コラム
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説
公開日2025.11.20
更新日2025.11.20

マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説

マンゴーは南国の植物で、日本国内でもハウス栽培によって高品質な果実を安定的に生産できるようになってきました。特に沖縄や宮崎などの温暖な地域では設備や技術が充実しており、国内産マンゴーの認知度と需要が年々高まっています。こうした状況を踏まえると、ハウス栽培でのマンゴーの生産は将来性のある取り組みと言えるでしょう。
本記事ではハウス栽培における施設設計や品種選定、生育管理の基本的な考え方をはじめ、コストや補助制度についても整理します。ハウスを活用することで適切な温度・湿度管理が実現し、露地栽培では得られない安定した収量や品質が期待できます。ただし、高額な初期投資や高度な技術が必要となるため、正しい知識を得ることが欠かせません。
さらに、収益性を高めるためにはブランド化や販路の多様化など、戦略的なアプローチも求められます。本記事を通じてマンゴーの栽培方法の全体像を理解し、これから新規参入を考える方や栽培技術をさらに向上させたい方が、長期的な視点で成功を目指すヒントを得られるよう解説していきます。

ハウス栽培の特徴とマンゴー栽培におけるメリット

ハウス栽培(施設栽培)は外的環境から作物を守り、最適な条件を与えられることが大きな魅力です。マンゴー栽培の場合、どのようなメリットがあるのでしょうか。

ハウス栽培では、ビニールやガラスなどの被覆材によって温度や湿度を制御できるため、マンゴーが好む25~30℃程度の暖かい環境を実現することができます。加えて、雨風による花や幼果へのダメージを低減し、日射量を確保しやすい点も大きな利点です。これらの要素が重なることで、果実の品質が安定し、市場での評価が高まりやすくなります。

また、ハウス栽培では、地域や季節にかかわらず生育環境を調整できることから、収穫時期の調整が可能になります。これにより、高値がつきやすい時期に出荷したり、年間を通じて顧客ニーズに合わせるなど柔軟な販売戦略をとることができます。一方で、ハウス建設や管理に伴う初期コストや維持費が高いため、投資とリターンを見極め、メリットを最大化する工夫が必要です。

栽培方法 メリット デメリット
施設栽培(ハウス)

・温度管理ができる
 (低温や急な寒さを防止)
・雨・風の影響を受けにくい
 (落果・裂果防止)
・病害虫の防除がしやすい
・収穫時期の調整が可能
 (早出し・遅出し)
・水・肥料管理が効率的

・初期投資が高い
 (ハウス・暖房など)
・維持管理コストが高い
 (暖房・換気・除湿など)
・自然光や風通しが制限される
 ため管理が必要
露地栽培 ・初期費用が少ない
・自然環境(太陽・風)
 を利用できる
・広い面積での栽培が可能
・天候に左右されやすい
 (台風・長雨・低温)
・収穫時期の調整が困難
・病害虫リスクが高い
・果実品質の安定が難しい
 (裂果・日焼けなど)

ハウス栽培施設の設計・施工のポイント

マンゴー栽培に適したハウスの設計・施工は、安定した温度・湿度管理を実現するために欠かせません。どのような構造・設備が必要かを押さえておきましょう。

ハウスは高温多湿の環境を作り出すだけでなく、換気や光量調整などのコントロールもしやすい設計が求められます。使用する建材や内部のレイアウトによって保温性や耐久性が大きく変わるため、各地域の気候条件に合った構造を選ぶことが重要です。特に台風や積雪地域においてはハウスの強度が求められますので、ハウスの構造(パイプの太さ等)に対する十分な検討が必要です。さらに、排水面にも配慮し、雨天時の水はけ対策や灌水設備とのバランスを考慮する必要があります。

施工段階では、地盤整備や基礎づくり、細部の気密性などを丁寧に行うことで、後々のメンテナンス負担を軽減できます。設計・施工の品質が低いと、ハウス内部に温度ムラが発生したり、外部から害虫が侵入しやすくなったりと、栽培に大きく影響を及ぼします。長期的に安定した栽培を目指すには、しっかりとしたハウスづくりを検討することが大切です。設計・施工をお願いする業者は実績と信頼のおける企業にお願いすると良いでしょう。

