「大体いつもこんな空ですよ」
橘通りから車を走らせて高速を30分も進めば見慣れたDairyの工場が目に留まる。６年前にはまだ無かった道の駅都城NiQLLで休憩をしてから坂之下一樹さんのイチゴ農園に向かった。霧島連山を正面に車を走らせる。右折して10分もすれば遠目に連棟ハウスが数棟見えてきた。Google MAPで指定されたハウスの前には横浜ナンバーの車が停車していて、「Uターンか新規就農かな」と、鳩サブレを手土産に持ってきた筆者はふっと思った。
坂之下農園について
インタビューイー：坂之下一樹さん
場所 ：宮崎県都城市
農園人数 ：４人
就農歴 ：８年目
栽培品目 ：さがほのか
農場面積 ：29a 株数17,000本
主な出荷先：JA宮崎（広島市、神戸市、都城市に出荷）
【キンコンバッキー購入歴】
2024年８月 ５袋
セイコーエコロジア 小島
坂之下さんとイチゴ農園について教えてください。
坂之下さん
以前は都内の鉄道会社に勤めていて整備部門に所属していました。作業服を着た二人組が先頭車両で何やら外を見てチェックしている光景を見たことあるかもしれませんがあの仕事です。いつかは地元に戻って父が営農するイチゴ農園を継ぎたいと考えていましたがそれが意外と早まって、８年前から両親と妻と一緒に農業をしています。
セイコーエコロジア 小島
お父様はイチゴ栽培が長いのですか。
坂之下さん
そうですね。いまは後任に譲りましたがイチゴ部会長を歴任しており、現在でも都城地域で最も栽培面積が広く、反収も上位の農園です。10年ほど前から父を含めて部会で動いていたと言っていたかな。いまでは都城のイチゴは高品質と評判をもらっています。例えば他の部会はＡ品でも都城の部会ではＢになってしまうほど規格基準が厳しいです。そのため見掛けの反収が低くなってしまいますが市場での信頼がとても高く良い相場で買い取ってもらえる仕組みを構築したと聞いています。
セイコーエコロジア 小島
栃木県や茨城県などと比較すると栽培面積が小さいかなと思いましたが単価で差別化ができているのですね!
キンコンバッキーの使用方法と効果
セイコーエコロジア 小島
キンコンバッキーを選んだ理由を教えてください。
坂之下さん
私は「準備８割・本番２割」と考えてイチゴ栽培に取り組んでいるため、育苗期間を準備期間とするならばこの時にアクションを起こして第三果房以降に収量が上がる対策をしたいと思っていました。キンコンバッキーは水に希釈できる資材のためイチゴの育苗期間中に組み込む作業としては使い勝手が良くとても便利です。アーバスキュラー菌根菌の効果で10％でも収量が上がればと思いキンコンバッキーを選びました。
セイコーエコロジア 小島
キンコンバッキーの使用時期と使用方法について教えてください。
坂之下さん
ハウスに隣接して高設苗床を設けていますが、お盆頃の育苗中期に８月15-16日にキンコンバッキーを使用しました。目安どおりの2000倍希釈にし、手灌水で株あたり大体50-100mlになるようにしました。定植日は９月23-27日だったので、アーバスキュラー菌根菌の根への共生期間に１か月位かかるとのことでしたから、しっかり共生できた株を定植できたと思っています。
セイコーエコロジア 小島
化学農薬の使用制限についてもご配慮いただいたので問題なく共生できていると思います。
坂之下さん
そうですね。キンコンバッキーは一部の化学農薬と相性が悪く、一定期間の化学農薬使用制限があるとのことでしたから、小島さんにはしっかり確認をさせてもらって指導通りに管理できたと思います。
セイコーエコロジア 小島
まだ栽培期間中なので効果の実感は小さいかもしれませんが何か感じることはありますか。
坂之下さん
収穫も始まったばかりなので収量の違いはまだわかりませんが、今年は芽が分かれるのが早いです。分げつの揃いも良好で、この様な現象は今までになかったと思います。芽が分かれると収量も上がるので、まだキンコンバッキーの効果と断言はできませんが、植物に対するリン酸の主な働きに分げつがあるので期待はしています。
近年のイチゴ栽培の状況
セイコーエコロジア 小島
坂之下さんの農園では近年のイチゴ栽培について何か気づくことはありますか。
坂之下さん
天候不順というか…暑すぎですよね。昨期（2024年度）は10-11月が暑すぎて花芽分化が遅く、暑いから開花は早いし実も膨らまない。今年は分げつは早いですが花数が５-６花で例年の半数位です。花数が少ないのは部会全体でも傾向が見られるので心配しています。
セイコーエコロジア 小島
弊社取り扱いのモーターフォグや根活（ナノバブル水資材）も使っていただき色々なチャレンジをして乗り越えていこうという意思を感じます。
坂之下さん
モーターフォグも根活も調子がいいですよ。根活は20Lタンクのパッケージ版ですが将来的に余裕がでてきたら製造装置の導入も考えています。
実はずっと前になりますが菌根菌も使っていたことがあります。８年位前だったかな、父が部会長だった頃にイタリア人がまだ商品にもなっていない菌根菌資材を試してほしいというので数年間使っていました。効果はよくわかりませんでしたね。
セイコーエコロジア 小島
キンコンバッキーではそうならないように準備と管理していただいたので期待してください!
【モーターフォグの導入事例はこちら】
モーターフォグをフル活用!!イチゴ栽培と将来の農業を見据えて｜吉永農園
【根活・ナノバブル水製造装置の導入事例はこちら】
チップバーンが1/3程度まで減りました！ナノバブル水製造装置の効果を実感｜鎌田充貴さん
キンコンバッキーを検討している方へのアドバイス
セイコーエコロジア 小島
キンコンバッキーを使うことに迷っている方にアドバイスをください。
坂之下さん
キンコンバッキーは水に希釈できるのでイチゴの育苗期に使用するには利便性が高いことは先程の通りです。あとは、１回の使用で処理が完了できるのはプラスポイントです。効果を出すために何度も処理しなければならない資材が世の中には沢山ありますが、イチゴ農家は春に近づくほど作業的に時間がとれなくなるので１回だけの処理は助かります。化学農薬の使用制限もありますが１か月間我慢すればその制限も無くなるし、相性が悪くない化学農薬は普通に使用できるので大きな問題にはなりません。
おわりに
ヒアリングが終わり、ハウスの中が暑かったので外に出ると２時間前と変わらない雲一つない快晴。「今日は天気が良いですね」と筆者、「大体いつもこんな空ですよ」。後でネット検索すると、ご当地キャラのみやざき犬の画像と一緒に宮崎県のスローガンは【日本のひなた宮崎県】であると出てきた。
坂之下さんの農園ではイチゴ栽培におけるキンコンバッキーの実践的かつ模範的な使用をしていただいていると考えています。効果を実感できるのはまだ数カ月先になると思いますが、まずは今年の作を無事に走り切ってもらいたいと願っています。
コラム著者
小島 英幹
2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了後、２年間農家でイチゴ栽培を経験。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌とバイオ炭を利用した野菜栽培の研究に着手。
検定、資格は土壌医検定２級、書道師範など。
