導入事例
いちごの反収が9tに!うどんこ病も出なくなりました|小山雅史さん
公開日2024.11.25
更新日2024.11.25

いちごの反収が9tに!うどんこ病も出なくなりました|小山雅史さん

栃木県宇都宮市でいちごを栽培されている小山雅史さん。2021年3月にモーターフォグを導入され、病害虫減と収量アップによる効果を実感されています。今回はモーターフォグの使用感をヒアリングさせていただきましたのでここに詳しく記載致します。

基本情報

個人名:小山 雅史(おやま まさし) さん
栽培作物:いちご
品種:とちあいか(90%)、スカイベリー(5%)、ミルキーベリー(5%)
圃場面積: 48a(4,800㎡)※単棟ハウス11棟
出荷先:JAうつのみや(90%)、農産直売所あぜみち(10%)
製品ご購入年月:
2021年3月 モーターフォグ MF-100AS
2023年10月 リフレッシュ1kg×10、ライトスター5L×1
2023年11月 リフレッシュ1kg×20
製品使用場所: 栃木県宇都宮市

いちご農家になったきっかけ

セイコーエコロジア 満岡(以下、満岡) 小山さんがいちご農家になったきっかけを教えていただけますか?

小山さん もともと親が28aの面積でいちご栽培をしていまして、私は農協職員としてJAうつのみやに勤めていました。40歳で将来のことを考えた時に、私はまだ結婚をしていないのですが、将来結婚して子供ができた時や、サラリーマンだと60歳を超えると収入が激減するなと思ったのと、農協で営農部門の担当をしていたことで、いちご部会のこともよく分かったため、これは勝負になるなと思ったからですね。ただし、親とは別の経営で農業を始めたんですよ。申告も別々、経営も別々ですね。ですので私は、新規就農者として助成とかを受けつつうまく農業を始められたと思います。就農3年目(今は5年目です)で父親が農業をやめることになりました。ただし、継ぐというよりも、もともと経営が別だったこともあり、父親がやめたものを借り受けするという形で吸収して48aの面積になりました。

満岡 48aは全て土耕栽培ですか?

小山さん 全部、土耕栽培です。

満岡 JAうつのみやでは普及員として勤められていたのですか?

小山さん 普及員という言葉は、今は使わないですね。営農指導員という立場にはありましたが、集荷とかもやりますし、営農部門全般の仕事をしていました。いちご以外も梨といった果樹も含めて担当していました。

満岡 就農にあたっていちご以外の作物も検討されましたか?

小山さん もともと親がいちごをやっていたため、いちごを選びました。例えばいちごの畝立て機も親が所有しているものを使えるじゃないですか。結局、今では規模拡大で自分でも購入していますが。もともと一昨年までは水稲も1町5反ほどの面積をやっていたのですが、昨年からは水稲を貸してしまって今年からはいちごだけに専念しています。

満岡 ちなみに、新規就農となると、補助金でどれぐらい優遇されるものなのでしょうか?

小山さん まず認定新規就農者という資格をとると、借入が無利子になります。圃場面積によって審査はありますが、最大で3,000万円の借入ができたと思います。私は28a の面積でスタートしましたので、2,500万円くらいの資金を借りることができました。その資金を使いつつ、県の補助金、市の補助金、農協の補助金などがあり、例えば溶液土耕装置といった機械に出ましたので、それだけでも1,000万円近くの補助金を得ることができました。また、国の事業である次世代人材育成資金で、就農後5年間は年間最大で150万円が給付されます。私はフルではもらっていないですが、5年間フルでもらうと750万円ということですね。それらがあったため、別経営で新規就農することにしました。親がいちご栽培をしていたこと、農協職員だったこと、いちごの知識があったこと、市などの行政に相談しやすい環境にあったことが、いちご栽培を始めた決め手ですね。

栽培のこだわり

満岡 栽培のこだわりを教えていただけますか?

