平井農縁さんは江戸時代から続く農家で、現在の農縁主である平井祐太さんは御爺様から農地を引き継ぎエダマメとゴマを主軸に無農薬栽培を実践しています。また、「スパイスからカレーを作り上げる」というテーマを掲げたRIVER VILLAGEプロジェクトを友人のRyoさんと立ち上げ日々邁進しています。
平井さんはカナディアンフミンのペレットを使用してまだ6か月ですが、早くも土壌の変化に違いを感じていました。今回は平井農縁におけるカナディアンフミンの使い方や効果について詳しくお話しを聴かせていただきました。
平井農縁について
場所 :東京都立川市
栽培植物
エダマメ :神風香、湯あがり娘
ゴマ :金ゴマ、黒ゴマ
スパイス :ウコン、ジンジャー、ハバネロetc.
その他野菜:ジャガイモ、ニンジン、ミニ白菜etc.
面積 :5反(20m×250m)
農縁主 :平井祐太さん
就農歴 :11年
販売先 :JA、ネット販売
ホームセンターの企業マルシェ
カナディアンフミンペレットの購入歴
2023年1月 12袋(エダマメ、ゴマ、ジンジャーなど春夏野菜)
2023年6月 15袋(ニンジン、ダイコン、ガーリックなど秋冬野菜)
平井さんと平井農縁
セイコーエコロジア 小島
平井さんと平井農縁について教えてください。
平井さん
就農する前は音響の仕事に携わっていました。祖父から農地を引き継いで11年経ち、現在は「平井農縁」としてエダマメとゴマを主力に無農薬で野菜を栽培しています。平井農縁の経営と並行して、「RIVER VILLAGE」というプロジェクトに取り組んでいます。このプロジェクトはスパイスからカレーを作り上げるというテーマを掲げていて、圃場ではウコンやジンジャーなどカレースパイスの原料となる植物を栽培しています。
セイコーエコロジア 小島
土地勘がない者でして初めてこの地域を訪問しましたが、雰囲気のある屋敷や農地が通り沿いに並んでいますね。
平井さん
この道は五日市街道といって徳川の時代に農地が割り振られた歴史があります。当時は街道に面して縦長で短冊形の畑が連なるように割り振られたそうで、とても細長いことが特徴でした。現在の平井農縁は20m×250mなので江戸時代の面影が少し残っています。でも、ここ4~5年で周りの畑も随分と減りましたね。建売住宅が増えましたよ。
RIVER VILLAGEプロジェクト
セイコーエコロジア 小島
訪問させて頂いて、最初にRIVER VILLAGEのロゴが目に留まりました。RIVER VILLAGEプロジェクトについて教えてください。
平井さん
友人で美容師のRyoさんと取り組んでいます。私の畑がここ立川市に、Ryoさんが経営する美容室が武蔵村山市にあるので、地名から一文字ずつ取ってRIVER VILLAGEにしました。
圃場ではエダマメとゴマだけではなくジンジャー、ガーリック、ウコン、ハバネロなどのカレースパイスの原料も栽培していて、2022年2月に圃場のすぐ隣に加工場を建てました。この加工場には乾燥機や粉砕機などスパイス作りの設備を整えていて収穫したスパイスをここで加工・ラベリングして商品にしています。近々、甘いスパイスのキャロットパウダーを発売予定です。
セイコーエコロジア 小島
事前にインターネットで調べてきたのですが、イチゴやコーヒーの栽培も計画されているとか。
平井さん
そうですね。資材高騰の影響でちょっと動きが遅くなっていますが、イチゴは1反で考えています。コーヒーは既に苗を購入していて、まずは自分達が飲むための一杯を目標にコーヒーチェリーの収穫を目指しています。行く行くはアンテナショップを開設して、カレーやコーヒー、加工品を提供できるようにしたいと考えています。
平井農縁のエダマメとゴマ
セイコーエコロジア 小島
平井農縁のエダマメとゴマについて教えてください。
平井さん
エダマメとゴマはそれぞれ二品種を無農薬で栽培しています。
エダマメは色々な品種を試した結果、神風香と湯あがり娘にしました。神風香は圃場の土と相性が良く、味と品質のバランスがとても良いです。湯あがり娘は神風香より少し遅れて収穫できるのでリレーできる利点があります。
ゴマは金ゴマと黒ゴマです。お客さんの需要に合わせて金ゴマと黒ゴマを2:1の割合で栽培していて、1列30mで金ゴマが8列分、黒ゴマが4列分です。金ゴマは油分が多くセサミン含量も多い。黒ゴマは香り高い特徴があります。あと、黒ゴマより金ゴマの方が樹がしっかりしていて管理しやすいです。
セイコーエコロジア 小島
ゴマを栽培している農家さんに訪問することは初めてです。なぜゴマを栽培しているのですか。
平井さん
面白いと思えるものを栽培したかったことが理由です。あと、ゴマの国内生産量が非常に少ないことが気になっていて、外国産、とくにアフリカの国々の生産量が多く、日本の生産量が少ないことに目を付けました。
セイコーエコロジア 小島
エダマメはなぜエダマメに?
