施設内にある緑地の整理整頓業務に従事されている鈴木篤司さんは、2024年7月にロボット芝刈機DROP AND MOWを1台、同年9月に追加で3台を導入され、芝刈りによる効果を実感されています。今回はDROP AND MOWの使用感をヒアリングさせていただきましたのでここに詳しく記載致します(取材日:2025年6月3日)。
基本情報
企業名・個人名:MAGARIGAWA Operations 株式会社 鈴木 篤司 さん
対象植物:芝
製品ご購入年月:
2024年7月 ロボット芝刈機DROP AND MOW×1
2024年9月 同上×3
製品使用場所:
THE MAGARIGAWA CLUB
〒299-2412 千葉県南房総市富浦町大津
対象課題:施設内の芝管理
HP:https://www.magarigawa.com/jp/
SNS:Instagram
業務内容について
セイコーエコロジア 満岡(以下、満岡) 鈴木さんの日々の業務内容について教えていただけますか?
鈴木さん 私はMAGARIGAWAのゲート管理人という立場ですが、業務内容としてはお客様対応、緑地の整理整頓と清掃を行っています。主に後者がメインの業務で、4月~10月くらいまでの間、芝生やクローバーなどの刈り払いを行っています。使用する道具は「まさお」という製品名の草刈機やロボット芝刈機DROP AND MOWです。最も仕事がきつい時期は真夏です。真夏は草と芝の生育が旺盛なため、2週間は放置することができません。そのため真夏は毎日どこかしらの場所の草や芝を刈っています。その時にロボット君(DROP AND MOW)は、クラブハウスや入口(ゲート)の芝刈りとして助けてもらっていますよ。
満岡 仰る通り、夏場の作業は暑いから大変ですよね・・・
鈴木さん そうですね。真夏で雨が降った次の日に天気が良いとクローバーがもの凄く伸びてきます。芝生の中にもクローバーが伸びてくるときは手作業で抜いていますね・・・。
満岡 鈴木さんが現在の業務に携わることになった経緯を教えていただけますか?
鈴木さん 東京港区の芝に弊社のショップがあるのですが、もともとはそこでお世話になっていました。
満岡 ショップというのはディーラーのことですか?
鈴木さん そうですね。お客様の車を預かる、いわゆるバレー業務(お車を入れ替えたりする業務)をやっていたのですが、たまたまこちらに仕事があるという話しをいただき、住み込みで働くことになったんです。ですので、そもそも草を刈るということは自体、私としては初めて行う業務でした。草刈り業務以外では、トレッキングコースもつくりましたよ。丸太を階段状にカットして整えたり、笹や竹を切ったり、切り株が足に刺さらないようにしたり・・・。
満岡 業務に慣れるまでは大変でしたか?
鈴木さん そうですね・・・。山なので倒木が多いため、倒木を処理するために重機の免許も取りましたし、イノシシを駆除するために狩猟免許(わな猟免許、銃猟免許)も取りました!
満岡 すごいですね!この辺りは野生動物が多いのでしょうか?
鈴木さん 施設が出来た当初は整備されていなかったため(天然のところに私たちが勝手に来たようなものでした)、野生動物の宝庫でしたよ。去年はイノシシだけで30頭くらい駆除しました。今年はすでに10数頭を駆除しています。
満岡 駆除する理由はお客様の安全面を考えてのことですか?
鈴木さん そうです。イノシシは昼夜問わずに施設内の道に出没します。お客様の乗っていらっしゃるお車はそれこそ高額なものもありますので、万が一イノシシが接触してしまったら大変です。あとは、お帰りの際にアドレナリンが出てお車を飛ばすお客様もいらっしゃいますので、イノシシの個体数を減らして接触事故を回避できるように努めています。それも踏まえて、普段から自然に戯れて携わっていれば何かヒントが産まれるでしょうとも思っています・・・。ですから、私の仕事は図らずとも「山の総合商社」みたいになってきました笑。
満岡 やることがどんどん増えていったということですね?
鈴木さん そうですね。チェーンソー、刈り払い機、乗用タイプの草刈り機、それこそ夏になれば散水(水やり)も行います。ですから、緑に囲まれた中で一年を過ごしていますね。
満岡 もしかして、お一人で作業をやっていらっしゃるのですか・・・?
