東京駅から東北新幹線“やまびこ”に乗って郡山駅に降りた。この日は川俣町のカーネーション農家へ虫ブロッカー赤の視察に行ってから、福島市のアグリフラワー福島に訪問する。日中はとても快適で山の新緑も風も気持ちがいい。川俣町のブランド地鶏・川俣シャモのラーメンも美味しかった。日が沈むとどんどん寒くなった。私の要望で夜の写真を撮りたくて長澤さんにお願いをして、農園でアグリランプを点灯してもらったのは19時30分だ。21時までいた。夜の農園の稀有さや、話題に花が咲いてとても有意義だった。東京が如何に暑いか痛感した。
アグリフラワー福島について
企業名 :合同会社アグリフラワー福島
場所 :福島県福島市
代表 :長澤徹
就農歴 :10年目
農場面積:約9反(小菊)
出荷先 :JAふくしま未来
【購入歴】
2025年4月 アグリランプエースピンク300球
【アグリフラワー福島の取り組み】
農業の生産性向上を図る「スマート農業技術活用促進法」に、花きとして全国初の認定を受けた合同会社アグリフラワー福島は露地小菊の効率的な生産に取り組んでいます。新規就農して10年目の長澤徹さんは福島県では少数派の2条植え栽培に取り組み、増反に伴う一斉収穫や選花ロボットの導入によって、より高効率のスマート農業を目指しています。
福島県の小菊栽培
セイコーエコロジア 小島
そもそも何故福島県の小菊栽培では2条植え栽培が少ないのですか。
長澤さん
地理的な要因があり特に福島市は盆地であることが挙げられます。2条植えだとどうしても風通しが悪くなって病気の発生が顕著になり、その解決方法として古くから1条植えが採用されてきました。
セイコーエコロジア 小島
アグリフラワー福島では2条植えを行っているそうですが、周りと異なる栽培方法だと難しいことがありませんか。
長澤さん
実際近年は気候が変わってきて病気の発生が落ち着いていることもあり、また全国的には2条植えが一般的なので福島市だからといって当園でできないことは無いと考えています。2条植えは1条植えよりも収穫量が1.5倍も多くなるメリットがあり、収穫量が増加しても収穫機を使って一斉収穫を行えば大量に処理することができます。更には選花ロボットの導入によって出荷調整作業を効率化すれば一斉収穫による大量の小菊を処理できます。アグリランプエースは一斉収穫に対応させるために導入しました。
アグリランプエースピンクを選んだ理由
セイコーエコロジア 小島
セイコーエコロジアでアグリランプエースピンクを購入した理由を教えてください。
長澤さん
アグリランプエースを見つけた後いくつかの業者にあたったところセイコーエコロジアさんが一番リーズナブルだったからです。アグリランプエースはピンク色と白色の二色がラインナップされていますが当園ではエースピンクを選択しました。
セイコーエコロジア 小島
実際にエースピンクを設置して如何ですか。
長澤さん
エースピンクは夜間作業には向かない一方、開花抑制効果は大きいとセイコーエコロジアさんのサイトでは紹介されています。しかし実際に使ってみると夜間作業も何とかできると感じています。別の区画では実験的に赤色チップのみのLED電球を導入していますがこちらは目が痛くて夜間作業はできそうもないですね…。エース白も少し検討しましたが、エースピンクにして良かったです。
写真:左側が他社の赤色LED、右側がアグリランプエースピンク
アグリランプエースピンクとスマート農業
セイコーエコロジア 小島
先ほどアグリランプエースが一斉収穫に貢献できると仰っていましたがどういうことですか。
長澤さん
キクの開花抑制に夜間電照を行うことは一般的な技術ですが、感応性と省電力を考慮して赤色系LEDを導入したいと考えてアグリランプエースを選択しました。当園では色々な品種を栽培しており品種によって抑制程度が異なります。当園の条件においてどこまで抑制程度が揃うかをアグリランプエースで検討を重ねる必要があると考えています。
セイコーエコロジア 小島
一斉に収穫すると収穫作業や選別作業が膨大になって、機械を入れても作業時間が集中するので結構大変なイメージです。それでもアグリフラワー福島ではスマート農業技術活用に関する認定を受けていますがどういった取り組みなのですか。
長澤さん
小菊栽培では人手不足が問題となっています。少人数でも作業を行うためにはロボットの導入が必要で、これによって人手不足と作業時間に係る問題点を打開できます。収穫最盛期だと、収穫機を使わないと7人で1日10,000本を収穫することになり、それも夏場の場合だと小菊の葉が垂れる前の早朝4~7時の3時間で収穫しなければなりません。Wワークしている方も多く、なかなか人を確保できないのです。収穫機を導入すれば3人ほどで収穫作業にあたれることを見込んでいます(収穫機は2026年7月に導入予定とのことです)。
収穫機より一足早く2024年に導入した選花ロボットによって作業人数が3人まで削減できました。導入した改良型選花ロボットは1時間あたり3,750本を処理できるので、一斉収穫した大量の小菊も十分さばけます。
セイコーエコロジア 小島
アグリランプエースで抑制程度が揃えば一斉収穫ができて、一斉収穫した小菊も選花ロボットがあれば少人数で大量に処理できる。これで省力化と人手不足の解消というわけですね!
長澤さん
そう言うことです。他にも、GPS自動操舵システムを取り付けたトラクターや散布幅が広い散布機械を導入しておりスマート農業化を進めています。
ただ選花ロボットに関してはお陰様で少人数で作業できるようになったのですが、ロボットのスピードに人間がついていくのが結構大変なんです笑。
アグリランプエースピンクの使い方
セイコーエコロジア 小島
夜に農園を案内してほしいとは中々言い出せないのですが今回はどうしても夜の写真が撮りたくて無理を聴いていただきました。
長澤さん
実験的に“赤色だけのLED”と“アグリランプエースピンク”を入れて検討をしています。見比べても色の違いがはっきり分かれているし、もし夜間作業をしなければならない時はアグリランプエースピンクなら何とかできそうですね。
セイコーエコロジア 小島
アグリフラワー福島ではどのくらいの時間電照を行うのですか。あと点灯時間の管理はどの様に行っていますか。
長澤さん
この園地の小菊は4月中旬に定植しました。23~4時までの夜間電照を続けて、6月中旬から段階的に電照を終了、電照を止めると花芽の分化が始まります。点灯時間はタイマーで管理しています。今日はセイコーエコロジアさんがいらっしゃるので特別に早い時間に点灯しています(訪問時間19:30~21:00)。
セイコーエコロジア 小島
ごく稀ですが、アグリランプをソケットにねじ込む時に力を入れ過ぎてねじ切ってしまう方がいます。注意喚起をさせていただきましたが取付けは大丈夫でしたか。
長澤さん
問題ありませんでした。普通に扱えばねじ切ることは殆ど無いと思います。ほら、このくらいの力で簡単に外せます。ねじ切る方はよっぽど力を入れているのでしょうね。
おわりに
長澤さんには夜の訪問をご快諾いただき感謝しています。夜の農園を案内してくれる方にはそうそう巡り合えない。アグリランプエースも、アグリフラワー福島のスマート農業の重要な役割を担っていて嬉しい反面しっかり効果を出してくれと願うばかりだ。結果は後々確認したいと思う。
当日は郡山駅のコンフォートホテルに宿泊して、翌日は会津美里町に走った。ハレルヤを導入してくれたトマト農家のハウスは35℃を越えていたと思う。会津美里町はこの日はとても暑かったので半袖で正解だった。