導入企業の基本情報
企業名: 篠宮ファーム 様
従業員数: 1人
収量:6t(1,200㎡)
農地面積(いちご):1,200㎡
製品購入年月|種類:
・2020年6月|オルガミン5L
・2021年1月|オルガミン10L
・2021年9月|オルガミン10L
・2022年2月|オルガミン10L
製品使用場所: 〒203-0023 東京都東久留米市南沢1-6
作物:いちご、メロン、ぶどう、マンゴー、トウモロコシ等
主な出荷先:JA東京みらい
対象課題: 収量アップ
SNS:Instagram
インタビュイーの基本情報
セイコーエコロジア満岡:篠宮さんがいちご栽培を始めた時期はいつですか?
篠宮さん:いちご栽培は30代後半から始めて今年で20年目になります。最初の1年目は何もわかっていなかったため、まずは苗を購入して栽培を始めました。2年目からは苗づくりからチャレンジしましたが、つくった苗の半分を炭疽病にする大失敗をしてしまいました。
セイコーエコロジア満岡:失敗を経験された後はどのように立て直したのですか?
篠宮さん:「これはしっかりと勉強しないと」と思っていた矢先に農業新聞で「本日より益子いちご団地開催」という記事が目にとまったことがきっかけで栃木県益子町に向かいました。いちご団地のハウスでいちご狩りをしながらハウスをくまなく見学させてもらったところ、一つのきらきらと管理の行き届いたハウスに目がとまります。そのハウスにいたおばちゃんに「東京でいちごをつくりたいので苗づくりを教えてください」と相談したところ「東京でいちごなんかを作る必要はないよ。大変だからやめなさい」と門前払いを受けてしまいます。
セイコーエコロジア満岡:なかなか厳しいですね・・・。
篠宮さん:はい。でもこのまま帰るのももったいないと思い、益子町の直売所に一人で座っていたところ、たまたま通りかかったおじちゃんが「いちご狩りはもう終わりだよ」と話しかけてきたので、今までの経緯を話すと「ちゃんと消毒したか?」と言われピンときました。消毒の量が全然足りていなかったということですね・・・。そのおじちゃんに「毎回必ず通うのでいちごの栽培を教えてください」とお願いすると「ちゃんと来れるのか?お前」と言われたので「行きます!!」と伝えました。そんな話をしてた時、向こうからおばちゃんが歩いてきました。「あれ?さっき見たおばちゃんと似ているな」と思ったら「お父さんもう帰ろう」と・・・。やはり先ほどハウスで話しかけたおばちゃんでした。おばちゃんからは「アンタまだいたの」と言われ・・・(笑)。そうこうしているうちにおじちゃんがが「もっと話し聞くからうち来なよ・・・」と言ってくれて。本当に良い人に巡り合ったなと思いました。その時から益子町に通う日々がスタートしました。高速で向かうとお金がかかるので、下道を使って通ってましたね。この生産者さんとはかれこれ18年間くらいお付き合いがありました。
セイコーエコロジア満岡:実際に栃木県益子町でいちご研修をして良かった点を教えていただけますか?
