当社の訪問時には水田を視察させてもらい“ふさこがね”“にじのきらめき”の生育状況を身近に感じることができました。水稲の他にも、徹底した温度管理で栽培された“ドルチェドリーム”はこれまでに食べたことがない最高のトウモロコシ。糖度が抜群に高く、これをゲットする目的で来年の再訪を心待ちにしたい甘さでした。
この導入事例記事は主に水稲に対するキンコンバッキーの使い方と効果について2025年7月9日と9月8日の現地訪問、および10月9日の電話ヒアリングを元に執筆しています。
平安山農園のプロフィール

【栽培植物】
水稲(6ha*)、トウモロコシ(1ha)、パプリカ(3aハウス) etc.
*キンコンバッキーはそのうち3.5ha
【品種】
水稲(ふさこがね、にじのきらめきetc.)
トウモロコシ(ドルチェドリーム、ゴールドラッシュ)
【購入数量】
2025年1月 2袋
2025年3月 4袋
平安山貴英さんは新進気鋭の若手農家。
新規就農で農業を目指すときも地理的メリットが高い千葉県を選び、多くのファンに指示されている高糖度トウモロコシは栽培温度を記録・データ化し積算温度から最高の状態を見極めて収穫している。水稲にキンコンバッキーを使用するときも、アーバスキュラー菌根菌の長所短所をしっかり理解しているからその結果も参考になる。
キンコンバッキーを使った菌根菌農業を実践したい方に向けて参考となるヒアリングにご協力いただきました。
水稲とキンコンバッキー(使用方法と、育苗~中干しまで)

育苗時にキンコンバッキーを処理した苗を3.5ha(ふさこがね:1.3ha、にじのきらめき:2.2ha)に田植えをしました。3/17に播種、3/26-28に菌根菌処理、4/15-23に田植えをしています。キンコンバッキーは1000倍希釈水を箱あたり500ml灌水、処理後の管理では床土が乾かないように常に灌水をする方法をとりました。現在は中干しが終わって出穂が始まった時期です。この地域は砂地のため水が溜まりにくい水田です。初期生育改善や水抜け対策でキンコンバッキーを使ってみましたが、今のところ水抜けを感じない生育をしています。株を払うように撫でてみると硬くなっている感じが判り、茎も太くなっていると思います。
*7/9の中干し期直後の写真です。
水稲とキンコンバッキー(中干し後~収穫まで)

*写真は収穫直前の“ふさこがね”です。
【ふさこがね】
<2025年9月8日当社訪問時の感想>
早生品種の“ふさこがね”は8月下旬に収穫を開始しました。キンコンバッキーを処理した面積は1.3haです。そのうち3.5反は条件が悪い水田です。この3.5反は砂地のため水が抜けやすい土質なので思うように湛水できないためアーバスキュラー菌根菌に頼って耐乾燥性の付与を期待しました。
今年の“ふさこがね”は1.3haで10.7俵/10aの収穫ができました。粒サイズも例年並みです。昨年2024年は今年よりも降水量が多く、水田条件も良いところで栽培しましたが10.2俵/10aの成績でした。肥料の種類と分量は2024年2025年とも同じです。これらを踏まえると、2025年の“ふさこがね”は上出来だったと言えるので、キンコンバッキーの有効効果が得られたと評価できると考えています。
【にじのきらめき】
<10月9日の電話ヒアリング時の感想>
昨年9月末獲りだったところ今年は9月上旬獲りに改善した上ではありますが、2024年は8俵/10aだったところ2025年は10.5俵/10aの収穫量でした。“ふさこがね”と同様にあえて条件が悪い水田で栽培した結果なので、総合的に考えてもキンコンバッキーの効果があったのではと思います。
| 品種 | 2024年(反収) | 2025年(反収) | 増収率 |
|---|---|---|---|
| ふさこがね | 10.2俵 | 10.7俵 | 5%(0.5俵)UP |
| にじのきらめき | 8.0俵 | 10.5俵 | 24%(2.5俵)UP |
トウモロコシとキンコンバッキー

育苗期の128穴ポットでの育苗時に2000倍希釈水を灌水しました。定植後の生育がとても良好で、樹も実も充実して側枝も伸びています。肌感ですが、2~3Lサイズが2024年は60%/反、今年2025年は80%弱/反の成績で、今シーズンは実が小さくてはじくことが少なかったです。
*トウモロコシは当社訪問日が収穫最終日でした。
パプリカとキンコンバッキー

一番花が咲く頃の仕上がりの購入苗(9cmポット)を使っています。定植直後に2000倍希釈水をジョウロで灌水、10Lジョウロ2回分の水量で75株分でした。通常は暑いと花が落ちてしまうのですがキンコンバッキーを処理した株は花付きが良好で実も太ります。三本仕立てをすると三本目が細くなりがちですが、今年は7月時点で良く生育しています。
レタスとキンコンバッキーの展望
就農前に研修をしていた農業生産法人ではレタスにアーバスキュラー菌根菌を使用していました。4年程前から使っているとのことで、実感している効果は「収穫が揃う」ということです。レタスに対するアーバスキュラー菌根菌の使用は良いイメージがあるので11~3月収穫のレタスで試してみたいと考えています。
おわりに

写真は収穫最終日のドルチェドリーム。お世辞抜きでめちゃめちゃ甘いトウモロコシでした。ご興味のある読者は是非ご賞味ください!!
コラム著者
小島 英幹
2012年に日本大学大学院生物資源科学研究科修士課程を修了。その後2年間農家でイチゴ栽培を経験する。
2021年に民間企業数社を経てセイコーステラに入社。コラム執筆、HP作成、農家往訪など多岐に従事。
2016年から現在まで日本大学生物資源科学部の社会人研究員としても活動し、自然環境に配慮した農業の研究に取り組む。研究分野は電解機能水農法など。近年はアーバスキュラー菌根菌とバイオ炭を利用した野菜栽培の研究に着手。
検定、資格は土壌医検定2級、書道師範など。

