導入事例
処分に困っていた籾殻を燻炭化して土壌改良資材へ|有限会社アグリカルチャー
公開日2022.04.21
更新日2022.04.21

処分に困っていた籾殻を燻炭化して土壌改良資材へ|有限会社アグリカルチャー

長野県小諸市で水稲、レタス、キャベツ、ブロッコリーを栽培されている有限会社アグリカルチャーさん。2021年10月に籾殻連続燻炭化装置「スミちゃん」A-A-2型を導入していただきました。今回は購入から4カ月経った3月中旬に訪問し、スミちゃんの感想を山口社長にインタビューさせていただきましたのでここに報告致します。

導入企業の基本情報

企業名   :有限会社アグリカルチャー 様
製品使用場所:〒386-0603 長野県小県郡長和町古町994-5
製品購入年月:2021年10月
型式    :スミちゃんA-A-2型
農地面積  :【水稲】30町歩(300,000㎡)
作物    :水稲・レタス・キャベツ・ブロッコリー
対象課題  :生の籾殻の処分

スミちゃんを選んだ決め手|燃料要らず、お手頃価格

セイコーエコロジア満岡:様々なメーカーから燻炭製造装置が販売されていると思いますが、スミちゃんを選んだ決め手は何だったのでしょうか。

山口社長:まずスミちゃんの稼働に重油などの燃料を使わないというところに魅力を感じました。あと100万円弱という手頃な値段と弊社の籾殻の規模感からも手を出しやすい装置だと思いました。例えば最初から300万円の装置を買ってしまい、後からダメだったと気づいたら元も子もないですからね・・・。

セイコーエコロジア満岡:そもそも農家さんの間で籾殻燻炭が人気の理由は何なのでしょうか?

山口社長:籾殻燻炭は処分に困る生の籾殻を有効活用できる点、かつ籾殻燻炭にすることで土壌改良資材になる2つのメリットがあると思います。実はスミちゃんを購入する前は生の籾殻をダンプカーを借りて60~70万円かけて処分していました。処分先は畜産農家ですが、昔と比べて周りに畜産農家もいなくなってきて困っていたところです。スミちゃんを購入してからはお金を出して籾殻を処分しなくて済むようになりました。

籾殻燻炭の使い道|育苗培土に使用して経費節約

セイコーエコロジア満岡:スミちゃんで作製した籾殻燻炭の使い道を教えていただけますか?

山口社長:育苗の土に混ぜて使用しています。市販の土の半分くらいに混ぜれば培土にかかる経費の節約になりますね。圃場に撒けば石灰の代わりにもなります。

セイコーエコロジア満岡:経費が節約できて石灰の代わりにもなるなんて、籾殻燻炭は土壌改良資材としてこの上申し分ないですね。

スミちゃんの稼働について|繁忙期を避けて農閑期に

セイコーエコロジア満岡:スミちゃんはいつ稼働させていますか?

山口社長:スミちゃんを稼働させる時は作業者が常駐する必要があります。その為繁忙期は稼働できません。農閑期の1~2月に稼働させています。

セイコーエコロジア満岡:スミちゃんを外に設置しているようですが理由はありますか?

山口社長:スミちゃんは高熱が出る装置ですので、屋内に設置すると部屋が暑くなってしまいます。それを避けるために外に設置しました。外に設置するために新たにコンクリートを流して床を作ったのと、雨に濡れないように屋根を作りました。そのおかげでスミちゃんを購入した際に出た国の補助金が飛んでしまいましたが・・・笑。

スミちゃんを使用した感想|良い装置ですが改善点もあるようです

セイコーエコロジア満岡:スミちゃんの改善点など気づいたことはありますか?

山口社長:非常に良い装置なのですが、稼働し始めるとホッパー部分に投入した生の籾殻が15分前後という短時間で燻炭化しますので、15分ごとにホッパーに籾殻を供給しないといけないという手間が発生します。そのため、装置を動かす時は作業者が常駐する必要があります。今後は連続して自動的に供給できるような仕組みを考える必要があることが課題ですね。

まとめ

今回は有限会社アグリカルチャー山口社長にインタビューさせていただきました。山口社長はとても話しやすいお人柄で農業に対する情熱をお持ちの方でした。ぜひ今後もスミちゃんをご愛用いただき籾殻燻炭作成の一助となりましたら幸いです。

>>>訪問時に撮影させていただいた動画もぜひご覧ください

籾殻連続燻炭化装置スミちゃん

 

1.商品特徴

スミちゃんは籾殻を連続で燻炭化することができる装置です。お米の脱穀によって生じた籾殻を450℃~550℃程度のやや高温で燃焼して燻炭化させます。10時間稼働させることで生の籾殻約2,500L~3,500Lから約800~1,000Lの籾殻燻炭を生産することができます(A-A型の場合)。できた籾殻燻炭は露地栽培やハウス栽培の土壌環境を改善したり、畜産におけるニオイや虫の発生を抑止したりする資材として活用できます。スミちゃんで出来た籾殻燻炭を販売している方もいらっしゃいます。

2.スミちゃんがおすすめの理由は?

良質な籾殻炭ができる

通常、籾殻を燻炭にする場合、燻製時に臭いが強くなったり煙が多く出たりします。そして籾殻の形のまま燻炭になりますが、タール分という油分が多く残ってしまいます。タール分が多いと農作物の生育に悪影響を及ぼすといわれています。ドラム缶やスチール製の燻炭器などで作る籾殻燻炭は、籾殻を400℃以下の低温で長時間かけてじっくりと燻して炭化させますが、スミちゃんの場合はやや高温の450~550℃程度で燃焼させ籾殻炭として取り出しますのでタール分もほとんどない良質な籾殻炭ができます。

手間をかけずに短い時間で安全に炭化できる

スミちゃんは連続して自動で焼成できるため「籾殻を混ぜ返す」「水をかけて冷やす」「熱が冷めるのを待つ」といった手間がかかりません。燃焼部から排出された籾殻炭は、冷却スクリューコンベア(オプション)で冷やされて完成しますので、安全性も高く安心してお使いいただけます。

野焼きは原則禁止

廃棄物(籾殻)の野外での焼却については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃棄物処理法で原則禁止とされていますが、全国各地で籾殻を野焼きした際に発生する煙と臭いによる苦情や消防への通報が後を絶ちません。スミちゃんであれば稼働音が静かで、燃焼部の特殊な構造により煙と臭いがほとんど出ないため、近隣に住宅があっても気にせず運転ができ、火災の心配もありません。安心して籾殻燻炭を生産することができます。

処分に困っていた籾殻を燻炭化して土壌改良資材へ|有限会社アグリカルチャー

コラム著者

満岡 雄

2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。

 

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