吉田農園ではキャンディダパラプシローシス生菌製剤(菌根菌資材)を定植前の野菜の苗に施用して例年以上の生育と収穫量を実現されています。お盆に入る少し前の猛暑日の夕方、お忙しい時間の合間にキャンディダパラプシローシス生菌製剤の効果についてお話を伺うことができましたので、ここに紹介したいと思います。
導入企業の基本情報
農園名 :吉田農園
農園場所 :東京都三鷹市
農地面積 :5,000㎡
農園主 :吉田さん親子
従業員数 :アルバイト3人
就農歴 :理恵子さん(お母様)40年
晴彦さん(息子さん)15年
栽培作物 :ネギ、キュウリ、オクラ、トマト、
ピーマン、シソ、キンカン、ローゼル、
ライム、アボカド、西洋野菜など
品種数 :90品種以上
製品購入年月:2022年3月(キャンディダパラプシローシス生菌製剤)
2022年4月(地力の素カナディアンフミン)
施用株数 :苗400株+ネギ用チェーンポット20枚
主な出荷先 :オーガニックの小売店、レストラン(三鷹市、吉祥寺、豊島区(千川))、無人販売所など
SNS :吉田農園のホームページはこちらから
吉田農園のInstagramはこちらから
吉田農園について
セイコーエコロジア 小島
吉田さんが東京で有機農業を行っている理由を教えてください。
晴彦さん
就農する前は東京でインテリア関係の商社に勤めていました。実家が農家なので幼少の頃から「いずれは農業をやらなきゃなぁ」と考えていましたが、父が農園を経営していたときは私が考える農業のカラーと違っていたので一時的にサラリーマンをやっていたわけです。父の具合が悪くなり、農業ができない状態になってしまったのでそのタイミングで就農しました。15年くらい前の話ですね。母は農業を始めて40年間以上になりますが、その頃から有機農業を行っています。
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近年になって日本でも有機農業の理解が進んできましたが、一昔前だと周辺の農家さんからの理解が難しかったのではありませんか。
理恵子さん
それはもうバッシングは受けましたよ。害虫が周りの畑に飛んでいってしまうわけなのでねえ。でも当時問題になっていた根コブ病も農薬を使用せずにおさまってくれました。色々なことをやってみて、自分たちで探して、農園と向き合うと丈夫な野菜ができます。キュウリなんかは接ぎ木をせずとも細胞が緻密になって、実の中の色も黄金色、正真正銘のキュウリです。
吉田農園の土づくり
セイコーエコロジア 小島
農薬は一切散布していないとのことですが、土づくりはどのように行っているのですか。
晴彦さん
本圃には緑肥の“ヘアリーベッチ”を鋤き込んでいます。マメ科植物なので根粒菌による窒素固定で畑にたくさんの窒素を供給することができます。それに加えて“ビールの搾りかす”をミネラル供給の目的で施用しています。
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ビールの搾りかすを施用する農家さんに初めて出会いました。どの様なものでしょうか。
晴彦さん
ビールの搾りかすは久我山にある友人のブリュワリー(ビール醸造所)から調達しています。農園に野菜を買いに来てくれたのが最初のきっかけですね。
以前は畑に米糠を施用していましたが、最近は手に入らなくなってしまいました。お米屋さんから購入していましたが、なんでも都会で米糠を長い間保管するとネズミが発生するようで…。捨てちゃうようになったんですね。食品成分表を見たら、米よりも大麦の方がミネラル分を多く含むようなので、使えるかもと思ったのが始まりです。ビール搾りかすは、麦汁を多量に含むので、米糠と比べると保存が効かないというところはありますね。
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吉田農園ではキャンディダパラプシローシス生菌製剤の他にも“地力の素カナディアンフミン”を導入していただいています。相乗効果などは感じられますか。
晴彦さん
相乗効果はあると思います。とても良い組み合わせだと感じますね。
地力の素カナディアンフミンを導入する前は、魚の骨粉やコウモリのグアノ資材を使用していました。今年からカナディアンフミン粗粒を1反に20kg使ってみたところ、以前よりも野菜の生育が良くなりました。
今年はソラマメを育ててみたのですが、ものすごい量のアブラムシが出てしまって、収量はほとんどありませんでした。畑が豊かになり過ぎたのですかね。ほんの少しだけ実ったものを試食してみたのですが、実はホクホクというより艶々して、味はとても良かったですよ!!