ハウス構造の種類

ビニールハウス

ビニールハウスはPOフィルム(農PO)やビニールフィルム(農ビ)などを使った、最も一般的な施設園芸用ハウスです。最大の長所は「初期費用が安い」ことです。ガラスハウスと比べると建設費が非常に低く、規模を拡大しやすいため、野菜や果樹の栽培で広く採用されています。一方でデメリットとして、フィルムの耐久性が低いため、数年ごとに張り替えが必要になることが挙げられます。また、風や雪に対する強度は構造に左右されますが、ガラスハウスに比べると弱いことが多く、台風や豪雪地域では補強が欠かせません。さらに、夜間の断熱性はガラスより劣るため、冬の暖房コストが上がる場合もあります。

ガラスハウス

ガラスを全面に使用した重厚な温室で、大規模トマト農場や観光農園でよく見られます。最大の特徴は「耐久性の高さ」です。ガラスは20〜30年以上使えるため、フィルムのように定期的な張り替えは必要ありません。また、光の透過率が非常に高く、長期間変わりにくいため、作物にとって理想的な光環境をつくりやすいのも大きな魅力です。ハウス内部の気密性・断熱性も高く、温度のムラが少ないため、環境制御が非常に行いやすい構造になっています。ICT制御や高度な自動化設備とも相性が良く、安定生産が求められる大規模施設で多く採用されています。一方でデメリットとして、建設費が非常に高いことが挙げられます。ビニールハウスの数倍のコストがかかり、基礎工事やフレームも頑丈なものが必要なため、初期投資が高くなります。

温度・湿度・換気・光量管理

マンゴーに適した室温は概ね25~30℃とされ、果実が育つためには20℃以上が必要と言われています。生育夜間の冷え込みを防ぐ加温設備や、日中の過剰な熱を逃がす換気システムが欠かせません。また湿度は文献によって異なりますが、一般的には60~70%程度が目安湿度と言われています。湿度が過剰だと病害が発生しやすくなるため、定期的な換気や除湿装置の活用が効果的です。さらにマンゴーの果実着色や糖度向上には十分な日光が必要であるため、遮光カーテンやフィルムなどを使い、光量を調整しながら適切な生育環境を整えます。

マンゴーの品種選定と生育サイクル

品種や生育のタイミングを理解することで、収穫までの計画が立てやすくなります。特に主要品種の特徴や収穫時期の見極めが重要です。

マンゴーの多くの品種は強い樹勢を持ち、大きく成長します。しかし、ハウス栽培では剪定や誘引によって管理しやすい大きさを保つことが必要です。品種によっては初期生育が速いものや、糖度・酸味のバランスが異なるものがあるため、栽培目的や市場ニーズに合った選定が重要となります。

生育サイクルは、花がつく時期や成熟までの期間に品種ごとに特徴が異なります。適正なタイミングで受粉や摘果を行い、収穫時期を逃さないように管理することが、高品質なマンゴーを得る近道です。各行程をしっかり把握するほど、収量や果実の大きさ、食味に大きく差が出るため、細やかな観察と記録が欠かせません。

主要品種の特徴(アーウィン、ケント)

国内栽培で広く知られているアーウィン種は、果肉の繊維質が少なく濃厚な甘みが特徴です。マンゴー独特のクセが少ないため、食べやすいのも魅力です。国産マンゴーの90%以上はアーウィン種です。一方でケント種は赤く色づく上にサイズが大きく、輸送耐性に優れるため海外でも人気があります。それぞれの糖度や食感、香りは異なるため、ターゲット市場や販売戦略を踏まえて品種を選ぶとより収益性が高まります。

項目 アーウィン ケント
栽培しやすさ 〇(管理しやすい・実績多い) △(樹勢が強く管理が必要)
ハウス栽培との相性 ◎ 非常に良い 〇可能だが難易度や販売面に課題
市場性 ◎ 国内で人気、赤い果皮で高値 △ 外観が地味で評価が分かれる
初心者向けか ◎ 向く △ 中級者以上

開花時期と着果、収穫時期の見極め方

マンゴーは一般的に2月~3月中旬にかけて開花し、適切な密閉度と温度管理が受粉に大きく影響します。花が咲いた後はミツバチなどの活動状況も確認しながら受粉率を高め、早期に障害果をや多すぎる果実を摘果することで養分を優良果に集中させます。収穫時期のサインには色づきや香りがあり、袋がけしている場合は果実を確認しつつ、香りが甘く変化する段階を見逃さないことが大切です。

