コラム
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは
公開日2026.01.07
更新日2026.01.07

ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く"雪離れの悪化"とは

豪雪地帯でハウス栽培を行う農家にとって、冬場の積雪はビニールハウスの倒壊や損傷につながる深刻な問題です。せっかく育てた作物が一夜にして失われるだけでなく、ハウスそのものの修復や再建には多大なコストがかかりかねません。
しかし、雪害のメカニズムを正しく理解し、適切な対策を講じることで、こうしたリスクは大幅に軽減できます。このコラムでは、ビニールハウスが雪で潰れる具体的な理由から、積雪前・積雪中・積雪後それぞれの段階で実践できる対策方法まで、豪雪地帯での実績に基づいた情報を詳しく解説していきます。

ビニールハウスの雪による被害とは?

積雪があると、ビニールハウスは骨組みの歪み・ビニールの破れ・接合部の外れなどの損傷が起こりやすくなり、場合によっては倒壊することもあります。倒壊した際には暖房設備や灌水設備まで壊れてしまい、ハウス内の作物が全滅するケースも少なくありません。

特に豪雪地帯では一晩で数十cm〜1m以上積もることもあり、雪の重量は想像以上に大きな負荷となります。たとえば乾いた雪の場合、50cmの積雪で約25〜50kg/m²、1mの積雪で約50〜100kg/m²もの負荷が屋根にかかります。水分を多く含んだ雪や風による圧力が加われば、倒壊リスクはさらに高まってしまいます。

雪で倒壊しなくても、ビニールハウスに損傷があった場合には修復には時間と費用がかかるため、その間は栽培を続けられなくなることもあります。こうした経済的損失を防ぐためにも、雪害の深刻さを理解し、事前に対策を講じることが求められます。

ビニールハウスが潰れる理由は?

ビニールハウスが雪で潰れてしまう理由は複数あり、それぞれが相互に関連しながら倒壊リスクを高めていきます。単純に「雪が積もったから潰れた」というだけでなく、ハウスの構造的な問題や、雪の性質、さらには温度や湿度の管理不足など、さまざまな要因が組み合わさって被害が発生してしまうのです。

正しく対策するためにも、ここでビニールハウスが潰れる主な理由について理解しておきましょう。

屋根に積もった雪の重さ

ビニールハウスが潰れる直接的な原因で最も大きいのは、屋根に積もった雪の重量です。間口7m、奥行き30mのハウスに30センチの湿った雪が積もった場合、その総重量は13t~19tほどになると言われています。

ビニールハウスの骨組みは、通常の農業用途を想定して設計されているため、こうした極端な荷重には耐えられない構造になっています。特に老朽化したハウスや補強が不十分なハウスでは、設計時の耐雪強度を大きく下回る状態になっていることがあり、想定よりも少ない積雪で倒壊してしまうケースがあります。

側面や谷部の積雪や風で骨組みが歪む

ビニールハウスは、側面に雪が吹き溜まったり、連棟ハウスの谷部分に雪が集中したりすると、不均等な荷重が骨組みにかかることで全体が歪んで倒壊することもあります。

連棟ハウスの場合、棟と棟の間にできる谷部分が最も危険です。谷部は雪が滑り落ちて集まりやすく、他の箇所より積雪量が多くなる傾向があります。そのため、この部分の骨組みに集中的な荷重がかかってパイプの変形や接合部の破損につながることがあります。

また、強風で雪が吹き飛ばされることで風下側に大量の雪が吹き溜まる場合もあります。こうした不均等なビニールハウスへの積雪は片側だけに大きな負荷がかかりやすく、骨組みに想定以上の応力を生じさせることになり、倒壊のリスクが増してしまいます。

温度ムラや湿度ムラで雪が溶けないと倒壊リスクがさらに高まる!

ビニールハウス内の温度ムラや湿度ムラは、雪害を悪化させる重要な要因です。暖房が均一に行き届かないと、屋根の一部だけが暖まり雪が溶ける一方、別の部分には雪が残り続けます。この溶け方の差によって雪が偏って積もり、局所的に非常に大きな荷重がかかることになります。

さらに、湿度ムラによって生じる結露も問題です。湿度が高い状態で温度管理が不十分だとフィルムの内側に結露が発生し、これが凍結すると雪がビニールに張り付く「雪離れの悪化」が起こります。雪離れの悪化が起こると雪が滑り落ちなくなるため、暖房を入れても積雪が減らず、屋根の荷重はどんどん増加していきます。特に換気が十分でないハウスでは、この雪離れの悪さが倒壊の直接的な原因になることもあります。

また、雪は時間とともに圧縮されて重くなり、雨を含むと急激に重量が増加します。そのため、降雪直後は問題がなくても、数日後に突然倒壊する例も少なくありません。早めの除雪や融雪を促す管理が、ビニールハウスの雪対策の基本なのです。

積雪前は準備が大事!