小山さん IPMに取り組んでいます。農薬を減らして、天敵昆虫を10月末から入れています。人によっては薬散を週に一回とか定期的にやっていると思うのですが、私は年内の定植後の薬散は2回だけかなと思います。年明けも2月~3月頃までは薬散しなくてすむようにしています。殺菌剤を減らそうとしていますね。ただし、葉面散布はするので、葉面散布用にモーターフォグをだいぶ使っている感じですね。

満岡 天敵はリモニカ(リモニカスカブリダニ)ですか?

小山さん ハダニ対策としてミヤコカブリダニとチリカブリダニ、アブラムシ対策としてコレマンアブラバチを入れています。リモニカとスワルスキーは価格が高いため使用していないです。過去に使用したこともありますが、価格に見合う効果が得られなかったことから、使用していません。

満岡 そうするとアザミウマはそこまで困っていないということですか?

小山さん 赤色LEDを昼間に点けているため困っていないです。栽培して1~2年目くらいまでは、年内に点けて、年明けは消していたのですが、去年~一昨年からはシーズン通して点けたところ、アザミウマの被害はなくなりました。それでも3月~4月にアザミウマが発生することはありますが、その頃になれば気門封鎖剤が使えますので問題ないですね。なるべく農薬は減らして葉面散布はガンガンやっています。

モーターフォグを導入したきっかけ

葉面散布用噴霧機、モーターフォグ

満岡 モーターフォグを導入しようと思ったきっかけを教えていただけますか?

小山さん 実は最初からモーターフォグを探していたわけではなく、インターネットでケイ酸が植物にとって大事といった情報を収集する中で、セイコーエコロジアのコラムを読んだことがきっかけです。

スカイベリーは循環扇の使用が必須なのですが、モーターフォグ循環扇がついているハウスには使いやすいと思います。ハウスの奥行が80mほどと長いハウスでも循環扇の力があれば、モーターフォグの葉面散布剤をハウス全体に届けることができます。逆に言うと、モーターフォグの欠点として、循環扇のついていないハウスには向かないと思っています。モーターフォグのカタログで、肩にかけて使用している写真がありますが、延長コードはどうしているのかなと思いますね。奥行が30m~50mのハウスまでなら大丈夫かなと思いますが、80mはきついです。電気屋さんに相談して70mくらいのなるべく軽い延長コードを作ってもらい何回か肩掛け噴霧にチャレンジしましたが、土耕なので時によっては地面がドロドロなので、ドロドロかつ重い延長コードを抱えて使用するのはつらかったです・・・。そのため、循環扇のないハウスではモーターフォグを使用していません。ゆくゆくはバッテリー式のモーターフォグが欲しいと思っています。バッテリー式であれば循環扇がないハウスでもコードが邪魔になることなく使用できますので。

関連コラム:ケイ酸の特徴|肥料として期待できる効果を解説

モーターフォグの使い方

満岡 モーターフォグの使い方を教えていただけますか?

小山さん リフレッシュ(ケイ酸資材)*の上澄み液に、様々な種類の葉面散布剤を混用し、噴霧しています。リフレッシュの上澄み液は、45Lのポリバケツにリフレッシュを半袋くらい(500g)を入れて、水を注いでかき混ぜて作ります。上澄み液を使用して減ってきたら、水を随時追加し、約一か月ごとにリフレッシュ半袋を追加しかき混ぜて作るの繰り返しです。シーズン終わりにポリバケツの中身を全て処分している感じですね。上澄み液は11月~3月でしか使用しないため、1シーズンでリフレッシュを2.5袋しか使用していません。ただし、循環扇のないハウスについては動噴に半袋くらいのリフレッシュを混用しているため、リフレッシュの消費量はそんなに少なくはないと思いますね。ちなみにリフレッシュのケイ酸成分が上澄み液にどの程度残っているのか分からないため、リフレッシュの上澄み液とは別にシリカスターというケイ酸資材も加えています。

プラスチック製の野菜箱の上にモーターフォグを置き、ハウスの入り口付近から奥に向けて1ハウスあたり15分くらいを目安に噴霧しています。4つの単棟ハウスで移動させながら使っています。4つのハウスだと1時間ほどかかりますが、タイマーをセットしてしまえばその間で別の仕事ができます。それこそ家とハウスの距離が近いので、15分経ったらハウスへ行ってモーターフォグを移動させにいくというような使い方をしています。移動することは面倒ではありますが、単棟ハウスなのでしょうがないかなと割り切っています。

*現在リフレッシュは販売が終了している製品です。代替商品をご案内させていただきますので、まずは お問合せ CONTACT USからご連絡ください。

満岡 葉面散布剤は微量要素を混用しているのですか?

