現地レポート
東京都の生産農家におけるオルガミンの野菜への効果と影響
公開日2021.06.21
更新日2021.06.21

東京都の生産農家におけるオルガミンの野菜への効果と影響

「天然アミノ酸入り複合肥料:オルガミン」は主にブドウやモモなどの果樹農家様に大変なご好評をいただいており、新規ユーザー様とリピーター様も年々増加しています。オルガミンを葉面散布することで、生育促進・糖度向上・良好な樹勢など様々な有効効果を得ることが期待できます。オルガミンに豊富に含まれている天然アミノ酸が農作物に対する有効効果をもたらしており、近年、植物とアミノ酸の関係についての研究が多く報告され注目を集めています。

はじめに

オルガミンは野菜・果樹・花卉など様々な農作物に施用できます。今回、野菜に対するオルガミンの効果を聞き取り調査するために、東京都で近郊農業をされている二件のユーザー様の農場に訪問させていただきましたので、ここに報告したいと思います。

各農家の訪問日と地域とオルガミン施用の栽培品目

  訪問日 地域 オルガミン施用の栽培品目
農家A 2021/6/4 東京都調布市 トマト(養液)
農家B 2021/6/4 東京都府中市 トマト(土耕)・ナス・キュウリ・セロリ・ブロッコリー・キャベツ

各農家のオルガミンの使用状況と使用感想

農家A様(トマト)

2021年6月4日に東京都調布市の農家に訪問させていただきました。オルガミンは養液栽培トマトにご利用いただいております。

オルガミンの使用状況と感想

オルガミンは10日毎の農薬散布の時に1000倍に希釈して使用していました。オルガミンの葉面散布によって葉色が良くなることを実感されており、オルガミンに含有しているマグネシウムが効果的に作用しているのではとのことでした。食味改善の効果を期待していましたが、良くも悪くもなく食味の変化はないとのことです。今期に関しては尻腐れ病が多かったとのことでオルガミンに含まれる窒素源としてのアミノ酸がカルシウムとの拮抗作用を示したために発生が助長されたのではと考察されておりました。或いは、今期はカリグリーンを多用したことも発生要因として挙げておられました。オルガミン施用による薬害の様な症状は認められないとのことでした。農薬散布時に希釈して使用できるため、利用し易いと好評でした。葉色が良くなるなど効果の実感はあるものの農作物に対するアミノ酸肥料の役割についてはインターネットで調べるぐらいで知っていることは少ないとのことで、今後はアミノ酸肥料の明確な薬効を理解していきたいと仰っておりました。

農家B様(トマト・ナス・キュウリ・セロリ・ブロッコリー・キャベツ)

2021年6月4日に東京都府中市の農家に訪問させていただきました。トマト(土耕)・ナス・キュウリ・セロリ・ブロッコリー・キャベツなどの多品目栽培をされています。オルガミンは栽培している殆どの農作物にご利用いただいております。

オルガミンの使用状況と使用感想

オルガミンは10日毎の農薬散布の時に1000倍に希釈して使用していました。オルガミンの葉面散布によって葉が厚くなりゴワゴワした手触りになるとのことで、この効能は散布後2~3日間続くそうです。オルガミンに食味改善の効果を期待しており、セロリに関しては消費者から「甘くなった!」と高評を頂いているとのことです。ブロッコリーとキャベツに関しては、特段の効果を実感することは現在のところは無いそうです。オルガミン施用による薬害や過剰症の様な症状は認められないとのことでした。農薬散布時に希釈して使用できるため、利用し易いと好評でした。葉が厚くなったり甘くなったりと効果の実感はあるものの農作物に対するアミノ酸肥料の役割について知っていることは少ないとのことで、今後はアミノ酸肥料の明確な薬効を理解していきたいと仰っておりました。またオルガミンを2年間続けてご利用頂いており、樹勢が良くなる効果を得ているので今後も使い続けたいとのことでした。現在は他の農作業の兼ね合いで10日に1回の葉面散布で施用しているが、もっと短い間隔で施用するとどの様な効果が現れるか興味を持っておられました。

考察

今回ご訪問させて頂いた二件のオルガミンユーザー様において、オルガミンに対する使用感想はとても好評であったと思います。特に、それぞれのユーザー様で葉色と樹勢の改善効果を得ており、これら植物の状態は生育促進や品質向上に繋がっていくと考えられます。一方で、農家A様のトマトに尻腐れ病が発生しておりオルガミン施用時期と重なってしまった状況でしたのでトマト尻腐れ病とオルガミンの関連性について考えていきたいと思います。

ここでは、二件のユーザー様を比較しながらオルガミンの影響について下表をもとに考察したいと思います。

  農家A 農家B
オルガミン施用栽培品目 トマト(養液) トマト(土耕)・ナス・キュウリ・セロリ・ブロッコリー・キャベツ
施用頻度 10日に1回 10日に1回
施用方法 薬散時に1000倍希釈 薬散時に1000倍希釈
実感できた効果 トマトの葉色が良くなった ●トマト・ナス・キュウリ・セロリの樹勢が良くなった(散布後2~3日間継続)
●セロリの甘味が増した
実感できなかった効果 トマトの食味の改善 ●トマト・ナス・キュウリの食味の改善
●ブロッコリーとキャベツへの有効効果
施用による懸念点 トマト尻腐れ病の発生要因? なし
オルガミンの利用し易さ 良い 良い

