導入事例
モーターフォグをフル活用!!イチゴ栽培と将来の農業を見据えて|吉永農園
公開日2023.07.04
更新日2023.07.04

モーターフォグをフル活用!!イチゴ栽培と将来の農業を見据えて|吉永農園

2023年6月8日。この日は朝から土砂降りの天気で一日がスタート。
熊本県八代市の吉永農園さんには午前中の本降りの最中に訪問させていただきました。訪問当日は吉永広樹さんにインタビューのご対応をしていただき、モーターフォグの使い方、イチゴ栽培や土作りについて詳しく教えて頂きました。
イチゴ栽培を行いながらも指導者として次世代に思いを繋ぎ、将来の農業を見据えて活動する吉永広樹さんが実践するモーターフォグの活用方法を是非ご参考ください。

吉永農園について

農園場所 :熊本県八代市
品種   :ゆうべに、桃薫、エンジェルエイト、淡雪
面積   :3.5反
      6m間口×5m×100m(5連棟ハウス)
      育苗ハウス(0.5反)
収穫量  :5~5.5t/反
就農歴  :4年
作業人数 :4名(パート1名含む)
主な販売先:JAやつしろ

モーターフォグ(100V)購入時期
2020年11月
メンテナンス部品(ノズル)購入時期
2022年12月

吉永さんと吉永農園の歴史

セイコーエコロジア 小島
吉永広樹さんと吉永農園について教えてください。

吉永さん
北陸先端科学技術大学院大学を卒業してから長野県の企業に就職して農産物の流通に関する仕事を経験し、長野県や茨城県で勤務を続けていくうちに農業に関心が高まっていきました。元々実家がイグサ農家だったので農業をするきっかけはありましたが、勤める以前は農業への関心は薄かったです。

セイコーエコロジア 小島
日本各地の農家さんを訪問してきましたが、イグサ農家さんは初めてです。

吉永さん
当農園のイグサ栽培はずいぶん前に止めました。八代市は古くから畳の材料となるイグサの産地でしたが、中国からの輸入が増加して八代市のイグサ生産は衰退しました。八代市だけではなく日本全体のイグサ生産が衰退していますね。我々の農園で言うと、私が就農することをきっかけにイチゴ栽培に舵を切りました。

吉永さんのイチゴ農園について

セイコーエコロジア 小島
吉永さんのイチゴ農園について教えてください。

吉永さん
定植圃場は5連棟ハウスで3反、土耕栽培です。熊本県の品種「ゆうべに」をメインに、桃薫など別の品種もチャレンジしています。収穫量は反あたり5~5.5tです。父母と私、あと弟の奥さんも手伝ってくれています。

セイコーエコロジア 小島
この地域のイチゴ農家さんは土耕栽培が多いのですか。

吉永さん
そうですね。JAのいちご部会には30人が所属していますが29人が土耕栽培です。栽培面積は2~3反が平均的で、最も収量を上げている人は反あたり7tです。

モーターフォグ購入の経緯

セイコーエコロジア 小島
モーターフォグの購入について経緯を教えてください。

吉永さん
いちご部会でモーターフォグの口コミがあったことがキッカケで、インターネットで検索したらセイコーエコロジアのサイトが出てきたので問い合わせをしたことが経緯です。当時はコロナウイルス拡大に起因して、経営継続補助金を利用することができたので購入にあたり役立ちました。

セイコーエコロジア 小島
いちご部会でモーターフォグの話題が出ているのですね!ありがとうございます!!

吉永さん
いちご部会30人中、3~4人がモーターフォグを所有しています。そのうち1人はJA経由で購入したそうです。モーターフォグに興味がある若手農家も何人かいますよ。

モーターフォグで噴霧する葉面散布剤について

セイコーエコロジア 小島
モーターフォグを使って何を噴霧していますか。

吉永さん
ソフトシリカ社の「リフレッシュ」の上澄み液をベースにして、ファイトクローム社の「マリンインパクト」や「ファイト・オーツー」を既定より10倍濃くして使用しています。これらは所謂バイオスティミュラント資材で植物に対する環境ストレスの緩和に有効的です。他にもカルシウムや微量要素もモーターフォグで噴霧しますが、窒素成分を含んだ資材に関してはイチゴの葉が焼けることがあるので使用しません。あと、モーターフォグの粒子を漂わせる効果があるライトスター(拡散剤)も添加しています。