鈴木さん はい。女性の方一名に受付をやっていただくこともありますが、ほぼ一人です。お客様が来る時間帯が9時だとすると、7時から刈り払いを始めて2時間で終わらせます。冬場だけは少しだけ身体が楽です。あとは状況次第でコースの中の草の管理もみんなで協力しながらやります。草に関わるところは、自分ができる範疇でやらせてもらっていますね。切った枝は産業廃棄物として出すと処理費用がかかるため、見えないところで燃やしています。重機もあるので倒れた木を引っ張りだしてチェーンソーで切ります。また、イノシシに穴を掘られた穴をきれいに埋め戻したり、法面が崩れたら重機で掘って直したり・・・笑。だから「鈴木造園」または「鈴木木工所」ですね笑。概ね一人で作業をしていますが、たまに作業が追い付かないときはお客様のいない時にスタッフみんなで集まって清掃をすることもありますよ。
貴社の強みやこだわり
満岡 貴社の強みやこだわりを教えていただけますか?事前にホームページを拝見させていただいたのですが、ものすごくニッチなこだわりを持っていらっしゃいますよね!
鈴木さん ホスピタリティとオンリーワン、唯一無二というところを目指していると思います。だからこそやっぱり、私たちが行っている緑地の清掃は無駄なことではないと思っています。私が来るまでは誰もやる方がいなかったので、草は伸び放題でしたが、緑地清掃を始めると見てくださる方によっては「人の手が入ってきれいだね」という声をいただけます。やればやったで何かこう褒めてもらえますので、縁の下ですけどやりがいはありますね。
満岡 先ほど、施設を見学させていただいた時もきれいに管理されていると感じました!
鈴木さん なんとなく管理している感じを受け取っていただけたと思います。緑地の管理については自分の中で気象とすり合わせて行っています。ここから10月くらいまでは繁忙期でずっと休めないですからね・・・。自分が休みの時に雨が降ってくれれば、その後晴れて作業にかかれますので理想ですね。あとは台風の影響を受ける時は気を遣います。古い木が多いため道に木や枝が落ちることがありますが、お客様の車が踏んでしまうとまずいので回収します。
満岡 やっぱり施設の緑地が整っていると来るお客様も気持ち良いですよね
鈴木さん そうなんです。ゴルフ場等と一緒で、肥料をやったり、水をやったり、刈り込むことで自ずときれいになっていきますのでやりがいはあります。来るお客さんも毎日違いますし、春先になればきれいに花が咲き、ふきのとうとか旬のものですね、もちろん無農薬ですから採って食べることもできます。そういった楽しみもありますね。100kgくらいのイノシシが採れた時は「お肉持ってきたよー」と、イノシシの後ろ足一本をいただきましたよ笑。
満岡 業務は大変だと思いますが、楽しさもありますね
鈴木さん そうです。はじめのうちは真夏がキツイなとは思いましたけど、自然に戯れているので健康的に生活しています。朝に外へ出た時の空気感はやっぱり東京とは全く違いますしね。あとは、山の神々しさ的なもの不思議と感じることもあります。そんな馬鹿みたいなと思うかもしれませんが、スピリチュアルじゃないけど、感じることがありますよ。なんか今日は天気が荒れそうだな、何か違うな、風向きとか、そういうのを感じるようになりましたね。
満岡 それだけ自然と一体になってやっていらっしゃるということですね
鈴木さん だからやっぱり自然と勉強もするようになりました。芝生のこととか。あとはトマト等の作物の苗を買ってきて作ってみようかなという気になったり・・・。だから色々とやっていることは無駄ではないと思いますね。
満岡 やらざるを得ない環境に身を置かれていると、自ずと技術を覚えますよね・・・
鈴木さん そうですね。暑いから体力的にきつい時こそ植物は伸びてきます笑。暑い時期の業務は、午前中は汗をかきながらしっかりと行い、午後は熱中症のリスクがあるため無理をしないようにしています。あとは日の出日の入りの涼しい時間帯に動くことを考えたり、お客様の往来がない時に一気に作業を行っています。雨の日は土木関係と一緒で作業はしません。その代わり、晴れている時は一気に作業をしますよ。その辺りは計画的に動いていますね。あとはアクセス道を行き来する車は高級車が多いので、例えば刈り払い機を使っていて跳ね石が車にあたると大変ですので、作業中はそのようなことにも注意しながら行っています。
ロボット芝刈機DROP & MOWを導入したきっかけ
満岡 ロボット芝刈機DROP & MOWを導入されたきっかけについて教えてください。鈴木さんが弊社のサイトを見つけていただいたのでしょうか?