雪が降り始める前の準備こそが、ビニールハウスの雪害対策の成否を分ける最も重要なポイントです。積雪してから慌てて対策を講じても、すでに雪の重みでハウスが損傷し始めていたり、設備が故障していたりすることがあります。

理想としては、11月中旬~12月初旬くらいの秋の終わり頃までに主要な対策を完了させておきたいところです。もちろん、地域によってはこれよりも前に降雪がある場合もあるため、気象庁の長期予報や地域の過去の降雪データも参考にしながら、事前準備を万全にしておきましょう。

ここでは、事前準備として必要な項目を詳しく解説していきます。

暖房機の燃料・動作確認をしておく

積雪前の準備で最も重要なのが、暖房機の燃料確保と動作確認です。ハウス内を暖めて雪を融かすには暖房機が欠かせないため、本体の点検やバーナー清掃、フィルター交換などのメンテナンスを事前に済ませておきましょう。

燃料は降雪時に配送が遅れることを想定し、最低でも1週間〜10日分をストックしておくのが安心です。
また、点火だけでなく実際に運転し、温度設定やサーモスタットの作動をチェックすることも大切です。暖房機が複数ある場合はすべて確認し、故障があれば早めに修理や交換を手配しましょう。

ハウス周囲の排水路や雪解け水の通り道を確保する

積雪後に雪が融けると大量の融雪水が発生します。この時排水路が確保されていないと、水がハウス周囲に溜まって地盤が緩む原因となり、傾いたり沈んだりすることがあります。

それを防ぐためには、事前に排水路の落ち葉や土砂を取り除くことが大事です。特に四隅や低い場所は重点的に清掃し、水がスムーズに流れるように勾配の確認もしておきましょう。

また、除雪した雪をハウス近くに積むと、融雪水が排水を妨げたり、凍結して作業の妨げになります。あらかじめ離れた場所に雪捨て場を確保しておき、そこまでの通路も含めて計画しておくと、降雪時にも慌てずに作業をすることができるでしょう。

骨組みや支柱を補強する

ハウスの骨組みや支柱の補強は、倒壊を防ぐための最も効果的な対策です。建設から年数が経っている場合や、過去に雪害を受けたハウスは強度が低下している可能性があるため、積雪前に必ず点検と補強を行いましょう。

補強の基本は支柱の追加と接合部の強化です。屋根中央やスパンが長い部分には支柱を追加し、荷重を分散させます。一般的には2〜3m間隔での配置が有効です。

また、接合部は特に弱点になりやすいため、ボルトの緩みや金具の腐食を確認し、必要に応じて交換してください。谷部分や妻面など応力が集中する場所は入念にチェックし、筋交いやパイプサポートを追加して全体の剛性を高めましょう。
ビニールハウスの補強については、秋田県農林水産部の「雪害対策マニュアル」で図付きで詳しく解説されています。参考にしてみてください。

雪害を避けるためのビニールハウス補強ポイント

部位 雪害時に起きやすい問題 補強の具体策
アーチパイプ(骨組み) 座屈・変形 → 全壊 太径パイプ化/アーチ間隔を狭くする/二重アーチ
棟パイプ 折損 → 連鎖倒壊 棟パイプ二重化/強化ジョイント使用
肩部(曲がり始め) 雪が溜まり変形集中 補助アーチ追加/クロスバンド/雪離れ改善
妻面(前後) 風雪で押され歪み発生 筋交い追加/妻面アーチ太径化
基礎・アンカー 脚抜け・沈下 深打ち杭/コンクリート基礎/控え線
被覆フィルム 雪が落ちず荷重増大 高滑雪性フィルム/たるみ防止
内張り・換気管理 結露凍結で雪離れ悪化 内張り設置/夜間換気・送風

積雪中は「溶かす」ことで対策を!

