芝刈りの重要性|目的と効果
芝刈りは見た目の美しい芝庭をつくったり保ったりするためにとても重要な作業です。長期間芝刈りをしないでおくと伸びた芝で風通しが悪くなり、葉枯病やさび病の発生を助長する原因になります。また下層の葉に日光が当たりづらくなり、下層の葉が枯れて見た目が茶色~黄色へ変色する原因になります。そのため芝生の生育期に地上部の葉を定期的に刈り込むことで、風通しを良くし、下層の葉に日光を当て、芝の生育環境を整えてあげることが大切です。また芝刈りは上方向に伸長しようとする葉を横方向へ生長させる効果もあります。これにより分けつ数が増え、密に茂った美しい芝生を維持することができます。
芝刈りの適切な頻度と時期
芝刈りの頻度は庭の環境(温度、日当たり等)や芝の品種の違いによる生長速度等によって違いが生じてきます。基本的には予定の刈高の2倍まで草丈が伸びたら半分まで刈り込むことを目安に芝刈りを行いましょう。芝刈りの時期は生育期(暖地型芝生では5月~10月、寒地型芝生では3月~11月)に重点的に行います。冬場の休眠期の芝刈りはお休みします。
~ポイント~
生育期の芝刈りの回数が多いほど、雑草の発生が抑制され綺麗な芝庭がつくれます。時間的な余裕があればこまめに芝刈りを行うことがおすすめです。
芝生の刈り込み回数の目安(数字は月あたりの作業回数)
柴の種類 | 1 月 |
2 月 |
3 月 |
4 月 |
5 月 |
6 月 |
7 月 |
8 月 |
9 月 |
10 月 |
11 月 |
12 月 |
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暖地型 | 4~8 | 1 | ||||||||||
寒地型 | 1 | 4 | 4~8 | 4 | 4~8 | 4 |
伸びすぎた芝の対処法
芝を長期間刈らないでいると、日光の当たらない下層の葉が黄色化し、葉がだらりと寝てしまうため、見栄えの悪い芝になってしまいます。芝が伸びすぎてしまった場合、伸びすぎた芝をまず鎌や両手バサミ等で刈り込んだ後に再度芝刈機等で刈り込みます。この時、一気に刈り込んでしまうと軸刈りになるため注意が必要です。軸刈りとは、生長点の部分まで刈ってしまうことです。軸刈りをすると緑色の葉や茎がなくなるため、黄色い見た目の見栄えの悪い芝になってしまいます。さらに、新しい新芽が出にくくなるため、生育期は回復が見込めますが、休眠期は枯死することがあります。伸びすぎた芝は一気に刈るのではなく必ず7~10日ほどあけながら少しずつ刈るようにしましょう。
~ポイント~
芝刈りを怠ると刈り込みや回復に苦労することになります。日頃からこまめに芝刈りを行うことをおすすめします。
芝生の刈高の目安
最も美しく見える刈高は1.5~2.0cmほどと言われ、ゴルフ場やスポーツ施設等が該当します。しかし、この高さを維持することは初心者には大変かもしれません。そのため一般家庭の芝庭の場合は3.0~5.0cmを目指すと良いでしょう。この刈高であれば芝生の生育面と雑草抑制効果の面から考えても適していると言えます。もちろん上達して自信が出てきたら少しずつ刈高を低くしてチャレンジしてみてもよいと思います。
芝刈りに使う道具の種類
芝刈り機
バリカン式芝刈り機、ハンディ草刈り機、リール式芝刈り機、ロータリー式芝刈り機、ロボット芝刈り機等があります。手動式・エンジン式・電動・充電式・コードレスといったタイプがあります。マキタ、アイリスオーヤマ、キンボシ、ハスクバーナー、山善といったメーカーの製品が人気のようです。自分の庭に合った使いやすい芝刈り機を選ぶと良いでしょう。
手持ちの道具
カマ、植木バサミ、両手バサミ等があります。主に芝刈り後の仕上げに行う縁刈りの際に使用します。
芝刈り機の全て|選び方と使い方
バリカン式芝刈り機
