コラム
アスパラガスの褐斑病とは?原因と対策について解説
公開日2026.03.24
更新日2026.03.24

アスパラガスの褐斑病とは?原因と対策について解説

アスパラガスの褐斑病は、気づいたときには茎葉に斑点が広がり、株を弱らせてしまう代表的な病害の一つです。放置すると光合成量が低下し、当年の品質や収量だけでなく、翌年の生育にも影響を及ぼすことがあります。本記事では、褐斑病の原因や発生条件、薬剤防除と環境管理を組み合わせた対策について整理して解説します。

褐斑病とは?

褐斑病は糸状菌(カビ)の病原菌によって起き、主に茎葉に褐色の斑点を作って広がります。病原菌は、前年の残渣や圃場周辺に残った発病葉などで生き残り、感染を広げます。感染の引き金になりやすいのは、葉が濡れている時間が長いことと、高めの湿度です。雨、朝露、過度な潅水、ハウス内の結露などで葉が長時間濡れると、胞子が発芽して侵入しやすくなります。感染してから発病するまでの潜伏期間が長い(20~30日程度)という特徴があります。

褐斑病の発生しやすい時期や条件

褐斑病の発生リスクが高いのは、雨が続く時期や、朝露が多く乾きにくい時期です。日中の気温が上がっても、夜間〜早朝に葉が濡れたままの時間が長いと感染が進みやすく、数日で「点々」から「面」で広がることがあります。特に夏場の高温期に進行が早くなります。生育ステージで注意すべき時期は、立茎して茎葉量が増え、圃場内が込み合ってくる頃です。葉が茂ると通風が落ち、湿気がこもりやすくなるため、褐斑病のカビにとっては好条件になります。土壌の排水性能が悪い圃場では、湿度が高い時間が長くなり発生を助長します。

アスパラガスの褐斑病の被害

茎や葉に小黒点を伴う小さな褐色〜赤褐色の斑点が現れます。よく見ると、斑点の中心がやや淡く、周囲が濃く見えることがあります。最初は目立たなくても、湿った日が続くと短期間で数が増えます。症状が進むと斑点が拡大・融合し、茎や葉(擬葉)が黄化して枯死します。アスパラガスは立茎後の茎葉で光合成し、地下部に養分をためて翌年の萌芽・収量を支えるため、茎葉が傷むほど翌年の勢いが落ちやすくなります。株が弱ると茎数や太さが伸びず、結果として収量・規格比率が下がりやすいのが実害です。

香川県のホームページにアスパラガスの褐斑病の画像が掲載されていましたので、参考にしてみてください。

褐斑病対策

褐斑病は、薬散と栽培管理などを複合的に組み合わせて対策するのが基本です。薬剤だけに頼ると散布間隔が空いたタイミングで再拡大しやすく、環境管理だけでも多発年は抑えきれないことがあります。

薬剤防除(殺菌剤)

薬剤防除では、作用機作(系統)の異なる薬剤をローテーションすることが基本です。長期間にわたり同じ系統で殺菌剤を施用すると、耐性菌が増えやすくなることが知られています。北日本病虫研報によれば、秋田県のアスパラガスの圃場においてQoI剤の耐性菌検出圃場率が80.0%(30圃場中24圃場)と高い割合だったと報告されています。

薬散の狙いは、発病してから治すというより、発病前(感染前や潜伏期間)に感染と拡大を抑えることです。前年に病気が出た圃場では、資材や土の中に残った被害残渣に病原菌が残っており、そこから飛び散る胞子が、最初の感染源になるとされています。つまり、親茎の立茎が始まる頃には、すでに圃場内では胞子が飛んでいる状態です。そのため、立茎期から防除を始めることが、薬散の効果を引き出すポイントになります。褐斑病の発生が確認された場合や、曇天や雨天が続く場合は散布の間隔を短くすると良いとされています。

薬剤散布は、十分な薬量でムラなく行うことが基本です。葉や茎の表面だけでなく、株の内側までしっかり薬液が届くように意識しましょう。外側からの散布に加え、ノズルを株内に差し込むなどして、内部まで確実に行き渡らせることが、防除効果を高めることになります。

