導入事例
キンコンバッキー粉衣処理でラッキョウの大玉率が7%アップ!!調査結果で解る菌根菌による生育と収量の改善効果|中村農園
公開日2025.02.05
更新日2025.02.05

キンコンバッキー粉衣処理でラッキョウの大玉率が7%アップ!!調査結果で解る菌根菌による生育と収量の改善効果|中村農園

2024年12月12日、川内川の支流の高城川を渡ると不意に霧が晴れる。
肥薩おれんじ鉄道の踏切を越えて民家と畑の間を通り過ぎ、国有林のトンネルを抜けると朝の清々しい砂丘地が広がった。静かだ。空気が澄んでいるから朝日も眩しい。キンコンバッキーのことを忘れる。
2つ年上の中村さんは私の兄貴的存在だ。昨晩もお勧めの創作レストラン「フレンチバルナカムラ」で話に花を咲かせた。地元の大学を出てから関西で就職、Uターンで家業のラッキョウ農家を継いだその思いはとても熱い。だから私も興味を持って関わることができる。

中村農園について

代表   :中村一郎
場所   :鹿児島県薩摩川内市
就農歴  :10年
栽培品目 :ラッキョウ(品種:らくだ)
ブランド名:唐浜砂丘地らっきょう
農場面積 :7ha
主な出荷先:JA北さつま

【キンコンバッキー購入歴】
2023年9月 1袋
2024年9月 10袋

中村農園のホームページはここをクリック

TBSの情報テレビ番組に出演しました 2024.5/17放送(番組instagram)

 

中村さん
砂丘地で栽培するラッキョウは特に白くて歯ごたえもシャキッとしていることが大きな特徴です。薩摩川内市の農産物の主要品目として自信を持って栽培しています。

セイコーエコロジア 小島
会社にラッキョウをたくさん送っていただきました。メンバーも喜んで持って帰って、美味しかった!!と言っていました。私は酢漬けにしてかなり大事に少しずつ食べています。今年の作が楽しみです。

中村さん
現在、唐浜地区ではおよそ50軒のラッキョウ農家がありますが、若手の定着が進まず少しずつ栽培面積が減少しています。

セイコーエコロジア 小島
定着できない理由は何ですか。

中村さん
切子さんが確保できないのです。要するに人手不足なのですが、ラッキョウは収穫後の調整作業がとても大変です。小玉は切子作業も効率が悪いため極力少ない方が作業者のモチベーションが向上します。これを解決するための方法の一つがラッキョウのサイズを中玉~大玉にして玉揃いを改善することです。玉の揃いが良くなれば、私は切子作業が機械化できると考えています。

中村農園の唐浜砂丘地らっきょうPR動画で調整作業の一部が視聴できます。
>>>PR動画(YouTube)を視聴したい方はここをクリック

2024年度の調査結果

セイコーエコロジア 小島
中村農園さんはキンコンバッキー発売直後のお客様です。弊社の依頼に応えていただき様々な調査にご協力いただきました。

中村さん
最初は籾殻燻炭製造機のスミちゃんで問い合わせをしましたね。以前、籾殻燻炭を砂丘地に鋤き込んだらラッキョウの生育が大きく改善しました。籾殻燻炭は昔ながらの方法で作成すると時間がかかるので効率化したいと考えていたことが問い合わせのキッカケです。その時に対応してもらった小島さんがアーバスキュラー菌根菌の話を持ち出して理由付けをしてくれたことに納得がいき、いまはキンコンバッキーを導入しています。

セイコーエコロジア 小島
炭の多孔構造はアーバスキュラー菌根菌の住処になると言われています。ラッキョウの生育改善については実際には様々な要因があったと思いますが、仮にアーバスキュラー菌根菌の働きで生育が改善したならばキンコンバッキーを使用する手段もあると考えました。営業的にはスミちゃんを勧めた方が良いのですが新商品のキンコンバッキーを提案させていただきました(笑)

中村さん
大学で調査もしていただいて、結果に合理性が得られたことも非常に良かったです。

セイコーエコロジア 小島
今回はA圃場とB圃場の2か所で生育期間中の12月に調査を行いました。キンコンバッキーの使用から約70日目です。A圃場は例年調子が良い畑、B圃場は例年イマイチな畑とのことでした。根を顕微鏡で観察するとA圃場は無処理区と比較して処理区はそれほど違いがありませんでした。一方、B圃場は無処理区よりも処理区の方が共生率が高くなり生育も良好という結果が得られました。A圃場は優良な土着菌根菌が多い傾向がありそうです。B圃場は優良な土着菌根菌が少なく、キンコンバッキーの使用によって生育が改善したと思います

