販売されています。しかし、どうしても「慣れ」が発生するため、短期的な対策となります。少しでも効果を持続させるためには複数のグッズを頻繁に変えることが大切です。

忌避剤

チウラム等の化学物質(登録農薬)を播種前の種子に処理することで被害を軽減することができます。農薬の総使用回数としてカウントされるので注意しましょう。またチウラムは魚毒性が強いので河川や湖沼が通じる場所での使用はしないように注意しましょう。

おすすめの鳥害対策商品『バードネット

そこでご紹介したいのが、セイコーエコロジアで取り扱っている「バードネット」です。ネットの素材にポリプロピレンを使用しており、縦糸と横糸の交差点を縦方向と横方向へ延伸式に融着することで、縦・横・斜めのどの角度に負荷がかかっても、強度があり破れにくい安心な構造です。

軽量のため作業性に優れており、編み込み型のネットと違い交差点が融着されていますので、目ズレやほつれがおこらないメリットも。

目合いは18mm×20mmという適度なサイズですので、大切な果樹・作物を鳥害から守ることができます。幅1m~5mの5種類からご用意しておりますので圃場のサイズに合わせてお選びください。発送は 1 セットからでも可能です。5セット以上のご購入で送料無料とさせていただきます。

鳥害から大切な農作物を守る

今回は畑の鳥害対策に関して記載しました。大切に育てた農作物が被害を受けることを避けるためにも適切な防鳥対策を施していきたいものです。今回のコラムが少しでもお役にたてれば幸いです。

畑の鳥害対策について|鳥害の実態や鳥害対策方法を解説

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Twitterを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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