鈴木さん 弊社のグループ会社の金子さんがインターネット検索で見つけました。金子さんは私一人の力では芝刈りが間に合わないほど施設が広く、芝の勢いも旺盛なため、ロボット芝刈機を使って省力化ができないかと考えたようです。調べると家庭用のロボット芝刈り機があることを知って、試しに一台を購入してみたことが取っ掛かりですね。ただ、私の中では割と始めはこのロボット芝刈機に否定的でした。なぜなら電気式という低出力のものでは芝刈りが間に合わないことが分かっていたためです。エンジン式みたいな燃料をいれれば動くというような高出力なものでないと対応できないと思っていました。
満岡 そこからロボット芝刈機DROP & MOWの印象が変わった理由を教えてください。
鈴木さん 最初の1台目は、くるぶしくくらいまで埋まるような伸びきった芝(芝丈6cm以上)の上で稼働させたところ、本体の重さで埋まって動きがとれなくなりました(スタック状態)。次に、動けるような芝高の芝(芝丈6cm以下)で稼働させたのですが、DROP & MOWの芝の刈高の調整が私たちもまだ慣れていなかったものですから、例えば20mm~30mmまで刈り込みたいがために刈高調節ノブをセットするじゃないですか、そうすると調節した刈高と芝の高さに差がありすぎてブレードが回りきらないんですよね、それでバッテリーだけがなくなって、短時間で止まってしまうということが続きました。その後はうまく刈れるように工夫の繰り返しです。その時にスタッフの中でDROP & MOWを複数台導入すれば大丈夫じゃないかという意見が出ました。いざ追加で4台をいれてみたら、予め大型の機械で芝を短く刈ってあげさえすればDROP & MOWで芝の表面は刈れる(保全できる)よねという認識になりました。
満岡 DROP & MOWは高めの刈り高からスタートしていただき、徐々に刈り高を下げていくという使い方をおすすめしております!
鈴木さん 本来の使い方はそうですよね。それが、私たちが素人だったので、自分達の主たる目的を達成したいところから入ったからこうなりました笑。例えばある場所を30mmの刈り高にしたいからと、芝高が高い場所にDROP & MOWをいきなり放つというような・・・。それはうまくいかないですよね。今では刈る芝の高さに対して10mm単位または5mm単位で刈高調節ノブをセットし、「ローマは一日にして成らず」じゃないですけど、芝刈りエリアを何往復もしてもらい、きれいな芝を維持しています。お客さんが来場した時にDROP & MOWが動いていると、「あの機械は何ですか?」と声をかけていただけることもありますよ!
満岡 刈高調節ノブの使い方について詳しくお伝えできておらず申し訳ありません・・・
鈴木さん 私たちは素人じゃないですか。だから刈高調節ノブに記載されている刈り高にセットしたらあとは自動で刈りこんでくれると思っていました。浅はかでしたね。でもそれは経験しないとやっぱり分からないです。刈り払い機もそうですし。乗用タイプもそうですけど、一気に刈り込みたくても刈り切れないですね。プロの造園業者さんに聞いたところ、芝の高刈りは鈴木さんダメよと言われましたね。ある程度上を刈ってから、徐々にきれいにカットしていくとう行程を踏まないといけないですよと。一気にドドドと刈っても機械がダメになるか、芝がめくれるかですね。そして、鈴木さんが思っている以上に芝は密度が濃いから切れ込めないですよとも言われました。
満岡 DROP & MOW以外の製品の導入検討もされましたか?
鈴木さん AI式のロボット芝刈機を検討しました。購入まで至らなかったのは、境界ワイヤーを設置することが面倒だったためです。あとはワイヤーが美観を損ねることも気になりました。境界ワイヤーを設置するくらいならその場所をエンジン式で刈った方が早いなと思い、手押しのエンジン式芝刈機を2台購入しましたね。1台は芝の際を刈れるもの、もう1台は芝を全体的に刈り集草できるものです。集草タイプは一長一短があって、芝刈面積が大きいとすぐに集草ボックスがいっぱいになってしまいます・・・。人海戦術でやるのであれば、刈った芝をその場に置きっぱなしにして、みんなでこまめに集めた方が早いかなとも思います。去年、芝が伸びすぎてしまった場所を手押しと乗用と刈り払い機を使って大人6~7人で刈ったのですが、芝が伸びすぎちゃって全く歯が立たなかったです。そのため、徐々に刈ることに切り替えました!ですので、いろいろな製品の導入検討はしました。YouTubeを見たり。乗用の草刈機まさおはYouTubeを見て買いましたし、手押しの芝刈機もホンダのエンジンが良いということを知って買いましたし。あとは法面ですね、斜めになっている場所も刈りたかったので、ラジコン式も検討しました。軽トラ1台分の値段がするため断念しましたが・・・。DROP & MOWよりも大型のロボット芝刈機も検討しましたが、アース線を設置するのが面倒なため断念しましたね。
ロボット芝刈機DROP & MOWの使い方・効果・改善点
満岡 DROP & MOWの使い方を教えていただけますか?
