キンコンバッキーでニンジンの規格が２Lから３Lに!ペレット種子への上手な使用方法を考案!!｜戸山の郷中王

戸山の郷中王について

組合名　　　：農事組合法人戸山の郷中王
場所　　　　：広島県広島市安佐南区
農園管理者　：石井裕二
就農歴　　　：14年目
栽培作物　　：水稲(11町)、小麦(８反)、ニンジン(４反)、
　　　　　　　広島菜(1.5反)、トウモロコシ(１反)、　
　　　　　　　タマネギ(５畝)、ソバ(５畝)、
　　　　　　　サトイモ(２畝)
主な販売方法：組合員への販売

【キンコンバッキー使用歴】
2024年２月　１袋　
2024年３月　２袋
2024年７月　１袋

セイコーエコロジア 小島
石井さんと戸山の郷中王について教えてください。

石井さん
私は岐阜市の出身になりますが妻の故郷の広島県で農業を行っています。元々は自衛官をしており愛知県の春日井駐屯地に配属されていました。
戸山の郷中王についてですが、私がこの地に来る以前に、戸山地区の多くが兼業農家であること、あと20-30年も経つと人手不足によって里山が廃れてしまうことが問題になっていました。これをキッカケに戸山地区の農地整備を行うことになり、あわせて農事組合法人を立ち上げようと行動することになりました。

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自衛官からの農業従事者への転身は思い切った決断でしたね。

石井さん
そうですね。農事組合法人の立ち上げ当時に人手が無かったことと、ちょうど私が自衛官を退職しようと考えていた時だったのでここで農業をすることを決断しました。体力には自信がありましたが農業は全くの未経験からのスタートです。

キンコンバッキーの使い方｜種子粉衣に最適!!

セイコーエコロジア 小島
キンコンバッキーを使用することになったキッカケを教えてください。

石井さん
アーバスキュラー菌根菌については以前から気になっていて、初めて使ったのが４年ほど前になります。当時はキンコンバッキーが無かったので別のメーカーの資材を使っていました。菌根菌を種子に粉衣させて使いたかったのですがそのメーカーの資材は種子への付着が上手くいかなかったので使い続けませんでした。最近になってキンコンバッキーという資材の販売を知り試してみたところ、種子への付着が非常に良く、使い続けたいと思いました。

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キンコンバッキーをどの農作物にどの様に使用しましたか。

石井さん
ニンジン、スイートコーン、サトイモに使用しました。あと、余ったキンコンバッキーをマルチムギに粉衣して使いました。

【ニンジン】
ハンドタイプのスプレーを使って60倍希釈水をペレット種子に霧吹きをして使用しました。キンコンバッキーはペレット種子には付着しにくい性質があったので考えた結果の霧吹きです。霧吹きは薄めに吹きかけることがコツだと思っています。吹いては乾燥させてを３～４回ほど繰り返しますが１時間ほどの作業です。白色のペレット種子が茶色になるのでキンコンバッキーが浸透したことがわかりやすいですね。この種子を当日中に播種しました。
＊写真の左側が使用前、右側が使用後です。

【スイートコーン、マルチムギ】
スイートコーンは粉衣で使用しました。種子あたりの粉衣量は計っておらず、粉衣作業が終わった時にキンコンバッキーがバケツに少し余る位の量です。余ったキンコンバッキーが勿体ないのでマルチムギにも粉衣して、スイートコーンの畝間に播種しました。

【サトイモ】
種いもをトップジンM水和剤で浸漬処理した後に、キンコンバッキー60倍希釈水で１回噴霧しました。トップジンMはキンコンバッキーの活性に影響を与えないことを事前にセイコーさんに教えていただいたので使うことにしました。

キンコンバッキーの効果

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どの様な効果がみられましたか。

石井さん
【ニンジン】
サイズが１つ上がった感じです。２Lから３Lに大きくなった実感があります。２月に播種して大体110日で収穫する作型ですが、３Lだと肥大しすぎなのでもう少し早く収穫するとちょうど良い２Lだったと思います。工夫すれば早出しができると考えています。あと、生育中に全然雨が降らない時期があったので上手くいかないと思っていたのですが、無事に収穫できたのでアーバスキュラー菌根菌の耐乾燥性の効果を得られたと感じました。

【スイートコーン、マルチムギ】
スイートコーンは上手くいきませんでした。キンコンバッキー云々というよりも今年は元肥を減らしたことや５月の低温で初期生育が悪かったことが要因として挙げられます。あと、マルチムギに栄養を取られたことも考えられます。
畝間に播種したマルチムギがかなり旺盛に生育しました。マルチムギを片付けるときに根が張りすぎて土から剥ぎづらく困ったほどです。

【サトイモ】
深川芋という広島県の品種です。収穫は８月下旬～９月下旬になりますが、今のところ変わったことはありません（訪問日は７月下旬）。

キンコンバッキーを検討している方へのアドバイス

セイコーエコロジア 小島
最後になりますが、キンコンバッキーの使用を検討している方にアドバイスをいただけますか。

石井さん
アーバスキュラー菌根菌を種子粉衣して使用したい方にはオススメできますね。近年は天候が読めなくなってきて植物の生育や収穫量にも影響が出ていると感じていますが、何か対策しなければいけないと考えたときにアーバスキュラー菌根菌という選択肢は有りだと考えています。戸山の郷中王としても今後は水稲や小麦にキンコンバッキーを使用することを検討しています。

おわりに

実は以前に、別の農家さまに協力してもらってニンジンのペレット種子にキンコンバッキーを粉衣させる試みをしたのですが付着が思わしくなく、ペレット種子への適用紹介を一時断念した経緯があります。そこに石井さんが現れて霧吹きという斬新な手法を考案し、結果的にサイズアップの成果を出していただいたことは、今後異なる植物のペレット種子にも応用できる大きな発見でした。石井さんの、別の菌根菌資材を既に使用した経験がキンコンバッキーの上手な使用方法の考案に繋がっていることを考えると、如何に行動すること、チャレンジすることが大切かを教えてくれます。