ハウス栽培における施肥・潅水・病害虫対策

高品質なマンゴーを安定的に生産するには、適切な施肥や潅水管理、病害虫対策が欠かせません。各工程をトータルで計画する必要があります。

肥料設計のポイント

ハウス内では栽培環境が密閉されやすい分、土壌や葉面の栄養バランスを定期的に分析することで、最適な施肥計画を立てやすくなります。特に樹勢が強いマンゴー窒素分の過剰供給に注意が必要で、葉面診断などを通じて微量要素を補うことも重要です。施肥のタイミングは着花期や果実肥大期などの生育ステージに合わせ、段階的に行うと効率的です。

マンゴーは生育段階によって必要とする栄養素が変化します。土壌分析や葉面診断で窒素リンカリウムなどの含有量を定期的にチェックし、不足があれば追肥を行うなどの調整が重要です。特に開花前や果実肥大期には栄養要求が高まるため、現状を適切に把握したうえで、過不足のない施肥を心がけましょう。施肥量と施肥割合については、主要作物の施肥基準(農林水産省)の表を引用しますので、参考にしてください。

 未結果樹の施肥量 (g/本)

土壌別分 樹齢 N・P・K
非火山灰
粘質土

1年生
2年生
3年生

50・30・50
75・45・75
100・60・100

火山灰土 1年生
2年生
3年生
40・24・40
60・36・60
80・48・80
非火山灰
砂土壌
1年生
2年生
3年生
60・36・60
90・54・90
120・72・120

土壌別の成木における年間施肥量(kg/10a)

土壌別分 目標収量 N・P・K
非火山灰
粘質土
3t 16.0・14.0・16.0
火山灰土 3t 13.0・15.0・13.0
非火山灰
砂土壌
3t 20.0・15.0・20.0

時期別施肥割合

時期 3月上旬 5月上旬 7~8月上旬 備考
割合(%) 32 20 50 夏の施肥に重点を置く。

潅水設備導入のメリットと自動化の活用

マンゴーは花芽分化期である11月~1月中旬まではやや乾燥ぎみにすると花芽分化が促進する、収穫前もやや乾燥ぎみにすると果実品質が高まります。その他の期間は適度な潅水が望ましいです。潅水量を適当に行うと生理落果を助長したり、樹体を弱めることに繋がりますので適切な潅水を心がけましょう。

潅水設備を導入することで、土壌水分を安定させるだけでなく、人力作業の負担軽減や水遣りムラの防止に繋がります。自動化システムを活用すれば、梅雨や猛暑期など気象条件が変わりやすい時期でも設定を微調整しやすく、果実品質の向上を期待できます。

電動ポンプやセンサー制御システムを導入することで、適切なタイミングと量の潅水ができ、マンゴーの根にストレスを与えません。特にハウスでは気温が上昇しやすいので、土壌が乾燥しすぎないように柔軟に潅水量を調整することが大切です。自動化によって省力化が図れるだけでなく、果実や樹冠の成長データと連動させることで、より精緻な潅水プログラムを組むことも可能になります。

病害虫の事例と防除方法

病害虫は早期発見が肝心であり、定期的な巡回や予防処置を徹底し、病気が発生した場合は実や葉への被害拡大を最小限に抑える手立てを講じましょう。

マンゴー栽培で困る病害虫は炭疽病アザミウマ類です。特に高温多湿の環境は病原菌の繁殖を助長するため、ハウス内の湿度管理や定期的な薬剤散布が必須です。早期に異変を察知して防除を行うことで、果実の商品価値を維持することができます。

炭疽病

出荷後の果皮に黒色斑点が生じ,品質低下が問題となる病気です。本病は複数の病原菌によって引き起こされ、頂芽、花芽、花序、幼果、で潜在感染し、感染後は開花、結実、果実肥大から収穫に至る過程において長期間,植物組織内で潜伏しながら、収穫後の完熟果の果皮上で病斑を形成するやっかいな病気です。本病の防除には果実の収穫までに年に数回の薬剤散布が必要ですが、労力とコストがかさむため、生産者の負担となっています。
炭疽病は薬剤散布が最も効果的ですが、病気が発生しない環境づくりを行うことも大切です。例えば、農業残渣や雑草は病原菌の温床となるため早めに除去します。また高温多湿の環境は病原菌の好む環境ですので、換気扇や送風機でこまめに換気しましょう。また潅水が多いと地面からの蒸散によって湿度が上がる要因となるため過度な潅水を控えることも大切です。

