フルボ酸とは?
フルボ酸の基礎知識
フルボ酸は動植物の遺骸などが微生物によって分解される過程の中で出来る腐植物質の1つです。他にフミン酸(腐植酸)・ヒューミン・ヒマトメラン酸などがあり、自然界の中では少量しかできないため、希少性がある貴重な資源だと考えられています。これらは天然の電解質として知られ、土中に含まれている微小ミネラルを包み込み水の中を移動します。植物の根が吸収しやすい大きさで届ける作用があると考えられているため土壌改良資材として利用されています。
ちょっと解説☞腐植物質って?
動物の死骸や落ち葉・倒木などが微生物により分解されていく過程で発生(変質)する有機物質の総称です。この物質が堆積するほど発生するには一定の条件があり1cm積みあがるのに100年かかるといわれているため、腐植物質が積みあがってできた腐植土地層はどこにでも存在しているものではありません。この腐植土地層にはバクテリアなどの微生物が活発に活動しているため、有機物質を次々と分解していきます。
古代に形成された腐植土地層は地中深くに沈んでいきます。その後地殻変動や川の浸食などにより地表に姿を現すことがあります。代表的なものの1つがアメリカ合衆国ユタ州にある「ヒューミックシェール」です。1925年に発見された地層で約1億年前のものといわれています。この地層は植物ミネラル分とフルボ酸を多く含んでおり、アメリカ先住民(ネイティブ・アメリカン)の文化には、この土地の地層から出る水を飲むと病が治るという言い伝えがあったそうです。
フルボ酸の役割
植物は土中から鉱物由来のミネラルを吸収し、葉や茎・根などに取り込みます。植物が枯れ、微生物に分解される過程で植物由来のミネラルが出来ます。このミネラルを効率よく循環させるのに重要な役割を果たしているといわれています。
フルボ酸の生成・抽出方法
フルボ酸は、その分子内にカルボン基・フェノール性水酸基を多く含む無定形高分子有機酸だということはわかっています。しかし、その生成は微生物などが植物を分解する過程の中で作られているため、化学的に精製することは難しいといわれています。腐植物質にアルカリを加えフミン酸とともに可溶成分として抽出し、この可溶成分に酸を加え中和させるとフミン酸が沈殿分離し、沈殿しなかった液にフルボ酸が残るという方法で科学的に抽出が可能という報告もあるようです。
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フルボ酸の能力や効果
フルボ酸は植物を活性化するという研究があります。フルボ酸が含まれた土壌改良資材を活用することで「生育が促進された」「病気にかかりにくくなった」等の報告があり土壌の質を向上させる物質として期待されています。
植物の生長を助ける
フルボ酸は、栄養素であるミネラルやアミノ酸を抱き込み水の中を移動することが出来る天然の電解質です。この抱き込む作用を「キレート作用」や「キレート化」といいます。カニの鋏のように栄養素を抱き込んだ状態で、土壌から根に、根から各細胞へと効率よく運ばれるため、光合成が活発に行われ根の発育促進を促し、活力を与えるといわれています。肥料も植物が吸収しやすくなると考えられています。
土壌微生物が増える
フルボ酸は土中のミネラル分を均一化させると同時に、土壌中の微生物に対しても増殖を促す養分を供給しているのではないかと考えられています。土壌微生物がミネラル分を消費して活発化するため、微生物が生産したアミノ酸などの有機物が増え、土壌の酸性度は中和されていきます。同時に団粒構造化が促進され植物にとっては、通気性が良い土壌で適度な水持ちがある(保水力や保肥力が高い)快適な環境が出来上がるようです。
土壌が改善される
圃場では育つ作物が土壌の栄養素を使って生長するため、収穫を繰り返していると土壌がやせ細り、病気が発生したり害虫に侵されたりと被害が多くなっていきます。一般的な堆肥を使った土壌改良では、堆肥が腐植物質へ変化するには条件がそろわなかったり時間がかかりすぎてしまいますが、既に腐植物質となっているフルボ酸を使うことで短期間に土壌改良を行うことができると考えられています。
フルボ酸の効果で土壌を活性化させる地力の素
地力の素はカナダ・アルバータ州にある天然の腐植物質です。氷河に覆われていた寒冷な環境下で長い時間をかけて熟成された堆積層から産出しています。アルバータ州はカナディアンロッキー山脈の東麓にあり、世界でも屈指の亜寒帯針葉樹林が広がっています。この膨大な樹木が長い年月をかけて堆積したことにより優良な腐植物質が蓄積されたと考えられています。フルボ酸・フミン酸などの良質な腐植物質が高濃度に濃縮されているという特長があります。このような原料を使用した地力の素は、植物に必要なミネラルやアミノ酸などの微量養分の吸収力を高め、発育を促す効果が期待できます。また土の中の微生物を活性化させることで、衰えた土壌を回復させると考えられています。地力の素の腐植は20kgだけで堆肥1トン分と同等の含有量があります。その為、堆肥と併用することで堆肥の投入量を削減し土づくりを省力化します。
フルボ酸を活用し豊かな土壌に改善しましょう
作物の栽培において土壌が良いことは基本中の基本です。土壌が良くなければ、いくらその他の環境を整えても効果を発揮しにくくなります。手間暇のかかる土壌改良をフルボ酸を上手に活用することで、省力化することが期待できます。弱ってしまった土地を時間をかけずに豊かな土壌に改善し健全な作物を作りましょう。
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コラム著者
キンコンバッキーくん
菌根菌由来の妖精。神奈川県藤沢市出身、2023年9月6日生まれ。普段は土の中で生活している。植物の根と共生し仲間を増やすことを目論んでいる。特技は狭い土の隙間でも菌糸を伸ばせること。身長は5マイクロメートルと小柄だが、リン酸を吸収する力は絶大。座右の銘は「No共生 NoLife」。苦手なものはクロルピクリンとカチカチの土。