芝生バリカンとも呼ばれます。下の刃が固定されており、上の刃が左右に動くことで芝を刈ります。大型の芝刈り機が入れない芝のキワ、レンガや石の縁を刈る時に便利な機械です。とても狭い芝庭の場合はこれ1台だけで足りることもあります。
ハンディ草刈り機
下の刃が固定されており、上の刃が回転することで芝を刈ります。狭い芝庭や芝の刈り残しを刈る際に便利な機械です。
リール式芝刈り機
刃の幅は20~25cm程度です。固定された刃に回転刃が擦り合わされるようにして芝を刈ります。芝生の切断面がきれいなため、仕上がりが良いことがメリットです。集草ケースがついている商品がおすすめです。
ロータリー式芝刈り機
1枚の刃が高速回転することで芝を刈ります。リール式よりもパワーがあるため伸びすぎた芝生の刈り込みに最適ですが切断面が粗くなることがデメリットです。
ロボット芝刈り機
ロボットが自動で芝刈りをしてくれることが最大のメリットです。各種メーカーからさまざまなモデルが発売されていますが、GPSを搭載し、充電ステーションを備えたタイプが多いようです。防水モデルであれば雨天でも稼働させることが可能です。とにかく芝刈りの労力を削減したい方やご高齢の方に非常におすすめの芝刈り機です。一方で高額なため日本ではまだまだ普及が進んでいません。低価格かつ小面積向けの小型の芝刈り機の発売が望まれます。
芝刈り機による芝刈りの手順
1.芝の状態と道具の状態を確認する
まず芝の状態を確認します。はじめて刈り込みする場合は芝がしっかりと根付いているか確認しましょう。雨で芝が濡れている場合は刃にからまりやすく掃除も大変なため芝刈りは避けた方が良いです。次に、使用する道具の状態を確認しましょう。芝刈り機のブレード(刃)の切れ味が悪い場合は仕上がりが大きく変わってしまうため事前にしっかりと点検します。
2.障害物(小石、ごみ、枯れ枝等)を取り除く
小石は芝刈り機の刃を痛め、枯れ枝は芝刈り機の本体に絡まる原因となります。芝刈りの前に目視で取り除きましょう。
3.芝の刈り込みスタート
芝庭の端から芝刈りを開始します。往復する時に刈ったラインに少し重なるように刈ると美しく仕上がります。一方向のみではなく縦横に刈ることで刈り残しやムラを少なくすることができます。
4.刈り残しを確認する
芝庭全体を見渡し、刈り残しがある場合はバリカン式芝刈り機やハンディ草刈り機を使用して該当部分をカットしましょう。芝生に凹凸があると刈り残しが発生しやすいかもしれません。
5.後片付けと道具の状態を確認する
刈った芝を集めて処分します。芝刈り機の刃を確認し、劣化や摩耗している場合は取扱説明書に従い交換しましょう。
コンパクトなエリア専用のロボット芝刈機|ロボット芝刈機 DROP&MOW
芝庭の芝刈りにおすすめな機械がロボット芝刈機 DROP&MOWです。本体前方のカメラとセンサーで芝の緑色を認識することが可能なため、ロボット芝刈り機にありがちな面倒な境界ワイヤーや充電ステーションの設置工事が必要ありません。ボタン一つで芝刈りをしてくれる優れものです。リチウムイオン電池で駆動し、満充電で約3時間の連続使用が可能です。1台で100㎡までの芝面積に対応可能で刈高は20/30/40/50/60mmの4種類からお選びいただけます。
美しい芝庭をつくるためには日頃の手入れが大切
きれいで美しい芝を見ると心穏やかな気持ちになります。
芝生は植えた後の管理(メンテナンス)がとても大切です。日頃からこまめに芝刈りを行うことで美しい芝庭を保つことができます。慣れるまでは少し手間かもしれませんが、楽しみながらぜひ積極的に実践してみてください。本コラムがお役に立てれば幸いです。
コラム著者
満岡 雄
2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。