関連コラム:マンゴー栽培で発生する病気|発生の仕組みと防除対策をご紹介

アザミウマ

マンゴーに被害を与えるアザミウマの代表的な種類は「チャノキイロアザミウマ」です。チャノキイロアザミウマは新梢、新葉、幼果等の柔らかい組織を加害することで、葉の生育を阻害し果実の商品価値を低下させる重要害虫です。開花期以降に個体数が増加しやすいため、早期発見・防除に努めることが大切です。また、不要な新梢は施設外に除去したり、コミカンソウ類などの発生源となる施設内外の雑草を除去することで被害の拡大を防ぐことができます。なお、近年では赤色LEDを活用したアザミウマ対策が確立されつつあるため、活用してみてはいかがでしょうか。

関連コラム:マンゴー栽培で発生する害虫|効果的な対策方法を解説

マンゴーの生産コストと初期投資の目安

ハウス栽培では施設費や設備費など初期コストが高い一方で、高品質な果実の生産が比較的安定しやすいという利点があります。投資と収益を見極めるための目安を押さえましょう。

マンゴーのハウス栽培を始めるにあたっては、ハウス建設費や潅水・加温設備などの導入費用が大きな割合を占めます。ビニールハウスかガラスハウスか、シンプルなパイプ構造か高機能な自動制御システムを導入するかによって初期投資額は大きく変わります。ライフサイクルコストを考え、更新費用やメンテナンス費なども含めて検討することが大切です。

また、栽培開始後も苗木の購入費や肥料、薬剤などのランニングコストがかかります。生育ステージによって資金振りが偏りやすいため、事前に運転資金を確保しつつ、自治体の補助金や低金利融資制度を上手に活用するとリスクを軽減できます。投資に見合う収益を上げるには、販売単価や出荷量の目安をしっかりと計算することが肝心です。

ハウス導入費用と設備更新のタイミング

ハウスの躯体や被覆材はいずれ劣化するため、10年~15年を目安に大規模な設備更新が必要になることがあります。ビニールの場合は破れやすく定期交換が必要ですがガラスでは耐久性に優れる一方、導入時の工事費が高額になりがちです。こうした更新タイミングを計算に入れて、長期的なコスト試算を行うことが安定経営に繋がります。

運転資金の確保と補助制度の活用

マンゴーは開花から収穫まで数ヶ月を要し、売上が入るまでに時間差があります。運転資金を確保するには、収穫時期以外でも安定して資金を回せる融資計画や、自治体・国の補助金を調査し活用することが大切です。設備投資と運転資金のバランスを見誤ると、せっかくのハウス栽培でも十分な管理ができず、品質や収量に影響が出る恐れがあるため注意しましょう。

収益性を高めるための販売戦略

高品質のマンゴーを栽培しても、販売戦略を誤ると十分な利益に繋がりません。さまざまな販路を組み合わせて収益性を高める方法を考えます。

マンゴーは高級フルーツとしての需要が大きく、直販やインターネット販売で高単価を狙うことが可能です。市場出荷に比べると流通コストを抑えられる分、利益率が高まりやすい一方、顧客開拓や集客の手間がかかります。自社の規模やブランド力に応じて、直販と市場出荷を組み合わせることでリスクヘッジを図ると良いでしょう。

ブランド化による付加価値向上も収益性アップに欠かせません。地域の品評会に出品して評価を得たり、エコ栽培や特別栽培基準などの認証を取得し、安心・安全な生産体制を訴求することで、消費者からの信頼を獲得できます。さらには地域の特産品としてPRすることで、定住客や観光客へのアピール効果も期待できます。