セイコーエコロジア 小島
噴霧頻度や噴霧量について教えてください。

吉永さん
我々のイチゴ栽培ではハウスのビニールの張替えを毎年行います。つまりモーターフォグはビニールが被覆されている時期に使用しますが、被覆期間中は週に1回、日が落ちた夕方に噴霧しています。噴霧量は反あたり4リットルで、循環扇に向けて発射しています。

セイコーエコロジア 小島
リフレッシュの上澄み液をベースに数種類の資材を使い分けて週に1回噴霧しているとのことですが、どの様に使い分けを判断しているのですか。

吉永さん
この農園の立地もそうですが、八代地域は干拓地で江戸時代以前は海だったという特殊性があり、土壌は不毛に近い土質です。干拓地における農業では地下水位との関連を考慮しなければなりませんが、大潮の時は地下水位が下がって土壌が乾燥気味になります。また、長潮や若潮の時は地下水位が高くなります。つまり、潮汐を目安に大潮の時は発根作用があるファイト・オーツー、長潮と若潮の時は根のストレス緩和作用があるマリンインパクトというように使い分けています。

セイコーエコロジア 小島
モーターフォグを使ってバイオスティミュラント資材を噴霧した結果、イチゴにどの様な変化がみられますか。

吉永さん
正直なところ、モーターフォグ噴霧の有無で比較したことがなく購入以降常に使い続けているので無くてはならない機械の位置づけですが、葉色が濃くなって果実糖度が高まっていると感じています。うどんこ病などの病害は減っていると思いますし、ハダニも少ないと感じています。

モーターフォグの部品交換と掃除について

セイコーエコロジア 小島
弊社からモーターフォグを購入していただいてから2年後にノズルの交換をしていただきました。どうしたのでしょうか。また、製品について気付くことはありますか。

吉永さん
ノズル部分の噴霧口になっているピンが取れてしまい紛失してしまいました。取れやすい設計なのでしょうか。あと、静電気を帯びることがあるので改善点だと思います。

セイコーエコロジア 小島
モーターフォグのお手入れについて教えてください。

吉永さん
2週間に1回の掃除を行っています。歯間ブラシの一番細いものを使うとちょうど良いですよ。

吉永さんの土作りに対する考え方と将来の展望

セイコーエコロジア 小島
吉永さんの農業に対する考え方やこだわりを教えてください。

吉永さん
土作りに関して特に重点を置いて取り組んでいます。
土壌の化学性ではカリウム、マグネシウム、カルシウムのイオンバランスを、またCECpHを整えることで常に改善に取り組んでいます。土壌の物理性では団粒構造形成を意識して、例えば緑肥のソルゴーを利用しています。ソルゴーはクリーニングクロップとして化学性改善にも貢献します。土壌の生物性では嫌気性菌と好気性菌の関係を意識します。我々のハウスでは栽培後に湛水して乳酸菌と酵母菌を施用します。この地域では「シロを掻く」と言っています。乳酸菌と酵母菌は嫌気性菌なのでこれらを増殖させて土壌の環境を変えます。水を抜いた後に肥料と好気性菌を施用しますが、これら土壌微生物については地元企業とタッグを組んで様々な検討を行っています。

セイコーエコロジア 小島
ただ営農をするだけではなく、企業と共同研究もされていますが何か先に見えている目標などがあるのですか。

吉永さん
結婚して子供も生まれましたが、子供達に良い土地を残してあげたいと考えています。そのために、土作りは長く農業を行うために大切なことだと考えています。この考え方は、いま農業をしている自分達にとっても時代の変化に対応できる行動だと思います。地元の農業高校で指導する機会もありますが、彼らや企業の協力も得て未来の日本の農業を良くする活動を続けていきたいです。

おわりに

本日の吉永広樹さんへのヒアリングはとても有意義で、とりわけモーターフォグを使用してリフレッシュ以外の資材を噴霧していること、その施用方法や考え方について学習できたことは大変参考になりました。地元企業と組んでイチゴ栽培において様々な検討をしており、3反の5連棟ハウスはまるで実験圃場とのこと。吉永農園さんから新たな知見が誕生する日が近いかもしれません!!
降り続く雨の中、筆者の運転するレンタカーは南へ走り、次の目的地芦北町のデコポン農家へ向かう。

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モーターフォグをフル活用!!イチゴ栽培と将来の農業を見据えて|吉永農園

コラム著者

小島 英幹

2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了後、2年間農家でイチゴ栽培を経験。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法。近年はアーバスキュラー菌根菌を利用した野菜栽培の実践を始める。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。

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