鈴木さん 朝7時からバッテリーが切れるまでの午後1時~1時半くらいまで動かしています。
満岡 設定で「オートカットモード」と「スポットカットモード」がありますが、「スポットカットモード」は使っていらっしゃいますか?
鈴木さん 「オートカットモード」のみ使っています。ランダムに障害物を避けながら行ったり来たりを繰り返して芝を刈ってもらっています。
満岡 DROP & MOWの効果、良いなと思う点を教えていただけますか?
鈴木さん 良いところは、凸凹ではない整地であれば安心して5時間くらいの間ずっと芝を刈ってくれるし、言ってみればほったらかしで任せられるところです。その時間、私は他の場所を刈れるので、DROP & MOW 4台で私の分身が一人いるイメージですね。
満岡 DROP & MOWは同じところに4台同時に放っていますか?
鈴木さん そうです。複数台を動かしても問題はないです。一番良いなと思うところは私の代わりを遠隔ではないけれどちゃんと遂行してくれることですね笑。
満岡 DROP & MOWの改善点はありますか?
鈴木さん DROP & MOWは3輪ですが、前輪のタイヤが窪みにはまると、後輪のゴムタイヤがスピンし空回りし抜け出せなくなります。例えば、見栄えはさておき前輪も後輪と同じようなゴムタイヤにし、四駆のようにした方が地面をしっかり掴んで芝を刈れるのではないかと思いました。まぁ難しいかな・・・笑。コストはさておきですが3輪じゃない方がもっとクオリティは高くなる気はします。もしくは、3輪と4輪の付け替えができるというような。田んぼのトラクターのように状況次第でアタッチメントで切り替えられれば理想ですね。
満岡 空回りは今もよく起こりますか?
鈴木さん 今は予めカットした後の芝にDROP & MOWを放っているため、ほとんどありません。それも失敗から学びましたね。
満岡 いろいろと工夫をしながらお使いいただきありがとうございます。
鈴木さん DROP & MOWは私たちのような広い面積の芝では工夫が必要ですが、家庭のコンパクトな面積の芝を維持するためであれば十分に使えると思いますよ。
今後の目標
満岡 鈴木さんの今後の目標を教えていただけますか?
鈴木さん 「常にクリーン」を意識し、景観を維持していきたいです。あとは私の今までの経験則を活かして1年を通した作業マップをつくれたらと思っています。春先はこの場所のクローバーがよく出るとか、この季節は芝がよく伸びるとか。私がいつまでもいるとは限らないので、ここは何月頃必ず作業しましょう、冬場にここを作業しておくと夏場は作業が楽になりますよというようなマップですね。自然マップ、MAGARIGAWAマップというような管理用のマップをつくりたいです。あとは、鈴木に言っておけば、だいたい間違いなく整理整頓をやってくれるよねと思ってもらえるように日々頑張ります!
ロボット芝刈機DROP AND MOWを導入検討されている方へ
満岡 最後にDROP & MOWを導入検討されている方へメッセージをお願いいたします。
鈴木さん DROP & MOWは従順に動いてくれる相棒です。昔、「アイボ」というソニーが出した犬がありましたが、DROP & MOWと一緒に働いていると同じような気持ちが出てきますよ笑。スイッチいれたらピピピと発して今日は機嫌がわるいなというようなことがあったり・・・笑。そういう楽しみ方もあります。いくら機械とはいえ擬人化して一緒にきれいにする相棒ですので、意義のある買い物なんじゃないかなと思います。1台10万円が高いという人もいるかもしれません。でもその分、空いた時間を自分は違うことができるじゃないですか、その間に資格をとったりしてスキルアップもできるわけだから考えようかなと思います。割とロボットというよりは相方というとらえ方の方が面白いかなと思いますよ。
コラム著者
満岡 雄
玉川大学農学部を卒業。種苗会社を経てセイコーエコロジアの技術営業として活動中。全国の生産者の皆様から日々勉強させていただき農作業に役立つ資材&情報&コラムを発信しています。好きなことは植物栽培。Xで業界情報をpostしておりますのでぜひご覧ください。