直販・市場出荷・ネット販売など販路の選択

直販では生産者の顔が見える安心感を消費者に訴求でき、価格設定にも柔軟性があります。一方、市場出荷では安定した販売ルートが得られますが、競合との価格競争が激しくなる可能性があります。ネット販売(自社サイト、食べチョク、ポケットマルシェ、ふるさと納税など)は全国から注文を受けられる魅力がある半面、配送品質の確保や送料の負担やリピーター獲得施策が重要となるため、販路ごとの特性を見極めることが鍵となります。

ブランド化と高付加価値化の取り組み

マンゴー産地としてのブランド価値を高めるために、独自の品種育成や地域での共同プロモーションなどが効果的です。また、有機肥料や減農薬栽培など環境に配慮した生産方式をアピールするのも付加価値向上に繋がります。消費者の購入理由が単なる“美味しさ”だけではない時代だからこそ、複合的な価値を提供するアプローチが欠かせません。

地域別のマンゴー栽培:沖縄・宮崎の事例

日本国内でも特に高い技術が蓄積されている沖縄県と宮崎県のマンゴー栽培を例に挙げ、成功のポイントを探ります。

沖縄県や宮崎県は気候が温暖で、マンゴー栽培に適した環境が整っています。特に沖縄県糸満市や宮崎県の一部地域では、先進的なハウス設備を導入して効率的な栽培を実現しており、県や市町村も産地育成に力を入れています。こうした行政との連携によって、担い手の確保や販路拡大などの支援が得られる点は大きな強みです。

また、地元のブランド認証制度や特産品イベントなどが盛んで、観光客や全国のファンに向けて高付加価値品としてPRする取り組みも行われています。新規に参入する場合は、これらの成功事例を参考にしつつ、気候条件や市場ニーズを踏まえた独自の栽培・販売スタイルを確立することが重要です。

沖縄県では「美らマンゴー」、「ひめぎみ」、「プレミアムマンゴー」、宮崎県では「太陽のタマゴ」が代表的なマンゴーブランドです。

沖縄県糸満市のハウス栽培技術と産地育成

糸満市では温暖な気候を活かし、冬も比較的高い気温を維持できるため、ハウス内でも加温コストを抑えながらマンゴーを育てられます。さらに地域全体がマンゴー栽培に関するノウハウを蓄積しているので、新規就農者向けの研修や技術サポートも充実しています。こうした産地全体での取り組みが、高品質なマンゴーの安定供給を支えています。

参考:マンゴー産地育成による地域農業の活性化|沖縄県糸満市

宮崎県で確立されたマンゴー栽培のノウハウ

宮崎県は国内でのマンゴー栽培拠点として広く知られ、アーウィン種を中心にブランド力を高めています。特に日射量が多い立地を活かして糖度を高める工夫や、完熟落果での収穫法を確立し、高級フルーツとしての地位を確立しました。消費者へのPRや地域ブランド化が積極的に進んでいる点も、宮崎産マンゴーの知名度と信頼度を押し上げています。

参考:宮崎産マンゴーがなぜトップブランドになったのか― 沖縄産マンゴーとの比較検証 ―|伊敷豊

新規就農に必要な手続き・資格・サポート制度

ハウスでのマンゴー栽培を始める場合、就農に関する制度や資格、補助金など幅広い情報を押さえておくことが重要です。

新規にマンゴー栽培を始める際には、農地取得や施設建設に関する手続き、研修や資格取得が必要になる場合があります。自治体によっては、就農支援センターや農業大学校があり、マンゴー栽培技術の習得や補助政策の案内を受けることが可能です。また、資金不足を補うために、国や都道府県が用意している融資制度や助成金を活用できるケースも多いです。

助成制度は申請タイミングや要件がそれぞれ異なるため、早期の情報収集が重要です。地方自治体によっては独自の支援金や優遇税制が設定されていることもあり、一定の要件を満たすことでハウス建設費や苗木購入費の一部を補助してもらえる場合があります。こうした制度をうまく利用すれば、初期負担を軽減し、安定した経営基盤を築く手助けになります。助成金の情報は研修先、農協、自治体の農政課に相談してみると良いでしょう。以下に沖縄と宮崎の農業の窓口のリンクを記載しますので参考にしてください。

沖縄県(https://www.pref.okinawa.lg.jp/shigoto/nogyo/index.html)
宮崎県(https://www.pref.miyazaki.lg.jp/shigoto/nogyo/index.html)