降雪が始まってからの対策では、いかに効率的に雪を溶かして屋根から落とすかがポイントになります。物理的に雪下ろしをするのも一つの方法ですが、労力がかかる上に危険も伴います。

そこで重要になるのが、ハウス内の熱を利用して雪を融かし、自然に滑り落とさせる方法です。詳しく見ていきましょう。

暖房で雪の自然落下を促進する

積雪時の基本対策は、暖房でハウス内を温め、屋根の雪を下から溶かして自然落下を促すことです。内部の温度が上がるとフィルム越しに屋根面へ熱が伝わり、雪との接触面が溶けて滑り落ちやすくなります。

融雪を促すためには、暖房温度を作物の適温より少し高めに設定するのがポイントです。例えば、通常15〜20℃で管理している場合は、いつもより5℃程高い20〜25度ほどに上げておくなどです。ただし、急激な変化は作物に負担となるため、予報の段階から徐々に上げていくようにしましょう。

また、雪害対策として近年注目されているのが「温風送風式融雪システム」です。農業施設に関する研究によると、連棟ハウスの谷樋部の屋根内表面に温風を送風することで、1時間あたり1.6kg/㎡の融雪効果が確認されたとしています。豪雪時でもハウスにかかる荷重を大きく減らせると報告されていることから、暖房だけでは対処しきれない大雪の際に有効な手段として、導入を検討する価値の高いシステムといえるでしょう。

ただし、暖房の配置が偏ると温度ムラができて雪が均一に溶けず、雪離れの悪化の原因となってしまいます。暖房機をバランスよく配置するとともに送風機や循環扇で空気を循環させてあげることで屋根全体をムラなく暖めていきましょう。

潅水チューブで融雪を促進する

暖房に加えて、潅水チューブを使って屋根の雪を直接溶かす方法も効果的です。屋根面に地下水を散水する方式や、ハウス内の谷樋部付近に温湯パイプを配管する方式などがあります。

ハウスの屋根に沿って設置したチューブに水を流すと、雪の表面が溶けて自然落下しやすくなります。特に、暖房だけでは融雪が追いつかない大雪時には大きな力を発揮します。

潅水チューブを使用する際のポイントは「水温」と「流量」です。冬場でも10℃前後を保つ地下水や井戸水を利用すると、氷点下の雪に対して十分な融雪効果が期待できます。また、適切な流量を維持することで、屋根全体を均一に溶かすことができます。

ただし、溶けた雪は大量の水となって流れ出るため、排水路の整備は必須です。さらに、水の使用量が多くなることから水源の容量やコストにも配慮する必要があります。加えて、気温が極端に低い場合は流した水が逆に凍結する可能性があるため、天候を見極めながら慎重に運用しましょう。

換気窓や循環扇で換気し結露を防ぐ

積雪中は、換気窓の管理によって結露を防ぎ、雪離れを良くすることが重要です。湿度が高いままだとフィルム内側に結露が発生し、凍結によって雪が張り付いてしまいます。ハウス内の温度が上がって湿度が高くなったタイミングで短時間だけ換気し、湿気を逃がしましょう。

ただし、降雪中に大きく窓を開けると雪の吹き込みや温度低下の恐れがあるため注意が必要です。そんな時にも循環扇があれば、吹き込みの心配もなくハウス内の温度と湿度を均一に保つことができます

結露防止に大きく役立つため雪離れの悪化問題も解消できる上、風の力で自動で開閉するものであれば強風時のビニールハウスのダメージを最小限に止めることができます

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空動扇/空動扇SOLAR」は雪対策になります!

循環扇と合わせて使用することで、ビニールハウス内の温度ムラ・湿度ムラを解消し、雪害対策に大きな効果を発揮するのが、セイコーエコロジアの「空動扇/空動扇SOLAR」です。

空動扇/空動扇SOLARは、上部に溜まりがちな熱気と湿度を排出することで、結露の発生を抑えることができます。これにより、ビニールへの雪の張り付きも防止でき、雪離れの悪化を防ぐことが期待できます。局所的な結露は植物の病気感染やカビの繁殖の促進にもつながるため、年間を通してぜひとも予防しておきたいところです。

さらに、空動扇/空動扇SOLARは電源不要で稼働できるため、停電しやすい豪雪地帯でも安心して使用可能なのもポイントです。

空動扇/空動扇SOLARは積雪地域では、空動扇本体の熱や動作時の細かな振動により、ハウス上部に積もった雪のかたまりが空動扇の根元からだんだんとひび割れてきてそのうちドサッと割れ落ちてくる事例がいくつか報告されています。そのため、積雪地域においては棟パイプを中心に左右に振り分けて設置することを推奨しています。

ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
左:空動扇|右:空動扇SOLAR
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
空動扇は自然の風の力でベンチレーターを回転させることでハウス内の暑い空気をハウス外へ排出します。
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
空動扇SOLARは自然の風の力とSOLARの力を利用してビニールハウス内の熱い空気をハウス外へ排出します。無風の時でも晴れてさえいれば換気能力が失われません。
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
ビニールハウスの上部に設置することで、熱気と湿度を排気します。
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
パイプ取付部分の爪の直径は約25mmと約40mmです。25mm側を補助パイプへ、40mm側を母屋パイプに固定します。
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
設定温度(換気弁の開閉温度)は形状記憶スプリングのツマミを回すことで0~40℃の間で設定することができます。
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)
ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは(イメージ)

積雪後の対策は安全第一!

ビニールハウスに積もる雪は溶かしながら対策するのが基本ですが、大雪の後などではどうしてもビニールハウスの上に雪が積もったままになってしまいがちです。

こういった雪は、安全を最優先に考えながら慎重に進める必要があります。積雪後の対策では、何よりもまず自分自身の安全を確保することを念頭に置きながら作業するようにしましょう。

屋根と側面の雪をこまめに除雪する

積雪後の基本対策は、屋根や側面に積もった雪をこまめに除雪することです。早い段階から少しずつ雪を取り除けば、一度に大量の雪を処理する必要がなくなり、作業負担や危険性も大幅に軽減できます。特に連棟ハウスの谷部分や、風で雪が吹き溜まりやすい場所は重点的に作業しましょう。

除雪にはビニールフィルムを傷つけない道具の使用が必須です。金属製スコップを直接当てると破れの原因になるため、ビニール専用ブラシやプラスチック製の雪かき棒など、柔らかい素材の道具を使うと安心です。

また、作業はできるだけ複数人で行い、ハウスの状態を常に確認しながら進めることが大切です。骨組みの異音や歪みを感じた場合は、ただちに作業を中止して避難してください。無理な除雪作業による倒壊事故は実際に起きているため、命を守るための安全第一の判断が重要です。

融雪資材を使用する

積雪後の対策として、物理的な除雪に加え、融雪資材を使用する方法も効果的です。塩化カルシウムや塩化ナトリウムといった融雪剤を散布すると、雪の融点が下がり、溶けるスピードが早まります。特に日中の気温上昇が見込まれるタイミングでは、融雪効果がいっそう高まります。

ただし、これらを使用する際には、散布場所と量に気をつける必要があります。屋根に直接散布する場合は、ビニールフィルムや金属部分への影響に配慮しましょう。塩分を含む融雪剤は腐食を招く可能性があるため、散布後に水で洗い流すなどのケアもおすすめです。

さらに、融雪で発生した水が作物へ流れ込むと悪影響を及ぼすことがあるため、排水経路の確保も必須です。環境負荷を抑えるためにも、融雪剤の量は必要最小限とし、他の方法で代替できる場合はそちらを優先するようにしましょう。
大雪になったときの注意点

大雪になったときの注意点

大雪警報が発令されるような状況では、通常の雪対策だけでは不十分な場合があります。ハウスの耐雪強度を超える積雪が予想される場合には、作物や設備よりも人命を最優先に考え、適切な判断を下すことが求められます。

ここでは、大雪時に特に注意すべきポイントについて解説します。

屋根や軒下、ハウスの間に積雪がある場合は直ちに除雪する

大雪時には、ハウスの屋根だけでなく、軒下やハウス同士の狭いスペースにも雪が溜まります。これらの場所に積雪が残っていると、融雪水の排水が妨げられたり、再凍結して氷の塊となりハウスを圧迫したりするため、大雪後は優先的に除雪すべき箇所です。

特に連棟ハウスの谷部分や、ハウス同士が近い場所は要注意です。雪が挟まって圧縮されることで、想像以上の強い力が側面や骨組みにかかることがあります。放置すると、ハウスが押し潰されたり、フレームが歪んでしまう危険性があります。