篠宮さん:やっぱり得られる情報量の多さだと思います。もちろん東京にも普及センターなどがあるので情報源は得られます。ただし、宿題を提出して答えが返ってくるまでに1週間くらいかかってしまうこともありますね・・・。だったら栃木県といういちごの大産地で直接学んだ方が大量の情報を得られると思います。実際に生産者さんから栃木県のいちご講習会の分厚いパンフレットをいただけることもありました(笑)。
実は今、いちご栽培を志す東京の若い就農希望者が当農園に研修で来ています。彼らには栃木県に行かなくとも私のノウハウや技術をどんどん教えてあげています。苗づくりから1から10までしっかりと全てですね。本当のいちご農家になってもらいたい。それが自分の役目だと思っています。私は彼らに「最初は土耕栽培をやりなさい」と伝えています。土耕栽培を3年間くらいやってある程度栽培方法が分かった段階で高設栽培に切り替えるかを判断しなさいと。なぜならば高設栽培は設備費が高く、一度始めるとやめることが困難になるからです。土耕栽培であれば途中でもやめることができます。だからまずは土耕栽培を勧めています。今、少しずつですが当農園を起点として西側にいちご農家が増えてきています。なんとか私がいちご栽培に携わっている間は少しでもいちご農家を増やしたいと思っています。
いちご栽培に対するこだわり
セイコーエコロジア満岡:篠宮さんがいちご栽培をする上でこだわっていることを教えてください。
葉面散布剤の利用に関して
篠宮さん:いちごは10の仕事があるとすると、そのうち収穫は10分の1程度しかありません。大部分を占める10分の9は苗に関していかに手間をかけるかが大切です。従って今、株が元気に見えるのは、葉面散布剤(オルガミン)を使ったからこうなったわけではありません。あくまでもしっかりと手入れをしてきた結果が現れていると思ってください。特にダニなどの害虫やうどんこ病が出ないようにするには葉かきの作業が重要です。この作業にプラスアルファでオルガミンを葉面散布することでさらに良くなります。当たり前ですが、管理がしっかり出来ていないのに葉面散布しても良くはなりませんよね。
これは今までの経験上で分かったことですが、実や花がまだついていない状態でオルガミンを含めた葉面散布剤を散布すると、目で見てわかるほど株が「ピーン」と立ちます。ただし実がついてしまうと実の方に栄養をどんどん送るため、葉面散布をしても葉面散布剤が効いているのか効いてないのか分からない状況になりますね。でも実際には効いていることが確信できています。多くの農家は実際には効いているのに気づいていないということだと思います。従って一つの葉面散布剤を使う場合、最低でもまずは3年間継続して使用して評価することをおすすめします。
消毒(薬液散布)に関して
篠宮さん:いちご栽培で最も重要なのは育苗の時も苗づくりの時もそうですが、消毒する際の薬液の量だと思っています。普通のいちご栽培では消毒の際に一方向からしか散布しないかと思いますが、私は逆側からも散布します。株を積み木倒しのようにし360°方向から薬液がしっかりとかかるようにしますし、土の中にも少しは染み込むようにしています。栽培面積は1,200㎡ありますが、最大で500Lの薬液を使用しています。なぜここまでの量を散布するかというと、短期間で病気や害虫が発生し、再び薬液散布するという“労力の追加”をしたくないからです。定植初期は300Lから始め、葉が繁茂し花が咲いてくるとアザミウマの発生の懸念があるので次第に散布量を多くしていきます。通路を歩いて散布する際に歩くスピードを遅くすることで散布量を増やすことができます。農薬散布は非常に労力がかかる仕事です。そのため、一回の消毒でいかに効果を出すかが非常に重要です。これだけしっかり薬液散布しても部分的に害虫が発生することもありますが、その際はその部分だけに気門封鎖剤をかけて対応しています。結論、4月の中旬まではこの管理で病害虫対策ができています。
栽培システムに関して
篠宮さん:当農園では高設栽培を行っています。温騰管システムが組み込まれており、地温が15℃を下回ると作動します。栃木県などの産地では3番花を少しでも早く出すために電照を行って葉の展開を早めていますが、樹が伸びてしまうという欠点があります。そうすると後々消毒が大変になってきますよね。温騰管システムであれば電照を行う必要がなくなることが利点であると感じています。温騰管システムの場合、花芽が連続して出るので株が疲れやすくなります。その状況でオルガミンを使用することで株疲れを改善し収量アップが期待できるわけです。
いちごの収量に関して
篠宮さん:当農園ではいちごは一株あたり3パックとれますので、定植している6,000株で掛けると6トンくらいの収量が採れています。2番花と3番花の間が空くことがないのでこれくらい収量を上げることができています。
いちごの品質に関して
篠宮さん:当農園のいちごは、形の良い大粒の実ができることが特徴です。イチゴの産地は輸送の問題があるため少し白い状態で出荷する(完熟で出荷することができない)のですが、うちでは完熟の状態で出荷できるので甘くて美味しいことが強みです。
導入の背景
セイコーエコロジア満岡:なぜオルガミンを導入しようと思ったのですか?