発生時の対処

褐斑病の発生株を確認したら、即座に切り取り、ビニール袋等に密封してゴミに出す(または焼却)のが正しい処分方法です。地面に落ちた残渣も感染源になるため、必ず一緒に除去してください。発病した茎葉を圃場内に放置すると胞子源が残り、雨や作業で周囲へ広がりやすくなります。褐斑病の病原菌は、前年に病気が出た株の残り(擬葉など)とともに、土の表面で冬を越します。そのため、栽培が終わった後は、被害を受けた残渣を圃場の外へ持ち出し、さらに畦まわりの残渣はバーナーで焼くなどして、圃場をきれいな状態に整えておくことが大切です。

湿度の管理

密植を避け、整枝や刈り込みで風通しを確保すると、葉や茎の乾く速度が上がります。特に畝の中央部や風下側は湿りが残りやすいので、風の通り道を意識して茎葉量を調整します。畝間管理で雑草や不要な残渣を減らすことも、圃場内の湿りを下げるうえで効果的です。

施設栽培では、雨天時以外は基本的にハウスの開口部を開けておき、風通しを良くしておくことが大切です。アスパラガス半促成長期どり栽培における褐斑病の発生生態と防除対策(長崎県農林技術開発センター)によれば、施設内の換気がしっかり行われているほど褐斑病の発生が少ない傾向が見られ、特に摘心した高さより上までしっかり風が通るように、妻面を大きく開けたり、側面の肩換気を行ったりする施設では、発生が抑えられることが確認されたと報告されています。

土壌の排水

排水が悪いと地面からの蒸れで葉が乾きにくくなり、同じ降雨でも発病が増えます。明渠・暗渠、畝立ての見直し、踏圧で水が溜まる通路の改善など、圃場の弱点から優先して手を入れると効率的です。潅水は必要量を守りつつ、夕方以降の潅水で土壌が乾きにくい時間を延ばさないように工夫しましょう。

アスパラガスの褐斑病対策におすすめの換気扇|空動扇&空動扇SOLAR

空動扇&空動扇SOLARは、アスパラガス栽培における「湿度管理」と「通風改善」に役立つ環境制御資材です。褐斑病は、葉が長時間濡れた状態や高湿度環境で発生しやすいため、ハウス内の空気を動かし、乾きやすい環境をつくることが重要になります。空動扇の特長は、電気を使わずに温度変化を利用して作動する点にあります。形状記憶スプリングが温度に応じて伸縮し、換気弁が自動で開閉する仕組みとなっており、ハウス内の温度が上がると自然に換気が促されます。これにより、こもりがちな湿気や熱気を外へ逃がし、結露の発生や葉面の濡れ時間の長期化を抑えることができます。

薬剤防除とあわせて、こうした物理的な環境改善を取り入れることで、防除効果はより安定します。空動扇は「病気を治す資材」ではありませんが、「病気が出にくい環境をつくる」という点で、褐斑病対策の土台づくりに有効な選択肢の一つといえるのではないでしょうか。

アスパラガスの褐斑病とは?原因と対策について解説(イメージ)
左:空動扇|右:空動扇SOLAR
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空動扇は自然の風の力でベンチレーターを回転させることでハウス内の暑い空気をハウス外へ排出します。
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空動扇SOLARは自然の風の力とSOLARの力を利用してビニールハウス内の熱い空気をハウス外へ排出します。無風の時でも晴れてさえいれば換気能力が失われません。
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ビニールハウスの上部に設置することで、熱気と湿度を排気します。
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パイプ取付部分の爪の直径は約25mmと約40mmです。25mm側を補助パイプへ、40mm側を母屋パイプに固定します。
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設定温度(換気弁の開閉温度)は形状記憶スプリングのツマミを回すことで0~40℃の間で設定することができます。
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アスパラガスの褐斑病対策は「予防」がカギ

アスパラガスの褐斑病は、高湿度や葉の濡れ時間の長さをきっかけに発生し、茎葉を傷めて収量低下につながる重要病害です。対策は、薬剤防除だけでなく、残渣除去や通風確保、排水改善などの環境管理を組み合わせることが基本となります。特に立茎期からの予防的な対応と、湿気をためない栽培環境づくりが、発生を抑えるポイントです。

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参考資料:
アスパラガス褐斑病の防除対策の徹底について(佐賀県農業技術防除センター)
秋田県におけるQoI剤耐性アスパラガス褐斑病菌の発生(北日本病虫研報)
アスパラガス半促成長期どり栽培における褐斑病の発生生態と防除対策(長崎県農林技術開発センター)

 

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