ハウス栽培におけるこれからの展望

国内外の需要拡大や技術進歩により、マンゴーのハウス栽培はさらなる発展が期待されています。持続可能な農業を実現するためのポイントを考えます。

マンゴー市場は依然として拡大傾向にあり、特に高品質な国産品への需要は根強いと言われています。加温や自動制御など新たな技術の導入により、省力化と高品質化を同時に進められる環境が整いつつあります。これらの技術革新とともに、持続的な農法や環境保全との両立が今後の重要課題となるでしょう。

また、海外輸出や観光農園としての活用など、多様な付加価値創出の可能性も高まっています。国内のみならず海外に向けて日本ブランドとしての発信力を強化すれば、新たな販路を開拓できるかもしれません。一方で、気候変動や人材不足といった課題もあるため、行政、研究機関、農家が一体となって取り組む姿勢が求められます。

マンゴーのハウス栽培に最適な換気扇|空動扇/空動扇SOLAR

空動扇/空動扇SOLARはビニールハウス専用の換気扇です。10坪~15坪あたりに1台を目安に設置することで、ビニールハウスの上部の熱だまりと湿度を排気し、ハウス内の環境を整えます。電気を使わないためランニングコストのかからないとってもエコな換気扇です。

マンゴーに適した室温は概ね25~30℃、また湿度は文献によって異なりますが、一般的には60~70%程度が目安湿度とされており、高温多湿の環境だと病害の発生を助長します。空動扇は排気によって温度と湿度を低下させるため、病害の予防に役立ちます。沖縄県うるま市のマンゴー生産法人さんで180台の導入実績がありますのでぜひ検討してみてはいかがでしょうか。

マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
左:空動扇|右:空動扇SOLAR
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
空動扇は自然の風の力でベンチレーターを回転させることでハウス内の暑い空気をハウス外へ排出します。
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
空動扇SOLARは自然の風の力とSOLARの力を利用してビニールハウス内の熱い空気をハウス外へ排出します。無風の時でも晴れてさえいれば換気能力が失われません。
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
ビニールハウスの上部に設置することで、熱気と湿度を排気します。
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
パイプ取付部分の爪の直径は約25mmと約40mmです。25mm側を補助パイプへ、40mm側を母屋パイプに固定します。
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
設定温度(換気弁の開閉温度)は形状記憶スプリングのツマミを回すことで0~40℃の間で設定することができます。
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)
マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説(イメージ)

まとめ

マンゴーのハウス栽培は高品質な果実を安定的に生産できる一方、初期投資や管理コストなどの課題もあります。全体像を理解し、適切な栽培計画を立てることが成功へのカギとなるでしょう。

ハウス栽培は気候条件を制御できるため、マンゴーの生育環境を理想に近づけやすいというメリットを持ちます。一方で、施設設備にかかる費用や高度な管理技術が必要となり、資金計画や販路開拓を含めた総合的な経営プランが欠かせません。品種選定から病害虫対策、販売戦略に至るまで、個々のステップをしっかりと押さえることが収益向上とリスク低減に直結します。

今後はさらなる技術革新と需要拡大の波の中で、マンゴーのハウス栽培がより大きく発展することが期待されます。新規参入を検討している方や既存の農家の方にとっては、地域の先行事例や補助制度の情報収集を行いながら、タイミングを見極めて取り組むのが賢明です。成功を目指すには、常に生育管理や市場動向を学び続ける姿勢が必要不可欠と言えるでしょう。

関連コラム:
マンゴー栽培の実際|育て方と害虫対策を解説!

参考:
沖縄におけるマンゴー栽培の現状と課題 |伊藝安正 (沖縄県農林水産部営農推進課)
マンゴー加温栽培におけるチャノキイロアザミウマの秋冬季の発生推移と越冬場所|西菜穂子千・宮路克彦(鹿児島県農業開発総合センター果樹部)
チャノキイロアザミウマ|沖縄県

マンゴーのハウス栽培の基礎知識を解説

コラム著者

満岡 雄

玉川大学農学部を卒業。セイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは植物栽培。Xで業界情報をpostしておりますのでぜひご覧ください。

 

◆X
https://twitter.com/SEIKO_ECOLOGIA

おすすめ記事
Tweets by SEIKO_ECOLOGIA
youtube
ご注文
見積依頼
お問合せ