篠宮さん:たまたまYouTubeやインターネット検索をしていたらオルガミンという名前の液体肥料を推奨している生産者さんがいまして、その生産者さんは「オルガミンはニオイがけっこう臭いんですよね」と話していたことが印象に残ったんですね。そこで臭いのには理由があるのだろうと思い調べたら魚が原料の液肥であることが分かりました。以前から魚を農業に利用することは気になっており、九州のミカン農家で海のものである海藻粉末を使っている例も知っていたことから、海のものは作物に良いのではと思ったのがきっかけでセイコーエコロジアに問い合わせをしました。
活用方法
セイコーエコロジア満岡:オルガミンの使用方法を教えていただけますか?
篠宮さん:最初は葉面散布のみで使用していました。しかしいちごは玉が連続で出ると相当な体力を消耗するため株疲れを起こしてしまいますので、現在は葉面散布だけじゃなく通常使用している液肥以外にオルガミンを1,500倍で灌注しています。また今は全ての薬剤散布時にオルガミンを1,000倍で混用しています。上(葉)と下(根)からのダブルで使用することで効果のアップを狙っていますね。
導入の効果
セイコーエコロジア満岡:オルガミンの良い点を教えていただけますか?
篠宮さん:1年以上の期間、イチゴの栽培に使ってきたので一定の効果を感じています。そして今年に関しては寒くて重油代がかさんでいるのですが、収量が途切れることなくきているので助かっています。特にいちごの葉っぱは実をつけると養分をとられてしまうため、どんどん小さくなっていきます。しかし毎日葉に触れているので分かるのですが、葉が小さくなっていません。また樹の立ち方が違ってVの字になります。そして葉肉が厚く硬くなります。葉の硬さは10日前後持続すると感じます。先ほど、株を積み木倒しのようにし360°方向から薬液がしっかりとかかるように消毒すると話しましたが、オルガミンを使用すると株を倒した時の反動の圧力が腕に伝わってくるので葉肉が厚くなっていることがよく分かります。これらの効果はオルガミンを使用する前と比較しても明らかな違いがあると感じています。もちろんこれらの効果は全てがオルガミンの力ではなく毎日の管理に手間をかけていることだと思っています。なお糖度に関しては上がったとは言い切れません。
そしてオルガミンは窒素・リン酸・カリがほとんど含まれていないので、通常の肥培管理にプラスアルファしやすい為、とても使いやすい液肥だと思います。トマトなどのビニールハウス内で栽培する野菜にも適していると思いますね。
セイコーエコロジア満岡:オルガミンの良くない点を教えていただけますか?
値段が少し高いなと感じています。ただし一方で高いだけの理由があるとも思っています。もっと有効に手軽に使えたら良いなという気持ちはあります。だからもう少し単価を下げてくれるとたくさん使えるなとは思います・・・(笑)。
導入を検討されている方へ
セイコーエコロジア満岡:オルガミンの導入を検討している方へのメッセージをお願いします。
篠宮さん:何度もお伝えしている通り、日頃の管理をしっかりやった上でオルガミンを使用することが大前提だと思ってください。また実がつかない時期にオルガミンを使用すると効果が分かりますが、実がつくと効果があらわれてないように感じるので注意が必要です。私はこれからも3年間使用し続けて効果をしっかり確かめたいと思っています。3年後にまわりのいちご仲間やぶどう仲間にこういった良い資材を使っているんだとPRしたいですね。
コラム著者
満岡 雄
2012年に玉川大学農学部生物資源学科を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは食べること、植物栽培、アコースティックギター。Xを更新していますのでぜひご覧ください。