中村さん
収穫後の収量調査でも玉が大きくなる結果が得られましたね。

セイコーエコロジア 小島
中村さんに協力していただき、ランダムに3kgのラッキョウを計量して大玉(L)中玉(M)小玉(S)に選別し個数を計測しました。その後、別のラッキョウからまた3kgを計量してLMSに選別する。この試行をB圃場の無処理区と処理区でそれぞれ6回行い、「Lが7%増加してMが8%減少する」という結果が得られました。

2024年度調査の詳細はここをクリック

2025年度の進捗状況

セイコーエコロジア 小島
2025年度はキンコンバッキーの使用面積を増やしていただきました。調子は如何でしょうか。

中村さん
7haと栽培面積が大きいので、前半に植え付けた畑と後半に植え付けた畑では3週間くらいの差が出てしまいます。2024年9-11月は高温が続いたので影響を受けていますが、それでもキンコンバッキーを処理した圃場は頑張っていると感じています。
この地域の砂丘地ラッキョウは9~10月に植え付けをして、出荷用は5~6月に、種用は7月に収穫を行います。出荷用は大玉(L)が、種用は中玉(M)が都合の良いサイズです。

セイコーエコロジア 小島
出荷用と種用で求められるサイズが異なるのは何故ですか。

中村さん
出荷用は大玉(L)の方が高値で取引できます。種用は分球しない中玉(M)が適しています。大玉(L)だと夏場の種子消毒と種子乾燥のときに分球してしまい病原菌が侵入する可能性が高くなってしまうのです。キンコンバッキーの効果で大玉(L)と中玉(M)が増加すれば作業面も経営面もとても助かります。

セイコーエコロジア 小島
根の状態を見たいのですが掘り取ることはできますか。

中村さん
大丈夫ですよ、掘ってみましょう。
今年の無処理区と処理区は生育期間に3週間の差があります。処理区の方が3週間遅く植え付けをしています。

セイコーエコロジア 小島
3週間の生育差があるので流石に根量と根長は無処理区の方が優勢に見えますね。でも根の雰囲気は明らかに異なります。無処理区と比較すると処理区の方が側根がびっしりと伸びています。アーバスキュラー菌根菌は植物のリン酸吸収を改善しますが、リン酸は植物の根張りに関与*しています。キンコンバッキーの効果と思われますが、今のところ根域や根量の改善が観察できます。昨年(2024年)の調査でもキンコンバッキー処理区で根量が増加する傾向は見られていましたね。
*リン酸は植物の生長、分げつ、根の伸長、開花などに関わる栄養素です。

キンコンバッキーに対する期待と粉衣処理について

中村さん
色々な調査もしていただきキンコンバッキーが砂丘地ラッキョウに効果的なこともわかってきました。上手くいけば期待する結果も今後得られると感じています。ただ一つ要望があるとすれば、キンコンバッキーの処理方法がもっと簡単になると良いと思っています。毎年本当に大変なんです…。

セイコーエコロジア 小島
中村さんのラッキョウでは「粉衣」処理を行ってもらっています。理由は、ラッキョウは直播する植物であること、植え付け直前に種ラッキョウを濡らせないことです。粉衣処理は数mmの種子で栽培面積も広大でないならばバケツや袋などの容器で十分なのですが、ラッキョウは親指くらいの大きさで、中村さんの農園は7haあるので袋では到底追いつきませんよね。
いま大面積向けのかき混ぜ機の取り扱いを検討しているので次はもっと簡単な方法が提案できると思います!

おわりに

私はセイコーエコロジアの営業マンである一方農学研究者の端くれだが、良いものは良い、ダメなものはダメだと示して行動しているつもりだ。上手いことを言って農家をその気にさせるつもりはこれっぽっちも無い(実に営業マンに不向きである)。生きるか死ぬかなんだから当然だけど、中村さんも忖度なく評価をしてくれる。
中村農園でのキンコンバッキー2年目の評価は夏頃になりそうだ。植え付けから約3か月後の12月の根の状態だけを見るに良い進捗状況だったが収穫までまだ半年間もある。良い報告ができるように、まずはトラブルなく収穫を迎えることを切に願う。

キンコンバッキー粉衣処理でラッキョウの大玉率が7%アップ!!調査結果で解る菌根菌による生育と収量の改善効果|中村農園

コラム著者

小島 英幹

2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了。その後2年間農家でイチゴ栽培を経験する。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌とバイオ炭を利用した野菜栽培の研究に着手。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。

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