平井さん
自分がエダマメを食べるのが好きだからです。採りたて新鮮なエダマメは居酒屋や冷凍食品のエダマメとは比べものにならないほど食感と味が違って美味しいんですよ!!
セイコーエコロジア 小島
とても共感できる理由です!!
カナディアンフミン購入の経緯
セイコーエコロジア 小島
カナディアンフミンの購入について経緯を教えてください。
平井さん
インターネットで「ペレット堆肥」と検索したらセイコーエコロジアのコラムが出てきました。纏められていて解りやすかったので電話で問い合わせしたことが購入の経緯です。
セイコーエコロジア 小島
ありがとうございます。「ペレット堆肥」は弊社が対策しているキーワードの一つです。平井さんのお問い合わせに繋がって大変嬉しく思います!
平井さんが参考にしたコラムはこちら
>>>堆肥による土づくりが省力化できる?ペレット堆肥のすすめ
なぜペレットを選んだのか
セイコーエコロジア 小島
今回はペレットタイプを選んで頂きました。なぜペレットにしたのですか。
平井さん
土づくりの時に使用したかったこと、臭いによる近隣住宅への迷惑を緩和したかったこと、堆肥の役割がほしかったことがペレットにした理由です。カナディアンフミンを使用する前までは魚粕やバーク堆肥などが原料のレオグリーン特号を使っていました。レオグリーン特号の方が1袋あたりの価格が安いですが、面積あたりの施用量がカナディアンフミンより多く(1反あたり200kg)、トータルだとカナディアンフミンの方が安価になります。
セイコーエコロジア 小島
カナディアンフミンは面積あたりどのくらい施用していますか。
平井さん
1反で100kgほど、ぜんぶ手撒きで施用しています。
土壌物理性の変化
セイコーエコロジア 小島
カナディアンフミンに切り換えてから土壌の物理性に変化はありましたか。
平井さん
土の塊が崩れやすくなってキメ細かくなりました。土を手でギュッと握っても程よく崩れます。その上、保水力も改善されたと感じています。以前のペレット資材にはバーク堆肥が含まれていたのでその違いが出ていると思います。
セイコーエコロジア 小島
カナディアンフミンは20m×250mの圃場全面に施用したのですか。
平井さん
1月に12袋を購入しましたがそれはエダマメとゴマをはじめジャガイモ、ジンジャー、ターメリック、ハバネロ、キクイモなど春夏野菜全般で使用しました。6月に購入した15袋は秋冬野菜全般で使用予定で、ニンジンからはじまりダイコンなどの根菜系、変わり種で高菜やミニ白菜、あとスパイス作物のガーリック・オニオンなどに施用します。先程もお話したように、平井農縁はとても細長い圃場です。大体三分割していて、毎年一面を休耕して二面で作付けといったサイクルです。
ペレットのエダマメへの効果
セイコーエコロジア 小島
カナディアンフミンのペレットを施用したことでエダマメに効果が得られましたか。
平井さん
神風香の播種が2月なのでそれに伴ってカナディアンフミンを施用しましたが、根粒菌が増えたと感じています。今年は天候が良かったこともありますが、例年通りの収穫ができていることに満足しています。
根粒菌に関するコラムはこちら
>>>菌根菌と根粒菌の違い|共通点と役割を徹底解説!!
ペレットのゴマへの期待
セイコーエコロジア 小島
これからゴマの生育期間に入りますね、ゴマに対するカナディアンフミンの期待はどんなことでしょうか。
平井さん
ゴマは梅雨の多湿期に斑点細菌病に罹りやすい植物です。カナディアンフミンの土をキメ細かくする効果で湿害を抑制することに期待しています。
今後の展望
セイコーエコロジア 小島
最後に平井さんの考える農業について教えてください。
平井さん
就農前にやっていた音響の仕事はとてもクリエイティブなものでしたが、創り上げるということに対して農業にも共通点があると考えています。「ゼロベースから創り上げる」をコンセプトにして六次産業化した農縁を目標に活動を続けたいです。
おわりに
今回の訪問ではカナディアンフミンの効果をヒアリングさせて頂いただけではなく、東京の農業の歴史や東京でカレースパイスを栽培・加工できる発見もできて、非常に有意義な時間を過ごすことができました。貴重な経験をさせていただいた平井祐太さんにはとても感謝しております。
ところで、筆者訪問中にセイコーエコロジアの関連会社「青梅産業(株)」が思いがけず往訪されました。平井農縁はセイコーエコロジアだけではなく青梅産業(株)のお客様でもあったわけで重ね重ね感謝申し上げます。
コラム著者
小島 英幹
2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了後、2年間農家でイチゴ栽培を経験。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌を利用した野菜栽培の研究に着手する。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。