吉田農園とキャンディダパラプシローシス生菌製剤
セイコーエコロジア 小島
どこでキャンディダパラプシローシス生菌製剤を知ったのですか。
晴彦さん
青梅産業(株)さんの春の感謝セールのダイレクトメールにセイコーエコロジアさんのカタログが入っていました。母がキャンディダパラプシローシス生菌製剤という資材があることを見つけてくれたのです。
理恵子さん
青梅産業(株)さんに問い合わせてみると、セール最終日にセイコーエコロジアの担当者さんが来ると言うものだから話を聞いてみたいと思いました。私はどうしても他の用事が外せなかったから息子に行ってきてもらったんです。
セイコーエコロジア 小島
青梅産業(株)は弊社の関連企業ですが、ランダムでいくつかの農業資材のカタログをダイレクトメールに同封してもらいました。何分の一かの確率で吉田農園さんに届いたわけだ。これはご縁ですね!!
セイコーエコロジアのグループ会社、青梅産業株式会社のホームページはこちらから
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ところでどうしてキャンディダパラプシローシス生菌製剤を使用したいと思ったのですか。
理恵子さん
20年位前から菌に関して色々な実験を続けています。たとえばEM菌や納豆菌など。菌が住みやすい環境を作って有機栽培に活かそうという考えです。
晴彦さん
最初にセイコーエコロジアさんにこの資材の説明を受けた時に、「菌根菌の特徴はリン酸を植物に供給して、栄養分が少ない圃場の方が効果を得やすい。なおかつ定植前の苗の時に使うと、定植後の生育や収量に期待が持てる」ということを教えていただきました。この農園で使用するには菌根菌の特徴はとても理にかなっていると感じましたね。
菌根菌について知りたい方はこちらのコラムをご覧ください
>>>アーバスキュラー菌根菌とは?リン酸供給の働きと籾殻による活用法
>>>菌根菌とは?菌根菌の利用方法や増やし方について解説
キャンディダパラプシローシス生菌製剤の効果
セイコーエコロジア 小島
吉田農園さんには4月にも訪問させていただきました。この頃はまだ定植前で苗の出来についてお話を聴かせていただきましたが、今一度お話を聴かせていただけますか。
晴彦さん
吉田農園ではポット育苗に落ち葉を熟成させた培地を使用しています。庭に育っているケヤキ、柿の木、雑草や野菜の残渣を4年間熟成させています。そして無施肥です。このポットで大体400株分とネギのチェーンポット20枚分にキャンディダパラプシローシス生菌製剤を1袋使用しました。例年と比較してとても良い苗の仕上がりになりました。ネギの張りなんかはかなり改善されましたよ。うっかり育苗ハウスの窓を開け忘れたことがあって、ネギが萎れちゃったんですね。それでも復活してくれたので菌根菌のお陰だと思っています。
セイコーエコロジア 小島
確かに、菌根菌の特徴の一つに耐乾燥性があります。あと研究ベースでいうと植物の耐病性も改善されることがわかっています。
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4月のご訪問からちょうど4か月ほど経ちました。生育や収量などに影響はありましたか。
晴彦さん
全体的に例年より調子の良い野菜が多くなっています。たとえばキュウリは例年だと7月末頃までに終わってしまうのですが、今年は8月の中頃になってもまだ収穫が続いています。ズッキーニやトマトは病気に強くなったし、シソは例年よりも30cmほど高く伸びました。苗の時から調子が良かった長ネギは100本植えたら100本生きています。例年だと赤さび病などの影響で最終的には半分くらいになってしまうのですが今年はすごく頑張っています。
菌根菌資材を使った野菜で感じる効果は「果菜類は収穫期が長くなり沢山採れる」「葉物は脱落者がいなくなる」といったところですね。
たくさんの良い報告を頂きましたので下表にまとめました。
キュウリ | 例年は8月までに収穫が終了するが、今年はお盆前になってもまだまだ収穫できる。果数が多くなったというよりも、収穫期間が長くなった印象。尻すぼみ果が減少した。 |