小山さん それこそ菌も入れますし、アミノ酸資材、バチルス菌など、いつも10種類*くらいは入れています。

*リフレッシュ上澄み液、苦土石灰上澄み液、リーフエナジー、アンビション®アルガ、シリカスター、バチルスター、酵素スター、アミノスター、プロリンスター、カルタス、根っこりん、メリット赤、メリットM、イーオス、マジ鉄など

満岡 10種類もですか!それは多いですね。とはいえ、10種類も入れるってことは効果を感じていらっしゃるからということですよね(笑)

小山さん 普段から動噴の薬散の時もけっこうな種類を入れるんですよ(笑)。リン酸カルシウム苦土もみたいな。まとめて入れてしまいますね。最近では本当に色々な種類の商品があるじゃないですか。バイオスティミュラントとか・・・。モーターフォグは1反あたり4Lを噴霧しています。葉面散布剤の作り方としては、3Lの計量カップ半分くらいにリフレッシュの上澄み液を入れて、大さじ2くらいの各溶液を目分量で混ぜていますね。混ぜる順番には注意しています。リン酸カルシウムや、リン酸ケイ酸を混ぜてしまうとすぐに結晶化してしまうので、リン酸は一番最後に入れています。

満岡 10種類もいれて、不具合が起きたことはないのですか?

小山さん ないですね。魚系の液肥を使うとにおいが気になることがあるくらいです。モーターフォグの本体のノズルがつまってダメになることもないです。使用後に、ただ水で洗浄しているのでノズルが詰まることはないのではと思います。

満岡 循環扇はハウス内のどの位置についていますか?

小山さん うちの場合はハウスの真ん中に循環扇をつけています。そのため、モーターフォグの葉面散布剤は奥までいってから入り口まで戻ってくるような動き方をします。ハウスにまんべんなく葉面散布剤が充満していますね。

満岡 モーターフォグを使う時間帯はいつですか?

小山さん 夕方に使っています。厳寒期は内張りを閉めた後に使っていますね。

満岡 お仲間でモーターフォグを導入されている方はいらっしゃいますか?

小山さん 私が最初に導入し、仲間ではまだ1人しか導入していないと思います。もともとスカイベリーを栽培していないと、ハウスに循環扇が入っていないことが多いからだと思います。とちおとめを栽培している人は循環扇をいれていないですから。循環扇をいれると、どうしてもダニが出やすいとか、乾きやすいとかがあるので、そもそもいれていない人が多いです。スカイベリーは灰かびに弱いので、循環扇が必須のため、私にとってはモーターフォグの導入にちょうどよかったなと思っています。

モーターフォグの効果

満岡 モーターフォグの効果を教えていただけますか?

小山さん モーターフォグを使用してからはうどんこ病が出なくなりました。モーターフォグの葉面散布剤はそれこそ葉裏にもいくわけですし、菌の飽和状況をつくりやすいのかなと思います。またケイ酸が葉を強くする(葉が固くなる)効果があるので、病気に対しての耐性が強くなっているのかなと思います。

また、もともとIPMで天敵を入れているからかもしれないのですが、ダニとかの虫が出ないです。そして、いちごの味が良くなるのと、いちごの色と艶が良くなります。赤く色を出したいので、微量要素の鉄をモーターフォグで噴霧しているのですが、ハウス全体にまんべんなく葉面散布剤が行きわたるのか、いちごの色艶は良いですよね。

そして、モーターフォグによってある程度の湿度を保てているからなのか、ミツバチが元気になっているんじゃないかと思いますねシーズンの終盤になるとミツバチを追加で買ったりする必要があることが多いのですが、去年は買いませんでした。よく薬散の後の水たまりの水を飲んでミツバチが死んでしまうことがあると思いますが、モーターフォグで湿度があることでハチの体調が良いのかなと思いますね。

収量も採れていると思います。正直、モーターフォグ導入前の1作目のスカイベリーの反収が8t/反だったのですが、今は9t/反にはなりましたね。ですので、効果はあると思います。モーターフォグによってまめに葉面散布できたというのが大きいと思います。

満岡 薬散の回数は減りましたか?