除雪作業では、雪の重みで構造物が不安定になっている可能性があるため、周囲の様子を確認しながら慎重に進めることが大切です。軒下に大量の雪がある場合は、崩れ落ちる危険もあります。可能であれば、スノーダンプや重機を活用し、効率よく安全に除雪する体制を整えると安心です。

積雪が耐雪強度を超えている場合はハウスに近づかない

積雪がハウスの耐雪強度を明らかに超え、骨組みが歪んでいたり異常が見られる場合は、絶対にハウスへ近づいてはいけません。そのような状態のハウスは、わずかな衝撃や振動でも倒壊する危険があり、人が近づいた瞬間に崩れるケースもあります。作物や設備を守りたいという気持ちは当然ですが、何より優先すべきは人命です。

倒壊の前兆としては、骨組みからの異音、接合部の緩みや外れ、ビニールの大きなたわみ、支柱の傾きなどが挙げられます。これらのサインを確認したら、すぐにその場から離れ、安全な場所へ避難してください。また、周辺も危険区域として立ち入り禁止措置を行いましょう。

倒壊の可能性が高いハウスについては、自分で対応しようとせず、専門の業者や自治体へ相談することが最善です。専門家の判断を仰ぐことで、不要な事故や二次災害を防ぐことができます。

ハウスの耐雪強度を超える場合はビニールの除去も検討する

気象予報で記録的な大雪が予想され、ハウスの耐雪強度を明らかに超える積雪が見込まれる場合は、事前にビニールフィルムを除去するという選択肢も検討すべきです。これは非常に苦渋の決断ですが、もし骨組みそのものが倒壊してしまえば、復旧にかかる費用や時間は計り知れません。

ビニールを外しておけば、雪が骨組みをすり抜けて地面に落ちるため、ハウスにかかる荷重を大幅に軽減できます。もちろん、その期間は作物を栽培し続けることはできません。しかし、骨組みさえ無事であれば、降雪後にビニールを張り直して栽培を再開できるため、一時的な生産停止と引き換えに大きな被害を避けられます。

なお、ビニール除去は降雪が始まる前に完了させることが必須です。雪が積もり始めてからの作業は危険を伴うため、気象情報を早めにチェックし、余裕を持って対応することが重要です。また、取り外したビニールは適切に保管しておけば再利用が可能です。

停電後は設備の動作確認を行う

大雪によって停電が発生した場合、復旧後には必ず暖房機・換気扇などの設備が正常に動くか確認しましょう。これは、復旧時の電気系統トラブルで設備が正しく起動しないケースもあるためです。

暖房機は、点火確認だけでなく、温度調節やサーモスタットの動作までチェックします。停電中に燃料ラインへ空気が入り、再起動時にエア抜きが必要になることもあります。換気扇・循環扇は、モーターの回転状況や異音の有無をしっかり確認してください。

また、停電によって制御盤やタイマー設定がリセットされている場合もあるため、各種設定の再確認は必須です。自動制御システムを導入しているハウスでは、プログラムが正常に動いているか丁寧にチェックしましょう。

これらの確認作業を怠ると、大雪を乗り越えた後に設備不良で作物を失う危険があります。停電復旧後は、必ず設備の総点検を行うことが必須です。

雪に強いハウスは事前準備が肝心!

ビニールハウスの雪害対策において最も重要なのは、降雪前の入念な準備です。暖房機の整備と燃料確保、排水路の整備、骨組みの補強といった基本的な対策を秋のうちに完了させておくことで、冬期間の雪害リスクを大幅に低減できます。また、積雪中は暖房による融雪促進と換気による結露防止を徹底し、温度ムラや湿度ムラが生じないよう空気循環にも注意を払いましょう。

積雪後の対策では、こまめな除雪と融雪資材の活用が効果的ですが、何よりも安全第一の姿勢を忘れてはいけません。ハウスの耐雪強度を超える積雪が予想される場合には、ビニールの事前除去や専門家への相談も視野に入れ、臨機応変な判断を下すことが求められます。

豪雪地帯でのハウス栽培は決して容易ではありませんが、適切な知識と準備、そして空動扇のような効果的な設備を活用することで、雪害を最小限に抑えながら安定した農業経営を続けることができるでしょう。

ビニールハウスの雪対策!積雪でビニールハウスが潰れる理由、温度ムラと湿度ムラが招く”雪離れの悪化”とは

コラム著者

満岡 雄

玉川大学農学部を卒業。セイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。XとInstagramで最新情報を投稿していますのでぜひ御覧ください。

 

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