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ズッキーニ | 小さい実がたくさん結実し、病気に強くなった。イタリアンレストランに出荷するので、ちょうど良い大きさの果実がちょうど良い量採れて助かる。 |
トマト | 結実数が増加し、モザイク病が激減した。例年260本ほど定植して30本ほどモザイク病の影響で植替えを行うが今年は3本しか植替えていない。異常茎(めがね)になると例年は諦めるが、今年はそこから伸びるので収穫が続けられる。 |
食用ホオズキ | 果実が山のように増えた。 |
万願寺とうがらし | 果実が増えた。例年より20cmほど草高が長くなった。 |
シソ | 例年より30cmほど草高が長くなり、壁のように成長した。 |
長ネギ | 赤さび病などの影響で例年は8月には三分の一に、最終的には半分くらいの本数になるが、今年は今のところ全て生きている。 |
ピーマン | 例年は梅雨時期に収穫できたことはなく8月上旬頃に始まるが、今年は梅雨明けに始まった。収穫が1か月ほど早まった。味も良い。 |
キャンディダパラプシローシス生菌製剤の良い所・悪い所
セイコーエコロジア 小島
キャンディダパラプシローシス生菌製剤の良い所と悪い所を教えてください。
晴彦さん
定植前の苗のステージで施用できるところが非常に良かったと思います。実際に使ってみて差が出てくれたことは、これまで使ってきた資材とは違うところでした。それに、一度菌根菌が植物に共生するとその作はずっと共生してくれることも良い点だと思います。これまでに色んなことを試してきて、菌根菌を使ってみたら他では見られなかったたくさんの良い効果が得られたので、とても良いものだと感じていますね。
とくに悪い点は無いのですが、強いて言えば要望があって、すでに根付いてしまっている果樹にも使いたいなと思っているので、なにか方法があれば良いなあと思っています。あと、保管方法が解りにくいので改善点かもしれません。でも微生物資材(生き物)ということを考えればある程度は許容範囲です。
吉田農園のこだわり
セイコーエコロジア 小島
吉田さんが有機農業を行う上でのこだわりを教えてください。
晴彦さん
「できるだけ人の手を掛け過ぎず、自然に逆らわずに育てて三鷹の自然を表現したい」と考えています。自然は身体が欲しているものを与えてくれると思うんですね。野菜に無茶なことはさせない。そんな感じです。
理恵子さん
「自然の循環を大事にすることが基本、季節に逆らわず旬を大事にすること」ですね。
キャンディダパラプシローシス生菌製剤の導入を考えている方のメッセージ
セイコーエコロジア 小島
キャンディダパラプシローシス生菌製剤の導入を考えている方へメッセージをお願いします。
理恵子さん
私の考えではあるのですけど、吉田農園は、有機的にゆっくり育てようとする少数派の農家です。それでも、現在や未来の食料問題のことを考えると農薬や化学肥料はおそらく必要なものだろうとも考えています。私は有機や自然といった農法で栽培をしてきましたが、自分の畑と向き合って、自分の畑を研究して、自分の畑の個性を見つけたときに、やっと少しはいいものができたかな?と感じました。夫と畑を見ていた時も肥料が多くなった時には、虫が多くなってみたり、病気が増えて全滅してみたり、ということを経験してきました。たとえば人間だって食べ過ぎれば病気になります。そういった点を畑にあてはめて考えてみるとこの菌根菌資材は肥料をやり過ぎなくとも植物の根と微生物のやりとりで程よいバランスをとってくれる、吉田農園のバランスを整えつつ活性化させてくれる、とても良い資材だと思います。
晴彦さん
私は菌根菌を苗に施用することは、結果的に省力化になると考えています。追肥の手間も無くなるし、無駄な肥料をやらなくて済むと思うからです。これから肥料がどんどん高額になっていくことを考えると、その畑にある栄養分を無駄なく吸収してくれることは非常に良いことだと思います。自分の畑をよく理解した上でこの資材を使用すればとても良い効果が得られると思います。使ったら楽しいですよ!ハマる人にはむちゃくちゃハマると思います!!(笑)