小山さん 薬散の回数は半分以下どころではなく、かなり減っている(6割~7割減)と思いますね。モーターフォグの導入前と比較して、本当に薬散をしなくなりました。モーターフォグにプラスして天敵をいれている人は薬散が減ると思います。天敵をいれている時に薬散をすると物理的に天敵が溺れて死んでしまいますので、基本的には薬散をしたくないじゃないですか。そのため、天敵導入者にモーターフォグはおすすめです。とにかく農薬は減りますよね。殺菌剤が減ります。スカイベリーも1年目は灰かびでけっこう悩んだのですが、モーターフォグを導入した2年目は灰かびが減りました。今では灰かび、うどんこ病はほぼ見なくなりましたね。

満岡 10種類の葉面散布剤は状況によって使い分けるのですか?

小山さん そうですね。例えば普段は入れないのですが、葉色が悪くなってきたら窒素も入れますし、葉厚が薄くなってきたらリン酸を強めに入れるといった工夫をしています。

満岡 モーターフォグの改善点があれば教えていただけますか?

小山さん 噴出口がもっと増えて、噴霧量がもっと出れば噴霧時間が減るため楽になるのかなぁとは思います。また、肩掛けして歩いて使用するには本体が重いかなと思います。あとは、掃除の仕方が分かりにくいです。ノズルもシーズン初めは水が出なかったりするので、ただの水で回して出すようにしています。若干、掃除がしにくいかなと思いますね・・・。

満岡 モーターフォグ本体の調子はどうですか?

小山さん おかげさまで4年目になりましたが、今のところ問題はないです。

今後の目標

満岡 今後の目標はありますか?

小山さん 最近は春が暑いので早切りあがりで栽培がうまく回ればいいなと思います。このあたりの地域だと5月いっぱいまで栽培する流れが普通なのですが、GW明けでやめることでも良いのかなと思っています。

規模拡大というよりは、短期間で高収入を目指すために、色々な資材や機械なりを使っていきたいです。私は45歳ですが、労力低減の部分でも、例えばセット動噴はホースをひっぱることが大変じゃないですか、それを、モーターフォグを使うことでうまく省力化できればと思います。労働強度の低減ですかね。それも目指していきたい部分ではありますね。

モーターフォグを導入検討されている方へ

葉面散布用噴霧機、モーターフォグ

満岡 最後に、モーターフォグを導入検討されている方へメッセージをお願いします!

小山さん 葉面散布に力をいれるつもりがある人におすすめします。私は「趣味は?」と聞かれる時に「葉面散布」と答えています(笑)。いちごの栽培期間は、収穫もパック詰めも基本はパートさんにやっていただき、私は栽培管理に力を入れなきゃいけない中で、趣味ぐらいに葉面散布をできると(笑)。薬散回数が多いと栽培に何か問題があると思いますが、葉面散布は正直なところ毎日やったって良いと思っています。葉面散布に力をいれたい、葉面散布に力をいれようと思っている、さらに上を目指したい人なんかはモーターフォグをどんどん活用すべきだと思います。

それこそ奥行が50m以上の長いハウスの場合はコードの取り回しが大変なのでバッテリー式のモーターフォグが良いと思いますし、連棟ハウスであればモーターフォグは絶対に導入した方が良いと思います。単棟ハウスでも循環扇などの風を送る設備があるようであれば積極的に導入するべき機械だと思います。

いちごの反収が9tに!うどんこ病も出なくなりました|小山雅史さん

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。

 

◆X
https://twitter.com/SEIKO_ECOLOGIA

Tweets by SEIKO_ECOLOGIA
youtube
ご注文
見積依頼
お問合せ