東北自動車道の栃木インターチェンジから程近い立地に山野井農園はあります。山野井農園で栽培する農作物はトマト。3反のハウスで「ソプラノ」を栽培する山野井好一さんはこの道40年の大ベテラン。息子の祥平さんも就農歴11年で、研究熱心にトマト栽培に取り組んでいます。山野井農園では2023年の春から「海藻のエキス」を利用したトマト栽培を実践しており、葉面積増加や糖度アップを実感しています。
今回の導入事例では山野井農園における海藻のエキスの使用方法と効果について紹介致します。
山野井農園について
農園名 :山野井農園
農園の立地:栃木県栃木市
栽培植物 :トマト(ソプラノ)
農地面積 :3反(30a)
作業人数 :4名
農業歴 :好一さん40年、祥平さん11年
主な販売先:農産直売所あぜみち、スーパー(ベイシア)、庭先販売
セイコーエコロジア 小島
山野井農園について教えてください。
好一さん
40年前からトマト栽培を行っています。稲作もしており現在は1.5町歩で、もう少し元気だった頃は6町歩までやっていました。6年ほど前だったかな、その年は例年に無いキラキラしたトマトが作れて、ハッキリした理由がわからないのですが微量要素のバランスも要因だったのかなと思っています。いまは如何にキラキラしたトマトを作れるのかを考えながら日々取り組んでいます。
祥平さん
今年は相当暑い年になっています。トマト栽培ではコナジラミが難敵で、普通ならばコナジラミは昼間に活動して悪さをします。ところが今年は早朝や夕方に活動するので防除するのも大変です。天窓にも0.3mmネットを張っていますがやっぱりどこかから入ってくるんですよ。
トマトとコナジラミに関するコラムはこちら
>>>コナジラミ類からトマトを守れ!|コナジラミによる被害と対策を紹介
海藻のエキスの購入の経緯
セイコーエコロジア 小島
海藻のエキス購入の経緯について教えてください。
好一さん
酸素と有機質があればトマトの出来は悪くならないと考えています。
酸素供給についてはセイコーエコロジアさんの「根活」を使っています。定植からの栽培期間中は15-20日に1回、灌水のときに1000倍希釈して灌水チューブで施用します。
海藻系の肥料については色々なメーカーのものが販売されていますが日本で採れた海藻は効果的という話は聞きます。でもまあ今回は外国産の「海藻のエキス」を選んでみました。
海藻のエキスの使用方法と農薬混合について
セイコーエコロジア 小島
海藻のエキスの使用方法を教えてください。
祥平さん
定植前と定植後で使い方が異なります。
定植前は10000倍希釈で葉面散布します。購入した幼苗を籾殻燻炭を混和した培土に移植して、定植までの18日間の間に2回散布しました。2aの苗場に対して35Lの散布です。ここで注意することは暑いときは散布を控えることです。農薬と混合するときは葉に障害が出てしまうので特に注意したほうがいいですね。
定植後は4000-5000倍に希釈して農薬と混合して散布します。2週間に1回の散布を収穫終期まで行いました。
セイコーエコロジア 小島
混合する農薬はどのようなものですか。
祥平さん
ダコニール2000、アディオン乳剤、スミチオン乳剤、マラソン乳剤、アニキ乳剤、コテツフロアブルなどと混合しています。
海藻のエキスの効果と持続性について
セイコーエコロジア 小島
海藻のエキスの効果はどのようなものですか。
祥平さん
葉に対しては大きくなる効果が見られました。それが要因なのかトマトの甘みも強くなってコクと深みもアップしたと感じています。
セイコーエコロジア 小島
海藻のエキスを散布して効果が現れるまでの時間と効果の持続性について教えてください。
好一さん
ちょっと変わってきたかなあと感じるのが散布後10日目、はっきりと効果を感じるのが散布後14日目です。そこから効果が切れたなと感じるのが7-10日間後くらいです。やっぱり果実に養分がいってるので、その果実を収穫すると効果もそこで切れる感覚があります。
おわりに
今回は山野井農園のトマトにおいて主に海藻のエキスの使用方法や効果についてヒアリングさせていただきました。
酸素と有機質をキーワードに、セイコーエコロジアの「根活」と「海藻のエキス」を利用して効果を感じていただき、散布頻度や農薬混合についてもレクチャーをしていただいて大変参考になるレポートを読者さまに届けることができました。
ベストシーズンのイチョウ並木に目を奪われながら筆者は次の目的地の福島県へ車を走らす。
トマトに関するコラムはこちら
>>>トマトの育苗ポイント|健康で丈夫な苗を作るコツを解説
コラム著者
小島 英幹
2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了後、2年間農家でイチゴ栽培を経験。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌を利用した野菜栽培の研究に着手する。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。