オルガミン施用頻度及び施用方法と生育及び食味への影響

農家A様、農家B様とも10日に1回の頻度で薬散時に1000倍希釈してオルガミンを施用していました。両者に確認したところボトルラベルの記載通りの施用方法を守っているとのことでした。つまり、オルガミンを正しく施用することで葉や樹の状態を良好にする効果が認められ、特にトマト・ナス・キュウリの果菜類ではその効果を得やすいことが確認できました。一方で、これら果菜類の食味への影響は両者とも実感できなかったとのことでした。一概には言えませんが、樹勢が良くなったセロリに関しては甘味が増していることから、樹勢が良く葉色が改善されている果菜類でもオルガミンを施用し続けることで食味への良い影響を期待できると考えられます。

オルガミンとトマト尻腐れ病の関連性について

農家A様のトマトに尻腐れ病が発生してしまいました。トマト尻腐れ病はカルシウム欠乏によって発生が促されます。カルシウムが欠乏すると頂芽の生育が抑制されるためトマトの場合は果実にその症状が尻腐れ病として現れます。カルシウムはカリウムと拮抗作用があり、カリウムが過剰になるとカルシウムの吸収が阻害されます。今回農家A様では例年と比較してカリグリーンの使用頻度が高かったと伺っており、カリウム過剰がトマト尻腐れ病に影響したことが推察できます。

また、ハクサイやセロリなどの芯腐れ病の例をみると、アンモニア態窒素が過剰になるとカルシウムとの拮抗作用でカルシウムの吸収が抑制されます。これはカルシウムが植物体内において難移動性であるため、カルシウムが欠乏すると頂芽に影響しやすいことが原因となります。オルガミンにはアンモニア態窒素を含む窒素栄養が殆ど含まれていません。一般的に植物はアミノ酸を窒素源として吸収しますが、「アミノ酸=アンモニア態窒素」ではなく、土壌微生物がアミノ酸を分解するとアンモニア態窒素に変化していきます。今回は葉面散布によってオルガミンをトマト株に施用しているため、直接トマト株にアミノ酸を施用しているかたちになります。つまり、オルガミンが含有しているアミノ酸は土壌微生物によってアンモニア態窒素に分解される前段階になるので、オルガミンがトマト尻腐れ病を誘発したことは考えにくいことが推察できます。

オルガミンを使用した感想

農家A様、農家B様ともオルガミンの利用し易さに好評を頂きました。特に、農薬に希釈できることから余計な手間を増やさないで済むことに評価を頂いております。オルガミンの臭いが強烈なことを特徴的に挙げられましたが、魚の発酵資材であることから臭いへの理解を得られています。両者から、オルガミンに含まれるアミノ酸の情報をもっと提供してほしいとのご要望を頂いております。植物が窒素源としてアミノ酸を吸収していることが近年の研究で解ってきました。この様な研究成果やオルガミンユーザー様への聞き取り調査によって、アミノ酸の情報提供を進められればと考えております。

これらの考察をもとにオルガミンの効果について以下の様にまとめたいと思います。

  1. オルガミンの葉面散布でトマト・ナス・キュウリで葉色や樹勢改善の効果が得られる
  2. オルガミンの葉面散布でセロリの甘味が増す
  3. トマト尻腐れ病発生とオルガミンの関連性は殆ど無いと推察できる
  4. オルガミンは農薬に混用できるためとても利用し易い

天然アミノ酸入り複合肥料:オルガミンとは

オルガミンは天然アミノ酸葉面散布肥料(液体肥料)です。最近話題のバイオスティミュラント資材にも登録されています。魚をまるごと糖蜜と一緒に発酵させて作っています。化学処理をせずに天然発酵によって分解された約18種類のアミノ酸が含まれた液肥です。さらに植物が必要とする微量要素も加えられています。窒素・リン・カリがほとんど含まれていないため、作物の生育ステージを問わず安心して使用することができます。1,000倍に希釈し農薬と混合で葉面散布剤として利用できます。天然のアミノ酸は植物への吸収が早く、速効性が高いと考えられています。低温・高温・霜・乾燥・日照不足・長雨・病害虫などの障害が発生した際の回復促進や、作物の抵抗力の増加の効果が見込めます。有機JAS資材登録に登録されていますので有機栽培でも使用することができます。

まとめ

今回は「天然アミノ酸入り複合肥料オルガミン」について現地レポートさせて頂きました。農作物の生育は天候や生育環境でも変化してきますが、オルガミンのご購入を考えている方は是非このレポートを参考にしていただければと思います。

東京都の生産農家におけるオルガミンの野菜への効果と影響

コラム著者

小島 英幹

2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了後、2年間農家でイチゴ栽培を経験。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌を利用した野菜栽培の研究に着手する。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。

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